邪眼を持つ殺人フクロウと、凄腕マタギとの人類の存亡を懸けたバトル・アクション。その昔「その瞳に見られた者はみんな死んでしまう」という一羽のフクロウがとある森を荒らしていた。狙撃しようとした猟師は皆その目にからめとられ死を遂げる。たった一人、伝説のマタギ・杣口鵜平(そまぐちうへい)が妻を犠牲にし、その右翼を撃ち抜いた。しかし、とどめを刺す寸前にフクロウをアメリカ軍にさらわれてしまう。そして月日は経ち、悲劇が再び訪れる。
アメリカ軍に捕らえられたフクロウは「ミネルヴァ」と名付けられた。事件から13年後、東京湾で座礁した空母からミネルヴァは逃亡を図り、東京中の人々をその瞳で殺害し壊滅状態に追い込む。東京を窮地から救うべく、アメリカ陸軍の准尉マイケル・リードが訪れたのが鵜平の家だった。鵜平は養女である巫女の輪(りん)と共にマイケルたちと討伐に向かう。ミネルヴァの血走った目を持つ風貌と、テレビ越しにでも目が合った者は死んでしまうという設定が底知れぬ恐怖を与える。つがいでさえも殺してしまうミネルヴァの孤独と、妻を殺された鵜平の持つ憎しみがオーバーラップするクライマックスは見どころだ。また、人類の勝手な都合に振り回される動物の悲哀にも考えさせられる。
特殊能力を身につけた高校生と、吸血鬼の女性が謎の連続殺人事件に挑むバトル・ロマンス。主人公・遠野志貴(とおのしき)は幼少時の事故がきっかけで、見るものすべてに黒い線が現れる「直視の魔眼」という能力を身につける。ひとたび線にナイフを入れるとバラバラに壊れてしまうため、誰からも訝しがられていた。8年後、高校生になった志貴は父の死をきっかけに住んでいた親戚の家から実家へ戻るが、次々と怪事件に巻き込まれていく。2003年にテレビアニメ化。
志貴は幼少時、とある女性から魔力を抑える眼鏡を授かっており、普段は大人しい普通の高校生だ。しかしある日、公園ですれ違った女性に言葉にできないような衝動に襲われ、バラバラに殺害してしまう。夢と現実の間で自分が手を汚したことを信じられずにいたところ、殺したはずの女性が現れる。アルクェイド・ブリュンスタッドと名乗るその女性は実は吸血鬼で、自分をズタズタにした代わりに、志貴に同じ吸血鬼の仕業と思われる連続殺人事件の犯人捜しの協力を持ちかける。眼鏡を外して殺傷能力を解放する志貴と、爪を駆使して戦闘能力を発揮するアルクェイドによるバトルシーンが迫力たっぷりだ。真の敵と志貴の生い立ちの謎が明かされ、さまざまな伏線が回収されていくミステリー要素にも注目したい。
邪眼の力で何でも見抜いてしまう少女探偵と、霊に取り憑かれた男子高校生が怪事件に挑むお色気学園ミステリー。炎城灰夜(えんじょうはいや)はごく普通の16歳だった。しかし、霊に取り憑かれたことがきっかけで、特異体質や特殊能力を持った生徒たちが国の法律によって強制的に送られる「学園都市」での居住を余儀なくされる。普通の学生に戻りたい灰夜は、学生寮での同期である武藤青(むとうあお)に霊のことを相談すると、邪眼探偵の存在を教えられる。
灰夜に取り憑いた霊は「ピョコ」と名乗り、妖精のような小さな身体で彼につきまとっていた。耳元でHな歌を口ずさんだり、幼児のようなテンションで延々と話しかけ続ける姿は誰にも見えず、理解を得られない。苦悩の末に灰夜は青の紹介で邪眼探偵のもとへと向かう。そこで出会った少女こそが眼球塚(めだまづか)ネクロこと「ネクロさん」であった。「邪眼は何でもお見通し」が決め台詞のネクロさんは、彼に取り憑いた霊は「性欲お化け」だと断定し、灰夜からピョコを引き離すべく奮闘するが、その間に彼らは怪事件に巻き込まれてしまう。霊から解放されるためには灰夜が性欲を発生させないようにするなど、突飛な展開と健全なお色気描写の絶妙なミックス感を楽しめる作品だ。
魔眼を持つ青年が戦乱に巻き込まれながらある物を捜して旅をする、脱力系ロマン・サーガ。メノリス大陸の南側にある国・ローランド帝国は悪政に満ち溢れていた。主人公のライナ・リュートは帝国王立軍事特殊学院の中でも指折りの落ちこぼれだ。悪友である王族のシオン・アスタールとつるんではいるが、怠惰で惰眠を貪ることばかり考えている。ある日、隣国のエスタブール王国が帝国に攻め込んできたことにより、彼らの運命は大きく変わる。同タイトルのライトノベルのコミカライズ作品。2010年にテレビアニメ化。
特殊学院の生徒たちの中でシオン一派と呼ばれる一団が、エスタブール王立魔法騎士団の攻撃を受け壊滅してしまった。ライナは仲間を失った怒りから、「複写眼(アルファ・スティグマ)」を解放し一瞬にして魔法騎士団を一掃してしまう。帝国から問題視されたライナは、王となったシオンの計らいにより凄腕の美女剣士フェリス・エリスと共に「伝説の勇者の遺物」を捜す旅に出ることになった。シオンの目論見とライナの思いがすれ違ってから、衝撃のラストまで目が離せない。複写眼は魔法の構成を読み取り自分のものにすることができ、魔力が暴走するとすべてを滅ぼすほどの威力である。他にも「殲滅眼」などの魔眼を持つキャラクターが登場するため、それぞれの特徴にも注目だ。
とある温泉街を舞台にした、蛇の頭を持つ少女と蛇好きの少年の、ほのぼのスネーク・ラブコメディー。主人公・加賀地巳里(かがちみさと)は「メデューサ症候群(メデュ症)」により頭に5匹の蛇を持つ少女だ。巳里は特異な見た目だけでなく人見知りなこともあり、高1の冬になっても友達もできずにいた。ある日、温泉街の足湯で暖を取っている時に、転校生の不動鷹戟(ふどうたかほこ)と偶然出会う。蛇好きも相まって巳里に興味津々の不動に心を開きかけるが、思いもよらぬハプニングが起こる。
巳里は頭に蛇が生えているだけでなく、ギリシャ神話のメデューサのように裸眼で目が合っただけで他人を「石化」させてしまう能力も持っていた。普段は特殊レンズの眼鏡をかけているが、ひょんなことから眼鏡がずれてしまい不動を石化させてしまう。それを解くためには巳里の体液が必要であり、くしゃみのしぶきで不動を元に戻すことに成功する。それをきっかけに二人は友人となるが、巳里のほのかな思いに対し不動は頭の蛇に夢中で恋心には鈍感なのが何とももどかしい。巳里に思いを寄せる不良少年の菅槙矢(すがまきや)との三角関係が織りなすドタバタ劇もギャグ満載だ。さまざまなハプニングを経て、友達のいなかった巳里が少しずつ友人に恵まれていくさまに温かい気持ちになれる。