東京のとある街に暮らす少女アン。
いつもロリータファッションに身を包む彼女だが、買い物はいつも半額50%OFFの弁当ばかり。人呼んで貧乏姫。
一見お姫様のようなファッションの彼女だが、自宅は周辺住人からゴミ屋敷と呼ばれている、おんぼろなアパート。何故アンはそんな生活をしているのだろうか。
実は彼女ネグレクト、つまり育児放棄されていたのだ。
父親は単身赴任で遠方の地に。母親はアルコール中毒で娘の面倒を一切放棄している。
そんな中でも、彼女がおかしくならなかったのはプライドがあったから。
こんな親の元でも、自分は貴族のように高潔でありたい。その思いの結晶がロリータファッションだったのだ。
貧乏暮らしに似合わないロリータファッションは、彼女の心を守る楯であり、プライドだった。
そんなドレスを母親に滅茶苦茶に切り裂かれたとき、彼女の本当の家族を探す旅が始まった。
発売中のミステリーボニータにて最終回が掲載。コミックは最新4巻まで発売中。最終5巻は8月16日発売予定。
アンが目指した先。それは徳島にいる祖母だった。
ところがひょんなことから、祖母の住所が書いてあるハガキをなくしてしまい、行くあてが完全になくなってしまったアン。
神頼みで神社に向かうアンにここでもアンに悲劇が! なんと野生の猿が襲い掛かってきたのだ。
それを助けたのが、可憐な美少女のアキだった。
突然現れたアンを快く迎え、そして助けてくれたアキ。
長い間人から優しく接してもらった事のないアンの心に、温かい思いが沁みていく。
そして、この日からアンとアキの新しい生活がはじまっていくのだった。
登場人物の語るセリフ、モノローグ。そして、何気ない背景や表情から語られる、人の思い。悲しみ、そして優しさ。
すべてのページから伝わってくる、吟鳥子の繊細で柔らかな線が、読み手の心に深く深く訴えかけてくる。
幸福とは言えないアンの日常。ネグレクトされ16歳という若さで生活の全てを自分で賄わなければならない、そんな現実は厳しすぎる。
ドレスを破壊され、自身のプライドを守るために家を出たアン。
行き場所を失い、そして本当に独りぼっちになったときに感じた寂しさ、辛さは想像を絶する。
そんなアンを優しく包み込むアキや徳島の人々の人情に心が揺り動かされる。
アンとアキの家族を探す旅を読めば、きっと家族に優しく接したくなるだろう。