血で血を洗う兄妹同士のデス・ゲームを描いた、戦慄のゴシックファンタジー漫画。日本が誇る世界有数の大財閥・久遠寺家。基本的に自由主義の久遠寺家だったが、ただ1つ絶対に守らなくてはならないしきたりがあった。それが、月に1度開かれる家族を集めた「いかれたお茶会(マッド・ティー・パーティー)」には、何があっても絶対参加するということ。ある日、お茶会に参加した9人の兄妹たちは、母親から兄妹で殺し合いをするように命じられる。
政界にも絶大な影響力を持つ久遠寺一族。そのトップの座に就いているのは、久遠寺兄妹の母・織雅(オルガ)だ。彼女の主催で開かれるお茶会は、一風変わった家族団らん。四女・星(ステラ)の憧れの長兄・是乃(ゼノ)の誕生会もかねたそれは、いつも通り和気あいあいとした雰囲気で終わるはずだった。織雅が、久遠寺家の次期当主を選別するために兄妹で最後の1人になるまで殺し合え、という恐ろしい発言をするまでは。かくして始まった、兄妹同士の殺し合い。おぞましい空間の中で狂った星の中に「血塗れのアリス」の人格が現れ、彼女は戦慄のサバイバルゲームに身を投じることになる。恐ろしく残酷な展開の連続に、読者は震えながらもページをめくる手が止まらなくなるだろう。
自らの分身に体を奪われてしまった主人公の少年が、体を取り戻すべく奮闘するファンタジー漫画。主人公は、妖精のような不思議な存在を視る力を持った少年・羽住衣杏(はすみいあん)、15歳。衣杏には自分の分身のような存在が視えており、その分身のことを「トカゲ」と呼んでいた。ある日、世間で話題となっている「妖精殺人事件」の現場を目撃した衣杏は、犯人らしき謎の男から不思議な石を渡され、それによってトカゲに自身の体を奪われてしまう。
人が背中から血を流して変死する事件。まるで死体から羽でも生えたかのように血が噴き出て、無数に光る小さな飛行体がそこから去る様子を目撃した人もいることから、その事件は「妖精殺人事件」と呼ばれていた。その事件現場から何かを持ち去った不思議な男・界外(カイト)から、衣杏はキューブという立方体の標本をもらう。キューブには妖精が入っており、手にした人間の体を乗っ取ろうとする。妖精殺人事件の被害者は、妖精が乗っ取ろうとしたが不適応だったために失敗した結果だった。衣杏が手渡されたキューブの中には、なんと分身であるはずのトカゲがおり、衣杏の体と適応してしまったため、体を乗っ取られて魂だけの存在となってしまう。衣杏は界外の協力を得て体を取り戻そうとするのだが、果たしてうまくいくのか。衣杏の行く末を最後まで見守ろう。
グリム童話を斬新な解釈で描いた、美しくも残酷なフェアリーテイル。主人公は、容姿端麗で頭も切れるが、性格に問題がある女好きの王子・ルードヴィッヒ、通称ルーイ。ある日、ルーイは父王からの命令で、隣の国へ親善大使として赴き、国王の1人娘に求婚してくることになる。役目を果たすまで帰国は許さぬと言われ、渋々旅立ったルーイであったが、求婚の話は白紙に。ルーイは自分に相応しい花嫁を探すため、いくつもの国を渡り歩き、個性豊かな姫たちに出会う。
本作のモチーフとなっているグリム童話では、ヒロインである姫を中心に物語が展開される。王子の存在感は薄い。一方本作は、王子の視点で物語が進む、グリム童話を別解釈で描いた作品である。元の童話では、白雪姫には白雪姫の王子が、シンデレラにはシンデレラの王子が登場する。しかし、本作に登場する王子はルーイ1人だ。彼が様々な姫と出会うことで、ストーリーは動いていく。ルーイが出会う姫たちは、多くの読者がイメージしているような人物ではない。皆、一癖も二癖もある女性たちばかり。本来のグリム童話を知っている人は、あまりの違いに目をみはることだろう。その違いこそが、本作の魅力。本来の童話と照らし合わせながら物語を追ってみるのも面白いだろう。
震災孤児の少年が過酷な運命に翻弄されるダークファンタジー漫画。舞台となるのは、西洋文化が入ってきたロマン華やぐ時代の帝都・東京。主人公の木城ソラトは、東京を襲った大震災から2週間後、奇跡的に救出された。孤児の彼が引き取られたのは、一年中曼珠沙華が咲き誇る屋敷「血華(ちばな)邸」を所有することで知られる、神近(かみちか)男爵家。そこでソラトは跡継ぎの我藍(がらん)、我藍の婚約者にして巫女である清ら(きよら)らと心を通わせるが、3人の幸せが長く続くことはなかった。
神近家は代々、清らのような巫女の家系の養女を取り、長男の花嫁として育て上げるのが習わしだ。大人が勝手に決めた婚約者。我藍と清らに、それに逆らう術はない。そんな2人を傍で見てきた、神近男爵家の使用人・ソラト。彼らは、3人でいるときだけは身分の違いや周囲から定められた関係にこだわらず接し合ってきた。そんな3人の関係は、神近男爵が自らの野望を成就させるために発動した黒魔術と、それぞれが抱く想いによってもろくも崩れ去ってしまう。本作の見所は、ソラト・我藍・清らの切ない三角関係だ。我藍は婚約者の清らを大切に思っており、しかし清らはソラトに想いを寄せている。すれ違う3人の行く末と、神近男爵の野望の結末、ソラトが抱える謎が気になる作品だ。
兄と妹の禁じられた恋に、天使と悪魔の戦いを絡めたダークファンタジー漫画。主人公の無道刹那は、16歳の男子高校生。彼にはある秘密があった。それは、実の妹の紗羅に恋心を抱いてしまっているということ。ある日、禁断の想いに苦しむ刹那の前に、地獄からやってきたという邪鬼(イヴル)が現れ、刹那は罪を犯した女天使アレクシエルの転生した姿だと告げられる。一方その頃、天界ではかつてアレクシエルが封印した双子の弟・ロシエルが復活の兆しを見せていた。2000年にOVA化。
実の妹への恋情に苦悩する兄・刹那。物語は兄妹の衝撃的な恋愛模様から始まる。刹那と紗羅の両親は離婚する予定だったが、離婚が成立して2人が父と母それぞれに引き取られ名字が変わったとしても、他人になるわけではない。刹那と紗羅が実の兄妹だという真実は、一生ついて回る。決して許されない、禁断の恋だ。ただでさえ難しい恋であるのに、そこに天使や堕天使、悪魔など人外の存在の問題も関わってくるのだから堪らない。刹那と紗羅には次から次へと試練が降りかかり、両想いであるのにすれ違い続ける。2人の恋は、どのような結末を迎えるのか。そして、天界や地獄を巻き込んだ戦いの行方はどうなるのか。先の読めない展開の連続に、読者は息を呑むはずだ。