地球侵略を目論む少女と地球人の少年の出会いと成長を描いた青春ストーリー。主人公・広瀬岬一(こういち)は両親を亡くし、祖父と兄と双子の兄・広瀬凪(なぎ)と暮らすごく普通の少年だ。病弱な凪を残し、ひとり高校の入学式に向かう岬一だったが、目の前にいきなり謎の仮面を被った少女が現れる。少女は「お前の命を、もらいに来た」と告げ、いきなり彼に襲いかかる。彼女の正体は、地球を征服するためにやってきた侵略宇宙人・大鳥希(のぞみ)であった。
希は岬一の学校の先輩で、たった一人で地球侵略のために戦っていた。希いわく、10年前に彼らが住む松横市が宇宙船団の侵略を受けた際に、負傷した彼を自身の心臓を分け与えることで救ったとのこと。心臓が既に岬一と同化していることを知った希は彼と手を組もうとするが、岬一は信じることができなかった。しかし彼が帰宅すると、いきなり謎の侵略者が現れ祖父が飲み込まれてしまう。偶然その場を訪れた希により侵略者は倒され、岬一は彼女と手を組むことを決意。以後、二人はさまざまな侵略者と戦ってゆく。ひとつの心臓を分かち合った運命の二人が、広大な世界の中で共に戦い絆を強めていくのが魅力的だ。長らく患っていた凪が、彼らの敵となるなどシリアスな展開も見どころである。
とある青年と秘密を抱えた「妹」とのふれあいを描いたSFラブストーリー。平凡なサラリーマン・三谷(みたに)は、趣味であるドラマのロケ地巡りで廃駅を訪れた際、謎の光球を目撃する。避ける間もなく光球とぶつかり意識をなくし、翌日自室で目を覚ます。彼を起こしにきたのは、ハナこと妹の三谷花苗だった。昨日から泊まりにきているというが、自分に妹がいたかさえも忘れてしまった三谷は、疑念を抱きつつも奇妙な同居生活をスタートさせる。
ハナは三谷に献身的に尽くし、会社までついてくる始末だ。おまけに一般常識に疎く、ガスの火をつけることができなかったり、お金を見て驚いたりするほどである。三谷は同僚の女性を庇ったことから彼女といい雰囲気になるも、待ち伏せしていたハナに邪魔され失敗してしまう。その晩、眠る彼に何かを取り付け必死に作業をするハナの姿があった。実は彼女の正体は異星人で、光球の事故で命を落としそうになった三谷を修復する目的で妹として彼に近づいたのだ。同居生活を送るうちに、お互い「兄妹」を超えたかけがえのない存在になってゆくが、それは許されざる運命であった。彼を愛しながらも、指令により地球人に感情移入することを許されないハナがいじらしい。切ない結末は感動必至だ。
宇宙人の少女と地球人の少年の恋愛と日常を描いたほのぼのラブコメディ。平凡な中学生・飯塚和人(いいづかかずと)は、ある雨の日に捨てられた子犬を発見する。助けるかどうか迷っていたところ、いきなり背後から女子生徒が現れ子犬を金属バットでめった打ちにする。戸惑う彼に女子生徒は、この犬は危険な改造宇宙生物だと言い放ち去っていった。和人は現場に残された金属バットに記された名前を手がかりに、同じ中学の制服を着た彼女の正体を探ろうとする。2003年にテレビアニメ化。
女子生徒の正体が隣のクラスの七瀬成恵(なるえ)であることを突き止めた和人は、さっそく声をかける。成り行きで成恵の住むアパートに向かうと、部屋では彼女の父親が宇宙人の強盗に襲われていた。いいところを見せようと和人は立ち向かうが役に立たず、成恵の力で強盗を撃退する。和人は、成恵が宇宙人の血を引いていることを知るが、和人は気にすることなく交際を申し込み、二人は付き合うことになった。人間である和人に、成恵は自らを取り巻くさまざまな世界を見せてゆく。成恵はネクラの貧乏性で女性週刊誌が愛読書など、宇宙人のイメージとかけはなれている。また、彼女のコンプレックスを受け止める和人の器の大きさに、ほのぼのとした気持ちにさせられるだろう。
とある男子高校生が、宇宙人と地球人の少女との三角関係に巻き込まれるドタバタお色気ラブコメディ。主人公・リトこと結城梨斗(ゆうきりと)は恋に奥手な高校1年生だ。片思いをしているクラスメイトの西連寺春菜(さいれんじはるな)に今日こそ告白しようと挑むが、勇気が出ず逃げ出してしまう。その晩、風呂場で落ち込むリトの前に、湯船の中からいきなり全裸の少女が現れる。2008年、2010年にテレビアニメ化。関連作に『To LOVEる ダークネス』がある。
ララ・サタリン・デビルークと名乗る少女は、宇宙にあるデビルーク星から逃げてきたという。同情したリトは、追手を振り払い彼女と共に自宅から逃げ出す。ララの作ったロボットで大立ち回りを繰り広げ追手を撃退するが、彼女がただの家出少女だったと知りリトは呆れるばかりだ。翌日、その様子を偶然見ていた春菜に、リトは意を決して告白する。しかし、春菜の前に偶然降り立ったララに誤って告白する形となってしまい、勘違いからララは彼と結婚すると宣言する。誤解されたまま、リトはララと春菜の三角関係に悩まされるのであった。本作は、気弱なリトが意に反してラッキースケベなトラブルに巻き込まれてゆくのが面白い。ララの可愛らしくセクシーなキャラクターにも心を掴まれることだろう。
学校を舞台に、男子高校生とさまざまな「人外」たちが巻き起こすドタバタラブコメディ。主人公・黒峰朝陽(くろみねあさひ)は思っていることがすぐ顔に出てしまい、隠し事のできない性格から「アナザル(穴の開いたザル)」と呼ばれている。そんな朝陽だが、密かにクラスメイトのミステリアス美女・白神葉子(しらがみようこ)に片思いをしていた。友人たちの後押しもあり意を決して彼女に告白すべく、放課後の教室を訪れた彼が見たものは、葉子の意外な姿であった。2015年にテレビアニメ化。
葉子の正体は、実は吸血鬼であった。誰もいない教室で羽を出して寛いでいたところ、教室に入ってきた朝陽に見つかってしまう。父の命令で正体がバレると退学になってしまうという葉子に、朝陽は秘密を守ると誓う。晴れて葉子と友達になることができた朝陽であったが、実は彼女以外にもさまざまな「人外」がこの学校に紛れ込んでいた。本作に登場する宇宙人は朝陽のクラスの委員長・藍澤渚(あいざわなぎさ)である。地球を調査する目的で宇宙からやってきたが、滅法気が強く告白する前に朝陽を振ったという武勇伝もあるほどだ。一方で、日光が苦手な葉子に生き残る術をレクチャーするなど、面倒見のいいところもある。そんな魅力的な人外たちの、ハイテンションな学園コメディとして楽しめる一冊だ。