どんな姿の貴方でも愛します…一途なラブストーリー漫画オススメ５選27 Pt.

2014年にセンス・オブ・ジェンダーを受賞した本作。登場するキャラクターたちも、他者から理解されにくい「性」や「愛」を持つ者が多い。たとえばタイチと共に主人公であるテツオは男装の麗人で、自分の「女」である性に苦悩する姿が度々描かれる。そんな難しい「愛」を持つ者たちの中でも、現在の幽霊塔の所有者である丸部道九郎は特に強烈だ。彼はとある理由から離れ離れになった恋人を追い続けており、自ら女性化したり恋人と同じドレスを着るなど常軌を逸した行動を行う。さらにミイラ状態で発見された恋人の亡骸を、生きている時と変わらず大切に愛しているのだ。

『摩利と新吾』で知られる木原敏江の描くオムニバス作品集『夢の碑』シリーズ。今回の特集で紹介するのは、単行本20巻収録の短編「月光城」だ。物語の舞台は15世紀のフランス。ローラン伯の息子に嫁いだ姫は結婚後わずか半年で夫が出陣して離れ離れになってしまう。戦争で夫が行方不明になったと知らされた姫は、森の奥にある月光城に避難する。夫を待っている間に産まれた赤子も、生きるために食人までする姫を恐れて逃げ出した侍女に連れていかれてしまい、姫はひとり孤独に夫を待ち続けた。やがて80年以上の時が流れる。姫は魔物に、夫は枯れた老人となってしまうが、ついにふたりは再会。ふたりはどんなに姿が変わっていてもお互いに一目で夫と妻だとわかり、共に手を取ってその命を終えるのだった。

本作は過酷なハンター試験や様々な陰謀に巻き込まれながらも、主人公のゴンと仲間たちが一流のハンターとして成長していく物語。特に異形の生き物との攻防を描いた「キメラ＝アント編」では、多くの犠牲を出す壮絶な戦いが描かれている。優れた知能と恐ろしい力を持つキメラ＝アントの女王は、人間を餌として捕食する。そんな中、コルトとレイナという幼い兄妹も捕食され、レイナはキメラ＝アントの兵士へと作り変えられてしまう。その後戦いが終わり、レイナは故郷に戻っていく。もはや人間の姿でないにも関わらず、こっそり現れたレイナを彼女の母親は娘だと確信。何でわかるのかと問いかけるレイナに対し、母親は彼女を抱きしめ、母親だからわかると断言するのだった。凄惨な戦いのあとだからこそ、親の愛を強く感じられるエピソードだ。

主人公の鉄郎は幼い日、目の前で機械伯爵に母を殺された。鉄郎はそんな母親によく似た美女であるメーテルを連れて「機械の体を無料でもらえる星」に行くことを条件に、彼女から銀河鉄道のパスをもらい旅に出る。そんなメーテルの正体は、人々に機械の体を与える機械帝国の女王プロメシュームの娘。メーテルの体も母から与えられたものであり、本来の姿とは異なっている。また彼女の父親でプロメシュームの夫であったドクター・バンも人の体を喪っており、メーテルの持つペンダントに魂を封じ込められていた。ドクター・バンは人類の機械化を反対しており、体を喪ってでも愛する娘メーテルと共に、かつての妻と機械化帝国の野望を阻止しようと苦心している。

本作「未来編」は「火の鳥」シリーズで二作目に描かれた作品だが、後に出される全シリーズが繋がる「結末」が描かれている。コンピューターによる戦争で人類が滅亡し、火の鳥が使命を託した者によってまた新たな人類が誕生していく物語。本作の主人公で火の鳥に新たな人類の誕生を託された山之辺マサトには、タマミという恋人がいた。タマミは人間ではなく、不定形生物「ムーピー」でどのような姿にも変身可能。タマミはマサトのために生物創造を目指す猿田博士の実験にその身を捧げ、人間の姿を保てなくなってしまう。だが火の鳥から永遠の命を与えられたマサトとムーピー本来の姿になったタマミは、タマミの寿命が尽きるその時までお互いを愛し続けるのだった。