ひょんなことから無人島に漂流してしまったOLとその上司が織りなす、サバイバルラブコメディ。主人公・小松は「(株)ナチュラル」に勤める新卒1年目のOLだ。「テキトーに慎ましく生きる」をモットーに生きてきたが、新人研修の最中に不運が重なり無人島に流されてしまう。しかも、彼女がかねてから苦手にしていた営業部の部長・古藤(ことう)も一緒だ。鋭い目つきで凄む彼に戦々恐々の小松であったが、それは前途多難なサバイバル生活の序章に過ぎなかった。
古藤はイケメンではあるが堅物で、口を開けば冷酷無比にダメ出しをするビジネスマシーンのような男である。漂流に打ちひしがれる間もなく、彼は小松に物集めや調理などの「担当業務(ミッション)」を課す。指示通りに動く小松であったが、徐々に不満を募らせていく。火起こしにチャレンジするが失敗し火傷を負ってしまう。しかし、古藤はそんな彼女を責めることなく挑戦することの大切さを説く。そして彼は島を「(株)ナチュラル 孤島事業部」と名付け、新人研修という名のサバイバル生活を小松と共に送る。孤島での生活や心得が、そのままビジネスシーンに応用可能なライフハックとなってちりばめられているのが特徴だ。当初は距離のあった二人の仲が縮まるラブコメ要素も満載で面白い。
吸血鬼が蔓延る島を舞台に、人間と吸血鬼の終わりなき闘いを描いたサバイバルバトル。主人公・宮本明には、2年前に姿を消した兄・篤がいた。明は今でも優秀な篤と比べられ、地元の街で肩身の狭い思いをして暮らしている。そんな明の前に、謎多き美女・青山冷(れい)が現れるが、それは長きにわたる闘いの序章に過ぎなかった。2010年の実写映画化をはじめメディアミックス多数。続編に『彼岸島 最後の47日間』『彼岸島 48日後…』がある。
冷は篤の運転免許証を差し出し、明が自分の住む島に来るよう差し向ける。明は地元の仲間たちと共に兄を救うべく「彼岸島」へ向かうが、そこは多数の吸血鬼が占拠し人間の血を吸って暮らしていた。島に到着した明たちは吸血鬼たちに捕まってしまうが脱出に成功し、ひとり吸血鬼と闘っていた篤と再会を遂げる。篤曰く、吸血鬼の正体はウイルスに感染した元人間であり、そのボスが「雅(みやび)」という男だとのこと。明もまた強くなるべく、篤の師匠で冷の父親でもある龍ノ介の元で修業を重ね、雅と対決することを決意する。丸太や日本刀などを使ったバトルは、グロテスクであるものの迫力満点だ。仲間の死や兄弟愛などヒューマンストーリーの側面も強く、続編と共に楽しみたい作品である。
原住民族が支配する絶海の孤島で遭難した高校生たちの、極限の「生」と闘いを描いたサバイバルストーリー。7月、都立吉ノ宮高校の2年生たちは修学旅行のため八丈島行きの客船に乗っていた。デバイスオタクの主人公・東堂啓太は、幼なじみの同級生・宮原葵に思いを寄せている。深夜、葵を追ってデッキに出た啓太は、大波に襲われる彼女を救出しようとするが、船ごと飲み込まれ難破してしまう。命からがらとある島に漂着した啓太たちだが、彼らが目にしたのは異様な光景であった。
流れ着いた同級生たちと無事を喜んだのも束の間、葵を含めた女生徒たちが原住民「シマビト」に捕らわれてしまう。武器を持った彼らに襲われ死亡者や怪我人が出てしまったことから、啓太は救出を諦め逃亡する。女生徒たちは性的凌辱を受け、葵はシマビトの王であるガモウ・インゴの嫁として寵愛を受けることに。得意のデバイスを操り島の全貌を知った啓太は、ヤンキー系で屈強な高崎光博、クレバーな戦闘能力を誇る橘進之介ら生き残った者たちと協力し、葵らを救うことを決意する。シマビトが使う「ヨメゴ」「オメグミ」など独特の言語がより彼らの異様さを引き立てている。性的描写やグロテスクなシーンも多いが、極限に立たされた時の人間の深淵を知ることができるだろう。
孤島の養護園を舞台に、孤児の兄弟がさまざまな事件に巻き込まれるサイコスリラー。14歳の少年・ジューゴは早くに両親を亡くし、幼い弟・シローと共に孤児になった。そんな二人を受け入れたのは養護園の聖母であるシスター・コレーである。母親のような温かい愛情を注ぐ彼女に、シローはすっかり懐きジューゴは安心する。二人は、常世島(とこよじま)にある養護園「エリュシオン」で新たな生活を送ることに。しかしその選択が、兄弟の運命を大きく変えるのであった。
お城のような施設でこれまでにない歓待を受けるが、ジューゴは小さな違和感をおぼえる。その晩、夕食に出されたトマトをシローが残したことでシスターの態度が一変。愛情を受け取らない罰として、犬の面を被せられシローは無理矢理トマトを食べさせられる。ジューゴはシローと共に島から脱出することを決意し、協力者・ケインの手助けで逃げようとするが裏切りに遭い捕まってしまう。しかし、ケインも脱出を試みていたことが発覚し、他の生徒たちに殺される。異常極まりない閉鎖空間で、ジューゴはそれでも逃亡を目指し終わりなき闘いが始まる。シスターの独裁の下、裏切りと憎悪が渦巻くさまはまさにホラーだ。衝撃のバッドエンドがより恐怖心を煽るに違いない。
爆弾飛び交う無人島を舞台に、少年たちが繰り広げる爆殺サバイバルバトル。主人公・坂本竜太(りょうた)は引きこもりニートの青年だ。一日中サバイバルネトゲ「BTOOOM(ブトゥーム)!」に没頭し、その腕前は世界ランクトップ10を誇るほどである。しかし定職に就かず、BTOOOM!の運営会社「ティラノスジャパン」でデバッグをしている。ある日彼が目覚めると、その身体は見知らぬ南の島に。それは長きにわたるリアルサバイバルゲームの始まりであった。
坂本は自らが置かれた境遇を理解できぬまま、いきなり爆弾による攻撃を受ける。彼を襲った青年・今川義明に追い詰められた坂本は、生き残るため爆弾使いの腕前を発揮し、逆に彼を爆殺する。その後出会った不動産会社の社長・平清(たいらきよし)から、自分たちは拉致され無人島に連行されたこと、32人による生き残りをかけたサバイバルゲームに巻き込まれたことを知る。このゲームの黒幕がティラノスジャパンにあると睨んだ坂本は平と共闘し、脱出の糸口を探るのであった。絶海の孤島での終わりなき殺し合いと、駆け引きや裏切り・共闘を通し成長する坂本に共感をおぼえる。この作品は、ふた通りの結末を、違った観点から楽しむことができるようになっている。