強力な超能力を持つがゆえに自分を不幸だと思い込み、目立つことを避けてきた主人公が、高校生になってから出会った友人たちの騒動に巻き込まれる、学園日常コメディ。斉木楠雄(さいきくすお)は、ありとあらゆる超能力を持つ高校生。持つ者だからこその不幸を感じながら日々生活していた。ある日、財布を盗んだ疑いをかけられている同級生・燃堂力(ねんどうりき)を助けたところ、妙に気に入られやたらと絡まれるようになってしまうのだった。2016年にテレビアニメ化。2017年に実写映画化。
斉木楠雄は超能力者である。しかも楠雄の能力は一つに限定されていない。テレパシー、サイコキネシス、透視、予知等々、ありとあらゆる力を持っているのだ。生まれてたった14日で念話を会得し、生後1か月には空中歩行をしていたという。本気になれば3日ほどで世界を滅ぼせるというのだから、その実力は計り知れない。しかし、本人にその気がないので世界はいたって平和である。能力を知っているのは両親だけで、実際の楠雄は学校ではクールで無口な一生徒に過ぎない。楠雄自身のキャラクターもかなり濃いのだが、他の登場人物も輪をかけて強烈な個性の持ち主ばかり。ほぼ言葉を発することなくモノローグでのみ発言をする楠雄の冷静なツッコミに、思わずにやりとしてしまう。燃堂との出会いにより、同年代の友人を持つことになる楠雄だが、燃堂のキャラクターがとても良い。人の気持ちのすべてがわかってしまう楠雄にとって、気安く付き合える友人は貴重だ。
県立の男子高校に通う3人を中心に、学校生活や周囲の人々との関係をコミカルに描いていく学園日常コメディ。タダクニ、ヒデノリ、ヨシタケはアホなことをしてつるんでいる友人同士。いつもタダクニの家に入り浸っていた。テスト期間中のある日、いつも通りタダクニの家に集まっていた3人だったが、ヒデノリの「スカートってどう思う?」という一言により、スカート談議に発展。タダクニは妹のスカートを着用することになってしまう。2012年テレビアニメ化、2013年実写映画が公開された。
男子高校生と一口に言っても、共学か男子校かによって印象は変わる。共学は周囲を見回せば普通に異性がいる環境だ。酸いも甘いも経験できる環境になっている。しかし、男子校は辺りを見渡しても、いるのは同性ばかり。学校外で異性に出会う機会はもちろんあるが、身近な存在とは言い難い。異性が周囲にいない環境で生活しているとどうなるのかというと、興味関心が異常に強くなってしまうのだ。3人でつるむことの多いタダクニ、ヨシタケ、ヒデノリも男子高校に通っている。彼らも例外ではなく、冒頭から女子のスカートに対する熱い想いを吐露している。男子高校生の面白いところは、情熱の向かう方向が斜め上というところだ。スカートへの熱い想いは、何故かタダクニが女装をするという結末を迎えてしまう。仲間とふざけているのが楽しい年ごろだ。青春はちょっとアホな方が面白く、輝かしい。
元々女子校だった高校に入学した男子生徒5人が、女子風呂覗きに失敗した結果懲罰棟に入れられてしまうも脱獄を企てるエロコメディ。私立八光(はちみつ)学園は全寮制の女子校だったが、理事長の交代をきっかけに共学へと変更された。新規入学生のうち、男子は5名のみ。しかし、女子とは全く仲良くなれず不遇の日々を送っていた。ある時我慢の限界が来た主人公のキヨシこと藤野清志を含む男子たちは、女子風呂を覗こうと行動を開始する。2015年、テレビアニメ及びテレビドラマが放送された。
