極道の世界で名を鳴らした主人公が、キャリアウーマンの妻との結婚をきっかけに家事全般をこなす専業主夫に転身する任侠コメディドラマ漫画。かつて「不死身の龍」と呼ばれ、一晩に単身丸腰で抗争相手の事務所を十か所潰したといわれている伝説のヤクザ「龍」。だが、その後彼は皆の前から忽然と姿を消していた。何と、龍はデザイナーの仕事に就いている一般女性の美久(みく)と結婚し、家事の出来ない彼女のために料理、洗濯、掃除の日々を送っていたのだった。2020年テレビドラマ化、2021年ネットアニメ化。
龍は辰崎組の構成員だった男で、肩や背中一面に入れ墨があり、黒のスーツに髪の毛はオールバック、サングラスをした顔には額から左眼の下までの大きな傷跡がある。どこから見ても最凶ヤクザ以外に見えないのだが、今の龍の戦闘服はスーツの上に身につけた柴犬のマークが付いている可愛いエプロンである。包丁(ドス)の扱いに慣れている龍は今朝も美久のために卵焼きにウインナー、熊キャラのおにぎりを詰めた愛情弁当を作り上げた。龍がスマホで撮影をしていると「やばい、遅刻だ!」大事な会議があるのを忘れていた美久が朝食も食べずに急ぎ出て行った。美久が弁当を忘れて行ったことに気づいた龍は、ヤクザ時代に使っていたアタッシュケースに弁当を入れ「お弁当ぉ、忘れてるでぇぇぇ!!!」と叫びながらママチャリで美久を追いかけた。ところが、不審者と思われて警察官から職質されてしまう。職業を聞かれた龍は「専業主夫です!」と答えるのだった。
「決めようか⋯忍者と極道、何方(どちら)が生存(いき)るか死滅(くたば)るか…‼」江戸時代より300年続いている極道と忍者集団との死闘を描いた壮絶バトル漫画。忍者が日本史の奥より突然蘇ったのは90年末期のこと。彼らは警察より早く裏社会(極道)の悪事を嗅ぎつけ、去った後に残るのは悪人どもの死体と丁重に保護された被害者市民だけで、痕跡は一切残さない。分かっているのは、現代の忍者とはどこの下にも属さず、金や権力や国の法に縛られず、己の法で悪を殺す集団だということだけだった。
西暦2020年の丸の内。株式会社ダイバンのエリートサラリーマンである輝村極道(きむらきわみ)は、私用スマホを落としたことがきっかけで高校生の多仲忍者(たなかしのは)と知り合う。落としたスマホのケースはアニメ「フラッシュ☆プリンセス!」限定品で、輝村と多仲はそのアニメの熱烈なファン同士だったことから、初対面ながらも意気投合する。ところが、実はこの2人は江戸時代から壮絶な争いを続けている因縁の敵(かたき)同士だったのだ。輝村は表向きは会社員だが、裏の社会では泣く子も黙る男羽組傘下にある竹本組の二代目裏組長である。一方、多仲は同級生からは変わり者扱いされているが、その正体は辣腕忍者集団「帝都八忍」の一人であり、幼少期に家族を極道に殺されたことがトラウマとなって笑うことができなくなっていた。
暴力団の組員である身分を隠して高校に通っている主人公が、特技の料理で様々なレシピを駆使しながら極道として生きていく姿を描いたヤクザ&グルメドラマ漫画。東京都に本部を置いている指定暴力団「霜降肉組」の新人組員である18歳の紺田照(こんだてる)は大人しくクールな優男の外見とは裏腹に肝が座っており、周囲からも一目置かれる存在だった。今回も桃嘉十組の突然の襲撃を見事に退けた照だったが、実のところ、彼の頭の中はある案件で切羽詰まった状態だったのだ。
照が今、最も心血を注いでいる案件とは「料理のレシピ」である。福岡での取引(トカレフの密輸)のついでにお土産で買った辛子明太子の賞味期限が迫っており、どう料理するか悩んでいたのだ。そのまま食べ、明太子を入れた卵焼きに明太パスタも作った。さて、あとはどうするか迷っていたのだが、今回の襲撃で頭にリボルバーを突き付けられたことで照は閃いた。「こいつだ 野菜界のリボルバー」レンコンに合法ハーブである大葉と、明太子をマヨネーズで和えて隠し味にアボカドを入れたものを挟んで天ぷら衣で揚げるのだ。米と共に食えば、口の中の抗争はピークに達する。極道独特の言い回しが料理の随所で使われており、作品内のレシピはネット上でも閲覧することが出来る。
若頭である主人公が組長の娘の世話係をすることになり、女の子とのコミュニケーションに苦悩しながらも人としての温かみを身に付けていくハートウォーミングギャグ漫画。暴力団桜樹組の若頭である霧島透(28歳)は通称「桜樹組の悪魔」との異名がある武闘派ヤクザである。単なる集金にも血の雨を降らす透に組長の桜樹一彦は「自由過ぎるてめえに足りない責任感ある仕事を与える」との命を与える。その仕事とは組長の娘である八重花(やえか)の世話をすることだった。
「これからは常に八重花のことを考え、全ての行動に責任を持て」と言樹われた透は八重花に向かって「これからよろしくお願いしますね、お嬢」と挨拶をするが、彼女からそっぽを向かれてしまう。翌朝、八重花を学校まで送って行こうとした透は、子連れの透を襲撃しようとするヤクザ連中から尾行されていることに気付き、八重花と「だるまさんがころんだ」をするふりをしてヤクザたちをボコボコにする。そんなある日、叔母の香菜美から八重花の元気のなさを知らされた透は八重花が学校に行った隙に部屋に入り、母親のいない八重花が授業参観の知らせを隠していたことを知る。香菜美は「そばにいるのに、助けられないのは悔しいじゃないですか」とこぼす透に授業参観に出席するようアドバイスする。
武闘派の暴力団事務所に入社したゆとり世代の主人公がどこまでも超自己中ペースを貫き、先輩ヤクザを煙に巻いていく様を描いたギャグコメディ漫画。暴力団「過獣組」に入社した市後翔人(いちごしょうと)は平成生まれのゆとり世代。そんな翔人を迎え撃つ昭和世代の先輩ヤクザたちは「おざーす(おはようございます)」「おなしゃす(お願いします)」と、出勤初日の挨拶からして超マイペースな翔人の姿を目の当たりにして、開いた口がふさがらない。
「挨拶は社会人としてのマナーだろうが!!そんなんじゃ社会では通用しねぇぞゴラァ!」と先輩ヤクザの武堂に凄まれても、翔人は「ちょっとやり方がわからないんですが」とどこ吹く風。武堂は仕方なく、お辞儀の角度は45度で、しっかりと頭を下げて大きな声で言えばいいんだよ!と教えるが、翔人はさらに「もう一度」と要求してくる。腹を立てた武堂は「お前は新人なんだから誰に会っても挨拶しろ‼ドアが開いたら大声でこうやれ‼」扉が開いた瞬間「おはようございます‼」大声で挨拶した武堂だったが、そこにいたのは「武堂死ねやー‼」武堂を襲撃しに来たヤクザだった。武堂の挨拶に出端をくじかれたヤクザが取り押さえられる姿を見た翔人は「あいさつって大事なんですね」としみじみ。どこまでもマイペースな翔人なのだった。