「終わった人」特集。そこ(底)からどう生きる?86 Pt.

どん底まで堕ちた人々、絶望の中で生きる者が選ぶのは死か、それとも!? 彼らは這い上がることはできるのか、結末を読むまでは眠れない!

作成日時:2018-08-26 10:00 執筆者:マンガペディア公式

人生の失敗、信頼していた人の裏切り、愛する家族の死。もはや、誰も信じられない…そんな絶望から始まる物語を、フィクション・ノンフィクション問わず紹介。思わず感情移入して泣ける&応援したくなってしまうかも!


話題をさらったアニメ化作品も手掛けた人気漫画家・吾妻ひでおのノンフィクション自叙伝。人気漫画家でありながらも、酒に溺れ、仕事から逃げ出した筆者。仕事を全て放り出し、漠然とした不安から死に場所を求めて失踪するも死にきれず、ホームレス生活をすることに。アル中病院に入院した際の体験記も収録。

1970~1980年代にアニメ化もされた人気作品『ななこSOS』や『オリンポスのポロン』の原作者である吾妻ひでおが、自身の”底”にまで落ちきった半生を、冷静な目で振り返って淡々とつづっている。複数の漫画誌で連載を持っていたが、仕事に対する意欲を失い逃げてしまい、そこからずるずると酒に溺れ、不安から逃げるため失踪、ホームレス生活へと流されていく。家に戻り再度マンガを描く生活を取り戻すも、今度は飲酒が止められない完全な依存症に。アルコール依存専門病院に強制入院させられ、苦しい治療を受けることになる。常識だけでは語れない病院内の知られざる世界も、目が離せない内容だ。


夫、娘、そしてまだ7歳の息子、清貴と幸せに暮らす主婦・小沢聖子。だがある日、たった10分の入れ違いの間に清貴が行方不明になってしまう。その後、清貴は何者かに殺害された姿で発見される。子どもから目を離した母親としてマスコミや人々から中傷を受ける聖子。やがて判明した犯人は、まだ11歳の少年だった。

弁護士・石井誠一郎氏監修の本格的ヒューマンドラマ。殺人事件被害者の家族の苦悩、少年法の難しさが切々と描かれている。聖子の清貴に対する深い愛情と、それを永遠に喪ってしまった時の哀しみは、作品を直視するのが苦しくなるほどだ。さらに犯人が判明すると、そのいたたまれなさは深くなる。11歳の犯人は少年法に護られ、顔も名前も知らず憎悪を向けることさえできない。犯人の少年・裕一がなぜ清貴を殺したのか。裕一の家族は彼のそんな一面に気づけずにいたのか。被害者と加害者、それぞれの家族はどちらも果てしない苦悩に包まれる。深い心の傷を負った両家族は、この先どのような道を進むのか。ラストまで目が離せない一作だ。


『薔薇王の葬列』

出典:秋田書店

中世イングランドのヨーク家とランカスター家の間であった薔薇戦争。そのヨーク家の最後の王として知られるリチャード三世をモチーフにしたファンタジー作品。ヨーク家の三男・リチャードは生まれながらにある秘密をかかえ、母から疎まれていた。唯一、父であるヨーク公が愛を注いでくれたが、父は非業の死を遂げてしまう。

シェイクスピアの史劇「リチャード三世」を原案に描かれたダークファンタジー。シェイクスピア版では醜い容姿で描かれた主人公・リチャードは、本作では怪しげな美しさを秘めた姿で描かれている。リチャードは生まれつき両性具有の体をしており、母から疎まれていた。それゆえ幼き頃に母に森に置き去りにされたこともあった。唯一の理解者であった父が非業の死を遂げたのち、己の体への劣等感から、リチャードは常に苦しみと呪いに満ちた生き方をしている。そんな彼(あるいは彼女)が初めて父以外に心を通わせた相手がヘンリーという男だった。しかしそのヘンリーこそ、父を殺したランカスター家の王。どこまでも救われないリチャードの行きつく先はどこだろうか。


『死んで生き返りましたれぽ』

出典:双葉社

ある日、自宅のトイレで気を失った「わたし」。病院に運ばれ、目を覚ました時には声も出せない状態だった。あと数時間発見が遅れていれば、死んでいたという。心肺停止、急性腎不全、糖尿病など重篤な病気を併発し、「わたし」が一度取り戻した意識は、再び消えた。筆者の壮絶な体験談を元に描かれた、ノンフィクション闘病レポート。

イラストレーターの村上竹尾氏が、自身が体験した闘病生活を克明につづった作品。少し前から体調不良の気配はあったが、そのまま放置していて、ある日突然倒れてしまった筆者。二度の意識不明状態を経て、視覚が奪われ、声を出すことも困難な状態にまで陥る。前半はわざとつたない線や輪郭だけで描かれており、「感覚が失われている」という状態が臨場感に溢れて表現されている。また本人の記憶にない部分は後に人からの伝聞で補完し、その時どれほど危険で異常であったかも余すことなく記載。それまで絵を描くことがあまり好きではなかったという筆者。だが、視覚を失って初めて、絵に対して深い想い入れがあったことを意識する場面は、本誌の中でも屈指の名シーンである。


幼なじみの信太郎、椿、明、竜、遥はとある秘密を抱えていた。それは11歳の夏、五人で殺人をして死体を隠したこと。それから毎年彼らは死体を前にお互いの秘密を守る誓いをしていた。だがそれから五年目の夏、彼らの秘密を知る何者からか脅迫を受けることに。脅迫電話に従って謎の遺体の解体を課せられた五人の運命は!?

五人がまだ小学生の時に共謀して犯した罪、それは殺人という重罪。彼らが殺したのは信太郎の父親であった。父親に虐待されていた信太郎を救うため、まだ幼い5人は「殺人」に手を染めたのである。物語の始まりからして救われない展開の本作。ずっと重い罪を隠し続けなくてはならない緊張感が、否応なく溢れている。そんな彼らの前から死体が消え、死体を持ち去ったとされる謎の人物から脅迫されてしまう。謎の脅迫者の正体も気になる一方、許されない罪とはいえ、彼らの殺人のきっかけを考えると思わず感情移入してしまい、どうにか秘密がバレないでほしい、とハラハラする。5人に待ち受ける結末を、ぜひその目で確かめてほしい。


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