主人公側がチーム制であるものは『ゲッターロボ! 』で再現されていたが、紅一点の女の子キャラがロボットに乗り込むというのも当時は珍しかった。しかし、主人公たち五人の個性もさることながら、この作品「コンバトラーV」がロボットアニメ史上、エポックメイキング的な作品に数えられるそのわけは、やはり敵側のキャラである「大将軍ガルーダ」にあるといっても過言ではない。ロボットアニメにおける「敵側の美形キャラ」といえばこのガルーダと、次の作品『超電磁マシーン・ボルテスV』に登場する「プリンス・ハイネル」を指す!! と思う。「ガルーダ」は作品1話~26話という、意外と短命に終わったキャラではあったが、その生い立ちの謎や、女性型ロボット「ミーア」との愛の姿などが、当時のアニメファンの心をわしづかみにした!! 敵側にも「愛を語る」キャラがいることをファンに知らしめた作品といっても良い。
『ボルテスV(ファイブ)』はヒット作『コンバトラーV』の後を受け、主人公側のチーム制、敵側のキャラ配置なども踏襲している。なお、主人公のロボットも五体合体の「玩具でも同じ合体変形ができる」ロボットであることも変わりない。敵側に個性あるキャラを配置し「敵側にも個性があり、ドラマがある」ことを見せようとした作品である。今作の作品の成功はやはり敵側の「プリンス・ハイネル」をなくしては語れない。ボアザン星(敵側の母星)の貴族の子として生まれ、そのプライドとボアザン星の支配者・皇帝ズ・ザンバジルへの忠誠心にかけて地球を征服、支配せんとする。ボアザン星は「角の生えている、生えていない」で貴族と労奴に分けられるため、選民意識が強く「角の生えていない地球人」を最初から蔑んでいた。その最期は主人公である「剛健一(ごう・けんいち)」と生身で斬り合うが、その時に自分の出生の秘密を知り、炎の中に消える。このとき、その秘密に愕然となったハイネルが残した言葉は今も忘れ難い。興味がある人は是非作品の中でハイネルの魂の声を聞いてほしい!!
長浜ロマンロボットアニメの第三作。この作品のみ単独主人公で、ロボット「ダイモス」も変形はするが合体はしない。また、この作品は「ロボットアニメ版・ロミオとジュリエット」と当時呼ばれており、主人公である地球人の青年・竜崎一矢(りゅうざき・かずや)とバーム星地球攻撃軍提督・リヒテルの妹・エリカの敵味方に分けられた悲恋にスポットが当てられることが多かった。バーム星宇宙人が地球を攻めるきっかけが「自らの地球移民のための平和使節を暗殺されたため」という大義名分を抱えており、そこも今までのアニメとは一線を画す設定ではあった。だが、この暗殺も実は平和的交渉を望まない一派の仕業で、その黒幕はリヒテルが忠誠を誓う「オルバン大元帥」であったことがまた、彼の悲劇であった……。
この三作品は「美形悪役キャラ」と呼ばれる「大将軍ガルーダ」「プリンス・ハイネル」「リヒテル提督」の存在なくしては作品が成り立たない(ライディーンの「プリンス・シャーキン」を含めて「四大悪役美形キャラ」と呼ぶ人もいる)。それ以前にも、そしてそれ以後にも「美形悪役キャラ」というのは登場はするが、やはり物語を彩る「悲劇のアンチヒーロー」として、この三人(あるいは四人)は切っても切れない存在ではないだろうか。