素顔は晒しておりません!主人公が仮面を被った漫画オススメ5選89 Pt.

仮面とは多くの場合、感情や素顔を隠すために用いられるもので、ミステリアスな印象を受ける。今回紹介するキャラクターたちは様々な事情で仮面を装着している。そんな彼、彼女らの仮面の裏側の素顔を見られるのも読者の特権ではないだろうか。

作成日時:2020-03-30 10:00 執筆者:マンガペディア公式

素顔は晒しておりません!主人公が仮面を被った漫画オススメ5選

出典:小学館


『アグネス仮面』

『アグネス仮面』

出典:小学館

プロレスが現在より波乱に満ちていた昭和を舞台に、成り行きから覆面レスラーとなった男の戦いの日々を描いた本格プロレス漫画。5年に及ぶ海外武者修行から帰国したプロレスラー・山本仁吾(やまもとじんご)。しかし、所属の「大和プロレス」は業界最大手の「帝日プロレス」との勝負に敗れ、看板をとられてしまった。帝日プロレスへ道場破りに赴く山本であったが、帝日の社長であるマーベラス・虎嶋(とらじま)に返り討ちにされた上、覆面レスラー「アグネス仮面」にされてしまう。

往年の名プロレスラー・アントニオ猪木をモデルとし、さらに濃縮したような「マーベラス・虎嶋」をはじめ、強烈な個性を持ったプロレスラーが多数登場する本作。昭和プロレスという古き良き時代の、良くも悪くも大雑把でいい加減で真剣な空気が作品に強く反映されている。山本が道場破りを試み、社長・虎嶋に敗北したことで帝日所属の覆面レスラーとなる一件をはじめ、虎嶋が当初の命名「アマゾン仮面」を「アグネス仮面」と言い間違えたことでその名が定着してしまったことや、山本があろうことか、「道場破り対策本部」の係長に任命されたことなど枚挙にいとまがない。そういった部分が逆にリアルであり、作者のプロレス愛がひたすら感じられる。熱量のものすごい愛すべきガチなプロレス漫画だ。


『アイシールド21』

『アイシールド21』

出典:集英社

ひょんなことからアメリカンフットボール部に入部した気弱な男子高校生の才能の開花と成長を描いた本格青春アメフト漫画。小早川瀬那(こばやかわせな)は気弱で、幼い頃から周囲にパシリに使われることが多かった。高校に入学したある日、そのパシリで鍛えられた俊足をアメフト部のサディスティックな先輩・蛭魔妖一(ひるまよういち)に見込まれ、無理矢理に入部させられて、アイシールドで素顔を隠した「アイシールド21」として大会に参加することとなる。2005年~2008年にテレビアニメ化。

泥門(でいもん)高校アメフト部「泥門デビルバッツ」に正体不明の選手「アイシールド21」として選手登録した瀬那は、ライバルたちと切磋琢磨するうちにエースとして成長していく。いわゆる平凡な主人公が、ずば抜けて秀でた一つの特技と努力で才能を発揮し、競技を通して成長していくという王道の展開ではあるが、気弱だった瀬那がアメフトを通し、選手として人間としてどんどん強くなっていく姿が本作では丁寧に描かれており、心を打たれる。アニメ化もされ、アメフトの楽しさを周知し、その知名度を押し上げたスポーツ漫画の傑作だ。また原作者「稲垣理一郎」、作者ともに、それぞれ『Dr.STONE』や『ワンパンマン』など、現在進行形でヒット作を生み出している。


『能面女子の花子さん』

『能面女子の花子さん』

出典:講談社

能面をかけたまま暮らす女子高生の学校生活を描いた青春コメディ漫画。家庭の事情で能面をかけて生活をする女子高生・泉花子(いずみはなこ)の日々を描いている本作。第1話では、入学式で花子が新入生代表として檀上で挨拶する場面から始まる。能面をかけたままの花子にクラスメイトは困惑するも、花子が席を立つやいやな噂話を始める。そんな中、花子は遅刻してきたクラスメイトの江口香穂(えぐちかほ)と親しくなる。そしてクラスメイトから花子について問われた香穂は「花子さんはとても優しく笑う」と述べるのだった。

能面を制作していた一族の女性がみな能面をかけて商売をしていたというしきたりに従い、人前では常に能面をかけている女子高生の花子。字面のみを見ると何か仰々しく感じてしまうが、本作にはそういった暗さや重さはまるでなく、能面をかけている以外は普通の女子高生として花子は描かれている。そして、能楽師の松田三郎など、本作ならではの登場人物も加わり、恋あり、友情ありの青春コメディ作となっている。無表情の代名詞としても使われる「能面」であるが、本作では角度や光の加減といった描写で、変化しないはずの能面にまるで表情があるかのように見せている。読み進めていくと、花子の内面のお茶目さも相まって、だんだん能面も可愛らしく見えてくるから不思議だ。


『HK 変態仮面』

『HK 変態仮面』

出典:集英社

普段は正義感の強い男子高校生が、パンティを顔面に装着することで「変態仮面」となり、悪を成敗していく変態ギャグ漫画。主人公・色丞狂介(しきじょうきょうすけ)は拳法部に所属する男子高校生。刑事であった父ゆずりの正義漢で拳法の腕もなかなか。ある日狂介は、意中の人・姫野愛子(ひめこあいこ)が銀行強盗の人質にされ、彼女を救うためにマスクと間違えてパンティを被ってしまったことで、正義のヒーロー・変態仮面として目覚める。2013年、2016年に実写映画化された。

変態仮面のいでたちは、顔にパンティを装着し、ブーメランパンツと網タイツ以外は脱衣、パンツを両脇に伸ばしクロスさせ肩に通すという、「変態仮面」というほかないようなスタイルだ。そんな変態のいでたちをした正義のヒーローが、悪を成敗していくのだから可笑しくないわけがない。「それは私のおいなりさんだ」という本作の名台詞は、現在でもネットミームとして愛され、しばしば目にすることがある。連載時『究極!! 変態仮面』のタイトルだった本作。1990年代に発表され、1年ほどの短命で終わったものの、今日に至るまでカルトな人気を保ち続ける伝説のギャグ漫画である。2013年に実写映画として復活した際には喝采をもって受け入れられた、愛され続ける作品である。


『パーマン』

『パーマン』

出典:小学館

宇宙人からもらったマスクとマントで正義のヒーローとなった男子小学生が仲間とともに戦うヒーローコメディ漫画。冴えない小学生・須羽みつ夫が、ある日出会った宇宙人からパーマンセット(マスク、マント、バッジ)を受け取る。それらは装着すると、怪力や飛行能力が与えられるというセットだった。その力で正義のヒーローとなったみつ夫は、同じくパーマンとなった仲間たちとともに日々、悪と戦い、災害に立ち向かうのであった。1967年、1983年にテレビアニメ化。

作品冒頭、パーマンセットをみつ夫に渡す際、宇宙人・バードマンは「誰にも自分の正体を明かしてはならない」ということを厳命する。もし正体がばれたら「細胞変換銃」で動物にされるというのだ。パーマンになる際に、正体を隠すために与えられた「コピーロボット」で身代わりをつくり入れ替わるという描写もたびたび出てくる。ヒーローとなり、自らの正体を秘して戦い、ときに社会の矛盾に葛藤し、正義とはなにかという問いをも内包して、それらをコメディタッチで描いた本作。多数の名作を生み出してきた作者の代表作の一つであり、子ども向けではあるものの、大人をも夢中にさせる、ヒーローコメディの大傑作である。


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