「機動戦士ガンダム」一年戦争のアナザーストーリー特集！オススメ漫画５選72 Pt.

アグレッサー部隊は亡命兵で構成されるがゆえに味方からも疎まれ、危険な前線で戦い戦果をあげてきた部隊だ。その活躍とは裏腹に敵味方双方より疎まれるアグレッサー部隊の悲哀も、本作では描かれている。葛藤するチェイスの孤独な戦いは、どこかヒロイックである。そうしたチェイスをはじめ感情移入できるキャラクターが多数登場する本作。だからこそ、その戦いには胸を打たれる。他の登場人物も一人ひとり個性が分かりやすいのも本作の特徴だ。また同作者の描いた『機動戦士ガンダム 黒衣の狩人』からのキャラクターも本作には登場する。こちらもオススメの作品だ。代表作であるゴルフ漫画『DAN DOH!!』で人気を博した作者による意欲作である。

トーマスの取材を通し、彼の視点から見た一年戦争開戦から終戦までのエピソードを中心に綴られる本作。その第一の目玉として、本作オリジナルのMS「ガンダムGT-FOUR」の活躍があげられるだろう。「機動戦士ガンダム」の続編「機動戦士Ζガンダム」で登場する、航空形態への変形が可能な「可変MS」のプロトタイプ的な機体である。GT-FOURと、ジオン残党が敗戦後に持ち出す可変MS「ザクスピード」の戦闘は見ものである。本作をはじめ物語と物語をつなぐミッシングリンク的なエピソードは後年、アニメ・漫画・ゲームなど様々な媒体で多数作られており、本作はその一つである。ちなみにその代表的な例に小説・アニメ・漫画で展開され人気を博した「機動戦士ガンダムUC（ユニコーン）」がある。

本作のハイライトは、アニメでは主役機のガンダムとのフリデリックらとの戦闘だろう。次々と仲間の機体が撃破され、フレデリックも機体を損傷するも一命を取り留める。ジオンの一般兵士から見たガンダムの圧倒的な強さはまさに悪魔のようである。また、アニメと時系列を共有しながら、戦争の残酷さ、戦場の過酷さが強調されて描かれているのも特徴的。なお、アニメ「機動戦士ガンダム」は一年戦争終戦までの4か月を描いた作品である。ガンダム漫画の第一人者により描かれた、アニメの外伝的な位置づけの本作。アニメでは敵軍であるジオン軍の視点で一年戦争を描いた最初期の作品である。数度の復刊を経て後続に大きな影響を与えてきた傑作だ。緻密に描かれたMSはモデラーの間でも話題になり、後に商品化もされた。

まず、本作のタイトル中の「MSV」とは「モビルスーツバリエーション」のこと。アニメ本編をベースに様々な媒体での企画により生み出されたMSの派生機や、企画自体を指す。そして「MSV-R」はその企画の続編である。「シン・マツナガ」という人物、彼専用の白いザクなどの機体は、このMSVから生まれ、それまで多く語られることはなかった。その彼の一年戦争を詳細に描いたのが本作である。本作は、同じくMSVから生まれた「真紅の稲妻」ジョニー・ライデンや、アニメでも活躍した「青き巨星」ランバ・ラル、「黒い三連星」などをはじめ、有名無名の様々なキャラが多数登場し、マツナガと関わっていく。これまで展開されてきた多くの設定を巧みに取り入れており、ファン心理に訴える作品である。

『MOONLIGHT MILE』で本格SFを描く作者が「ガンダム」の世界を舞台に、壮大なドラマを描く本作。緻密な作画と骨太な物語を楽しむことができる。終戦直前に繰り広げられる、連邦のエリートであるイオの「フルアーマーガンダム」と、ジオン軍兵士・ダリルの「サイコ・ザク」の激戦は鳥肌もの。2人の宿命ともいえる戦いを中心に物語が展開していく本作は、戦闘描写もさることながら、物語や心理描写も秀逸だ。物語は前述の激戦で一度ピークに達するも、終戦後も地球を舞台にさらに盛り上がり続ける。戦争とは、果ては人間とは何かという問いに踏み入った作品といっても過言ではない。なお本作に登場するMSはプラモデルとしても商品展開され人気を博している。