実在した女性ファラオの物語『碧いホルスの瞳』422 Pt.

犬童千絵の『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語- 』は、女性が王(ファラオ)にはなれない時代、それでもファラオになることを目指した一人の女性の物語だ。
現代とは常識がまるで違う中、ホルスはどのように女王を目指すのだろうか。

作成日時:2016-06-30 14:00 執筆者:マンガペディア公式

『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語- 』とは

古代エジプト。王(ファラオ)は女性が決めることとなっていた。女性とは王妃のこと。エジプト王家は女系で紡がれているのでファラオの長女が、次にファラオとなる夫を選ぶ、それによって王の血脈が続いていたのだった。
これはあくまでも名目上であり、実際にはファラオとなる夫が王妃を娶ることでファラオとなっていた。そう、王妃には夫を選ぶ権限はなかったのだ。

トトメス1世の長女として生まれたハトシェプスト。小さい頃から男勝りで活発だった彼女には夢があった。
それはファラオになる事。
しかし、いくら望んでも時代が彼女をファラオになることを許さなかった。

なぜ自分は女に生まれたのだ……。

彼女は悩む、女性は男性に比べて出来ることがとても制限されていたことを。王族と言えど同じことだったのだ。

時は流れ少女は大人の女性へと成長する。
父王であるトトメス1世の望みで、異母兄弟である兄のセティを夫として迎えることになるハトシェプスト。お転婆だった少女はなりを潜め、美しい女性へと成長していた。しおらしく兄のいう事を聞く彼女だが、秘めた野望があった。あくまでも女性としてファラオを目指すこと。ハトシェプストがファラオを目指す、それはどのようなものになっていくのだろうか。

古代エジプトに実在した女性ファラオ・ハトシェプストの半生を描いた物語。ハルタにて連載中、コミックは第1巻まで発売。

真実のヒストリカルロマン

小さい頃からお転婆で、剣術も強く、兄のセティを何度も打ち負かすほどの力をもっていた。
当然彼女は兄よりも強いのだから、自分が父王の後を継ぎ、ファラオになる事は必然だと思っていたのだ。
だが、伝統上女性がファラオを選ぶとされていても、それは形骸化されたもの。どうしても自分がファラオになりたい! 大人の女性へと育った彼女は腕力というチカラではなく、女性ならではのチカラを元にファラオを目指し始める。

女性としてのチカラである美しさや魅力。

これらを駆使して伝統に抗い、少しずつファラオになるという目的へと画策していくハトシェプスト。その静かなるサクセスストーリーにどんどん惹きこまれていく。


古代エジプトに詳しい人も満足できるような細かい描写、丁寧な取材により、リアルに見る事のできる古代エジプトを、ヒストリカルロマンを是非体験してみてほしい。

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