2004年4月号から2007年9月号まで「ヤングキングアワーズ」(少年画報社)にて連載され、全巻7巻が出版されている。アニメーターという夢のある仕事に対し、現実の仕事はまるで地獄……。それでも夢のために働き続けることができるのか? 原画の描き方や会社のシステムなど仕事に役立つ情報から、低賃金重労働、人間関係の生々しさを描いたリアリティの高い作品となっている。アニメーターになりたい方やアニメが好きな方に是非、読んで欲しい。
『魔法騎士レイアース』や『勇者警察ジェイデッカー』などを手掛けたアニメーター「石田敦子(いしだあつこ)」が描くマンガ『アニメがお仕事! 』。このマンガでアニメーターとは何なのか勉強してみたい。
出典:Amazon.co.jp
2004年4月号から2007年9月号まで「ヤングキングアワーズ」(少年画報社)にて連載され、全巻7巻が出版されている。アニメーターという夢のある仕事に対し、現実の仕事はまるで地獄……。それでも夢のために働き続けることができるのか? 原画の描き方や会社のシステムなど仕事に役立つ情報から、低賃金重労働、人間関係の生々しさを描いたリアリティの高い作品となっている。アニメーターになりたい方やアニメが好きな方に是非、読んで欲しい。
主人公は2人のアニメーター。アニメ好き、マンガ好きが高じてアニメーターの世界に飛び込んだ2人。姉「福山イチ乃(ふくやま・いちの)」と弟「二太(にた)」。俗に言う「売れっ子アニメーター」からは程遠い、新人アニメーター(動画マン)の世界を生きる2人を描く。
主人公の1人(メインの主人公)である福山イチ乃は、高校卒業後すぐにアニメーターになるために上京した弟の二太を追い、アニメ制作会社「めもちプロ」に途中入社する。基本、新人アニメーターのお仕事は「1枚いくら」の動画から始まる。既にご存じの方も多いだろうが、アニメの作画はおおざっぱにいえば「原画」と「動画」で出来ており、作画の肝心な部分や動きのタイミングを描く部分を「原画」と呼び、クリンナップ(線を整えること)や、原画と原画の間をつなぐ絵を描く仕事を「動画」と呼ぶ。クリンナップの部分を「第2原画」と呼ぶこともある。「動画」というのはアニメの世界で、縁の下の力持ちであることは確かだ。アニメは「動く絵」であることを前提とすれば、やはり「動画」を描く人がいなければ始まらない大事な仕事だ。
アニメーター(特に動画)は、1枚いくらの単位制家内手工業。原画と原画の間を描くことを「中を割る」というが、キャラクターがしゃべるときの「口の動きのみ」を描く通称「口パク」も、大勢のキャラが動き回るひとコマも同じ金額になる……。「1枚いくら」というのは「描けば描くほど」と思うかもしれないが、現実は「1枚採用されていくら」なので、たとえば作画的に「ダメだし(リテイクと呼ぶ)」をくらえば描き直すことになる。縁の下の力持ち、といえば聞こえはいいが、やはり「動画」はアニメの世界では下積み中の下積み。いつかは上手くなって、原画を描けるようになりたい、というのはその世界では当然のことなのだろう。「止まった絵が上手い」だけでは続かない世界だ。
アニメを仕事として選んだイチ乃は、高校時代の「漫画研究会」の仲間たちとの同窓会で、かつてともにアニメを語り、その世界に憧れを抱いていた仲間たちが学校卒業と同時に「その世界」から離れていることに愕然とさせられる。「アニメに憧れるなんて高校生まででしょ」「恥ずかしいからやめて」の友の声。「アニメを一生ものだと思っていた」からこそ、その世界へと飛び込んだイチ乃にとって、自分の存在価値さえ覆すような言葉。その言葉が、イチ乃の鉛筆の線を鈍らせ、気持ちを落ち込ませていく……。
その時に同席していた「漫研部長」から届いた分厚い封書。中身は、イチ乃たちが高校時代に演劇部と合同で演じた「ロボットが出てこない、でもロボットアニメならではの世界」を描いたシナリオと、その部長が故郷の広島で、新人賞に送るために書いているシナリオのコピーだった。「ふるさとを一歩も出ることのできない自分から見たら、上京し、アニメの世界に飛び込んだイチ乃が眩しいく、羨ましい」。落ち込んでいたイチ乃の心を明日に向けてくれる、そんな「友」からの手紙であった。
自分が「アニメの世界で生きる」ということの憧れや理想と、現実とのギャップ。同じ「アニメの世界で生きている」先輩や同僚からも「夢をきくこと、語ること」ができなくなる不安。そのなかでめげそうになり、いつくじけてもおかしくない自分を奮い立たせ、アニメを仕事として選んだ自分を信じて頑張っていく。そんな思いが詰まった逸品。それが『アニメがお仕事! 』というマンガだ。
本作品はアニメーターに限らず、自分の信じる理想と現実の差に心を折られそうになった時、何くそと頑張る時の心の支えになる作品だ。普段何気なく見ているアニメや、今手に取っているマンガには、血の滲むような努力が介在していると思うと感慨深いものがある。まだ読んだことのない方は、まずは1巻を試し読みしてみてはいかがだろうか?
『アニメがお仕事! 』の試し読みができる。気になる方は是非、読んでみて欲しい。
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