女子校に男子が足を踏み入れる機会は驚くほど少ない。大手を振って歩けるのは文化祭くらいだ。公立高校ならまだしも、私立の全寮制となれば、秘密の花園という雰囲気は増す。八光学園は東京郊外に位置する私立高校だ。元々全寮制の女子校だったのだが、理事長の交代をきっかけに共学へと変更、5人の男子生徒が入学してくる。本来、学校は自分が勉強したい分野に特化している場所を選ぶべきなのだが、それは将来の夢が決まっている人や大人の考え方。思春期真っただ中、女子のほうが多い学校なら容易に女の子と仲良くなれるのでは、と考えてしまうのは致し方ないだろう。しかし、学園には男子を追い出したい組織「裏生徒会」が存在し、女子と簡単に仲良くなれないシステムが作られていた。キヨシだけでなく、男子全員煩悩の塊。異性に対する夢と希望は行動力に直結する。かなりの無茶をやらかすが、若さゆえだろう。理由がシンプルだからこそ、彼らは全力で挑んでしまうのかもしれない。
殺し屋を家業としている姉妹の妹が、同級生の大会社の御曹司からラブレターをもらったことをきっかけに、御曹司をめぐる殺し屋との戦いに巻き込まれる学園ラブコメディ。17歳の弾正院尽(だんじょういんつくし)と14歳の菖蒲(あやめ)は姉妹。代々殺し屋を家業とする家に生まれ、2人も学校に通いながら殺し屋として活動していた。ある日、菖蒲は同級生の保科匠(ほしなたくみ)からラブレターを渡される。しかし、弾正院家には一族以外の婚姻は認めないという厳しいおきてがあった。手紙を破いた菖蒲だったが、匠が殺しの対象になっていると知り動揺する。
殺し屋を家業とする弾正院家には、尽と菖蒲の姉妹がいた。姉の尽は17歳、お嬢様学校に通っているが、言動が下ネタのオンパレードという非常に残念な一面を持っている。妹の菖蒲は公立の中学校に通っている。姉とは違い常識人で姉に振り回されているためかツッコミ体質だ。苦労性な菖蒲に転機が訪れる。同級生の男子、匠からラブレターをもらったのだ。ここまでは微笑ましいのだが、匠がホシナ重工の御曹司で命を狙われていると判明してから話がややこしくなってくる。菖蒲の学園生活は穏やかだったはずなのだが、匠を狙う別の殺し屋や、妹の恋路を面白がる尽の乱入で一気に騒がしくなってしまう。常に人目をはばかり、命の危険にさらされている2人は、稼業と姉の妨害があるので気の休まる時がないが、困難が多い分気持ちは深まるはずだ。いちいち校舎が破壊されてしまう他の生徒たちも大変だ。教室に通路もなくみっちりとつまった生徒たちの様子は実にシュールである。
県立高校に赴任してきた傍若無人な新米教師と、彼に振り回される教師や生徒たちの日常をコミカルに描く学園コメディ。県立越光(こしひかり)高校に新人教師の新田(にった)が赴任してきた。あいさつを、文字通り一言で終わらせた新田は、ベテラン教師・寺部(てらべ)と共に1-Bを担当することになる。授業中、スマホをいじり続ける生徒を苦々しい思いで見ていた寺部だったが、新田は生徒を注意することもなく、生徒たちの通話アプリグループに参加してしまう。しかし、寺部の見ていないところで、新田は授業を真面目に受けるように不穏なスタンプを送るのだった。
学校は生徒だけのものではない。生徒を教え導く立場にある教師にとっては職場である。世の中には様々な教師が存在するが、新田ほど愛想がなく傍若無人な教師はいないだろう。赴任のあいさつを自分の名前一言で終わらせるのは、全校集会が早く終わって生徒としては喜ばしいことだが、同僚から見たら困惑必至だろう。その後も新田の教師の型にはまらない言動は続いていく。だが、その発言は他人を馬鹿にしたり、貶めるものではない。マイペースであるがゆえに周囲は振り回されるのだが、稀に真理をついた言葉が出てくることがある。普段の言動から嘘がないことがわかるだけに、率直な言葉は胸に突き刺さる。とはいえ、新田の教師としての目標は支配であるらしい。いつも無表情なので、どこまで本気かわからない。妙な威圧感もあるので、誰もが新田を一目置くようになるだろう。作戦なのか天然なのか、ちょっとミステリアスに感じないこともないから不思議である。