2008年リリースの大ヒット乙女ゲーム『薄桜鬼』のコミカライズ作品。時は幕末、蘭方医の娘の雪村千鶴は、音信不通となった父を捜して単身京都へ。そこで化け物を斃す新選組隊士たちと出会い、医者の娘として千鶴は新選組と行動を共にすることになる。だが、彼女の出生には秘密があり、やがて新選組の悲劇と運命が重なる。
本作は、鬼や化け物といった存在が登場する伝奇要素や歴史のifがありながらも、史実を元にした新選組の物語も盛り込まれている。主人公の千鶴は、健気で真っ直ぐな少女だが、その正体はかつて人間に滅ぼされた鬼の一族の末裔だった。しかし、数少ない女鬼ゆえ、同胞の鬼から狙われてしまう。新選組副長の土方は、隊士としての道を進みながらも千鶴を護るために戦う。なお、原作ゲームは、コミカライズ、ノベライズ、TVアニメ化、舞台化と様々なメディアミックスがされている。コミカライズは、原作ゲームで複数あるルートのうち、タイトル『薄桜鬼』に関わる土方歳三ルートが描かれている。
家族の仇のために男装して新選組に入隊したヒロインの恋物語。壬生浪士組へ入隊した神谷清三郎。その正体は、かつて長州勤皇派に父と兄を殺された蘭方医の娘・富永セイだ。セイの直属の上司である沖田総司に女であることが露見するが、沖田はセイに協力をする。徐々にセイは、沖田に惹かれていく。第48回小学館漫画賞受賞。
本作は、少女漫画雑誌『月刊flowers』で連載されている作品。新選組に入隊した男装の美少女セイが主人公の物語だ。彼女はかつて長州勤皇派に父と兄を殺され、母も幼い頃に亡くなったため天涯孤独の身の上だ。そんな彼女は、母の旧姓「神谷」をもらって、神谷清三郎と名乗り、家族の敵討ちのため壬生浪士組(のちの新選組)に入隊する。そこで、かつて父の診療所が襲われた際に助けてくれた沖田総司と出会う。凄腕の剣士である沖田のもと、武士として己を磨く日々を送るうちにセイは沖田に恋心を抱き、沖田も彼女に惹かれていく。一方で、セイが男装して美少年剣士としてふるまう姿に、多くの武士たちが「男なのに」恋してしまう。
己の志に生きる若者たちの群像劇。江戸の片隅にある道場に、こよりという少女が薪を売りに来た。道場の者たちは、貧しさに負けないこよりの明るさに癒やされ、門下生の沖田総司は彼女に惹かれる。激動の時代を生きる若者たちと、彼らを愛した乙女たちの物語が幕を開ける。
少女漫画界の大家である木原敏江が描く、新撰組を舞台にした青春群像劇。己の志に殉じる若者たちの悲劇と恋を、史実とフィクションを交えて描いている。ヒロインのこよりは、沖田の宿敵となる男の妹だった。2人は、様々な苦難と時代の波にのまれながらも想いを育むが、沖田の体は「死の病」と呼ばれた労咳(現代における結核)に蝕まれていた。近藤勇や土方歳三が、新選組として引き返せない道を突き進む中、病に倒れた沖田は1人取り残されてしまう。次々と同胞の悲報が届くが、こよりは沖田を献身的に看護しつづける。
新選組を題材にした三部作「碧に還る」「散る緋」「殉白」を収録した短編集。「碧に還る」は土方歳三の中に真の武士を見いだし、彼に殉じた隊士の野村利三郎の物語。「散る緋」は新選組最後の隊長となる相馬主計を描いた一作だ。「殉白」は土方歳三を主人公とし、後の明治にも名を残し生き残った陸軍奉行の大鳥圭介との交流が描かれている。
本作は、少女漫画雑誌『花とゆめ』に掲載された菅野文作の新選組を題材にした短編集。いずれも「還る」「散る」「殉」など、死を連想させる言葉が冠されている。それぞれの物語の主人公は異なる。いずれの物語も『北走新選組』というタイトル通り、北の大地である蝦夷地での箱館戦争(五稜郭の戦い)に至るエピソードが主題である。「碧に還る」は、遊女に騙され隊を抜け出した野村利三郎が切腹を覚悟した時に土方に助命される。以降、どのような時でも土方がいれば新選組は生き残ると信じ、戦いに殉じた。「散る緋」では戦死した土方に代わり、隊長として新選組の歴史に幕を引いた相馬主計の苦悩とその後が描かれている。
土方歳三をメインに描いた新選組の物語。幕末の京都で遊女の君菊は、1人の傷ついた剣士を助ける。まるで女性のように美しい顔をしたその男は、新選組副隊長の土方歳三だった。彼とその仲間は、不逞浪人を取り締まるために江戸から京へやってきたが、彼らが進む道はやがて同胞すら斬る苦難の道へと変わっていく。
本作は、京にやってきた一団が新選組を結成するも、志を違えて初代局長の芹沢鴨暗殺に至るまでの物語だ。主人公の土方歳三は女顔の美形と称されるが、彼以外にも病弱なイメージがない飄々とした雰囲気の沖田総司など、作者独自のキャラデザインが施されている。物語冒頭で、不逞浪人を斬り捨てるも怪我を負い負われる身となった土方は、遊女の君菊に匿われる。やがて近藤勇や沖田総司と合流した土方は、刃傷沙汰を謝罪すると共に、君菊に初めて己の名と身分を明かす。