吹きガラス職人のこまつさんと愛犬・ムーコの、のんびりした田舎暮らしを描くほのぼのコメディ。ムーコはガラス工房を営む吹きガラス職人のこまつさんと、自然豊かな田舎で暮らしている。飼い主のこまつさんのことが大好きなムーコは、「こまつさんがはやくいぬになれますように!」なんて思いながら楽しく過ごしている。ツヤツヤのお鼻が自慢のムーコとこまつさん、彼らをとりまく人々のくすっと笑える日常が描かれる。2015年にテレビアニメ化。
自分の尻尾をおいかけてぐるぐる回ったり、落ち葉をおいかけて跳ねまわったり、何度注意してもタオルを噛んで「ぴーっ」とひっぱって遊ぶのをやめられなかったり。ムーコは天然だけど、ラブリーな柴犬。大好きなこまつさんにいつも一生懸命に話しかけているのだが、もちろんそれは人間のこまつさんには伝わらない。犬らしい天然さ満載のムーコとこまつさんが、すれ違いつつも、コミュニケーションをとる様子が笑いを誘う。ちなみに、ムーコとこまつさんが暮らす田舎の町は、秋田県がモデル。ムーコが犬らしい視点で季節の移ろいを感じる様子も本作の魅力。雪に埋まる、お気に入りの遊びを大好きなこまつさんになぞらえ「こまつ」と名付けるところも面白い。
人類がほぼ滅んだと思われる世界を、女子高生とその飼い犬が放浪する4コマギャグ漫画。舞台は、ほぼ人類が滅亡したと思われる終末世界。廃墟となった町の中を、女子高生の「ご主人」と、人語を話す柴犬の「ハルさん」が旅する様子が描かれる。理屈っぽいハルさんと、飼い犬をかわいがりつつもからかうご主人が、時に哲学的な趣きも漂う会話でボケと突っ込みを展開。ディストピア感たっぷりの世界を飄々と楽しんでいく。
飼い犬に話しかける人は多いと思うが、犬とは思えないほど、深い答えを返してくれるのが本作に登場する「ハルさん」だ。なんと「オッカムの剃刀」や「シュレディンガーの猫箱」といった、哲学的な命題を普段の話題にもちだすという知性の持ち主。方向音痴のご主人に「どうして地図を見ようとしないのですか」、「なぜそうやって地図を回して見るのですか」と突っ込みを入れるのも忘れない。とはいえ、ハルさんの本質はやはり犬。匂いを嗅ぐのに夢中になって迷子になったり、目的地に辿りつくために散々歩きまわった夕方に「そろそろお散歩の時間です」とご主人をあきれさせたりと、犬ならではのエピソードも。一人と一匹の道中で出会う様々な犬たちもその犬種ならではの性格で描かれ面白い。
お調子者で食い意地のはったバウと、飼い主の犬神一家との日常を描くコメディ。売れない漫画家の倉元は、ある日見知らぬ犬に、自宅アパートの部屋へと闖入される。落ち込んでいた倉元はお調子者の犬の姿に励まされ、仕方なく面倒を見るが、犬は様々なトラブルを巻き起こして姿を消してしまう。やがて、小学校にあがりこんだ犬は、バウと名付けられ、小学生・犬神さやかの飼い犬となり、やはり犬神家でも様々な騒動を巻き起こしていく。1993年にテレビアニメ化された。
本作で主役をはる犬・バウは、ブルテリアという犬種。大きめな顔に片目の周囲にある黒いぶち模様がユーモラスな雰囲気を漂わす。首輪はしていたものの、野良犬のようで、どうやらお腹がすいていたらしく、あがりこんだアパートの住人・倉元に食べ物をねだる。そのちゃっかりした性格を発揮して、次には小学校にもあがりこみ、一時は学校で飼われた。そしてついには犬神家の一員になるのだった。食べ物のためにはどこまでも突撃し、時にはトラブルも巻き起こすが、バウの天真爛漫さがどうにも憎めず思わず笑ってしまう。犬ながら人間のような間抜けさやいじらしさもあり、読者もバウへの愛着を深めていくことになるだろう。
クールな二枚目を気取る中年男性が拾った子犬が、思わぬ大型犬に育ってしまったことから巻き起こるホームコメディ。大手出版社で編集長を務める大門寺文左衛門(だいもんじぶんざえもん)は、完璧を自負する男。職場でも家庭でも尊敬される存在だ。ある日、雨の中で子犬を拾った文左衛門は、紋次郎(もんじろう)と名付けて家族で飼うことに。しかし、子犬は実は大型犬種で、わずか半年で80キロオーバーに育ってしまった。文左衛門を格下とみなした紋次郎に、ふり回される生活が始まってしまうのだった。
雨の中で子犬を拾う。ここまでならよくあるシチュエーションだ。しかし、文左衛門が拾った愛らしい子犬は、ぐんぐん育ち、あっという間に巨大化。獣医によるとどうやらセントバーナードやマスチフといった大型犬に属するらしく、力では到底かなわない存在に。一家の家長としてクールにふるまってきた文左衛門の生活は一変。最愛の妻・さゆりの香りに包まれ一つのベッドで眠る至福の夜は、巨大すぎる紋次郎にベッドのすみにおいやられる一人と一匹の夜に。さゆりの指定席だったバイクのサイドカーも、さゆりにかわって紋次郎が陣取り、やはり一人と一匹でツーリング。外面はクールを装いつつ紋次郎のことを「とってもと――ってもキライである」と心中で嘆く、文左衛門の空回りっぷりが笑える作品だ。
中庭ドッグラン付きのアパート・ハイツ犬養(いぬかい)に暮らす犬と飼い主たちの日常を描くほのぼのコメディ。六条ひとみは、六畳一間のアパートで、真っ白でフワフワなサモエドのぽてまると暮らすOL。毎日使える中庭ドッグラン付きの「ハイツ犬養」なら、大型犬との暮らしも安心。毎朝のお散歩もブラッシングもぽてまると一緒なら楽しい。コリーやチワワ、ダルメシアンに柴犬、愛犬と暮らす住民たちとも仲良くなって、今日もワンダフルでモフモフな一日が始まる。
ワンルームアパートでの一人暮らしというと、犬を飼うのはハードルが高いように思える。大型犬のサモエドとなれば、不可能に近いだろう。しかし、ひとみがぽてまると暮らすハイツ犬養なら大丈夫。管理人兼大家の犬養柴江も4匹の柴犬を飼う犬好きで、犬にも人にも暮らしやすいアパートなのだ。毎日、大好きなぽてまると過ごせるのはもちろん、人見知り気味のひとみでも、ドッグランで犬を遊ばせながら、他の入居者たちと仲良くなることも。夏には犬用のプールも設置され、水遊びが大好きな犬たちは大喜び。ちなみにフワフワな毛並みが特徴のサモエド犬のぽてまるは、水からあがるとおよそ半分のサイズに。おっきいけれど甘えん坊でかわいいぽてまるに、読者もメロメロになるはずだ。