「機動戦士ガンダム」の一年戦争を題材にしたアナザーストーリー。舞台は、独立を宣言したジオン公国と地球連邦軍の戦争が勃発し、1年近くが経過したサンダーボルト宙域。そこでは、占拠したジオン公国軍と、奪還を目指す地球連邦軍による激戦が今なお繰り広げられていた。ジオン公国軍のダリル・ローレンツと地球連邦軍のイオ・フレミングを中心に、一年戦争やその後の戦いを描く。2016年と2017年に劇場アニメ化。
本作の舞台「サンダーボルト宙域」とは、宇宙世紀0079年、ジオン公国軍の攻撃で破壊されたコロニーや戦艦の残骸などが、ぶつかり合うことで放電して稲妻が生じた領域だ。地球連邦軍のムーア同胞団は、ジオン公国に占拠された故郷・サンダーボルト宙域の奪還を目指していた。しかし、所属パイロットのイオは、大義や同胞団という縛りに息苦しさを覚えている。一方、ジオン公国軍には、義肢兵が多く所属するリビング・デッド師団で、義手・義足となっても戦い続けるダリルがいた。一年戦争の死闘を生き延びた2人の戦いは、やがて地球へと持ち越される。敵対関係にある2人の青年をメインに据え、両陣営各々が抱えている実情や心情、正義を、圧倒的な画力とスケールで描いた作品だ。
「宇宙大帝ギンガサンダー」を軸に展開される、オムニバス形式のSFファンタジー短編集。人類の脅威として、人々から恐れられている巨大なギンガサンダーを倒すために作られた人間兵器にまつわる「超疾走全霊兵器 己の拳!!」。外界と隔絶したスペースコロニーを舞台に、その中で過ごす子供たちの日常を描いた「シャンバラのお絵描きネル」。ギンガサンダー誕生秘話を描いた「醒誕祭」、ギンガサンダーが最後に辿りついた場所での物語「彼の旅が終わる」などが収録されている。
本作はオムニバス形式の短編集だが、大半は「宇宙大帝ギンガサンダー」とのつながりがある。軸となるギンガサンダーの誕生秘話が明かされているのは、5話目の「醒誕祭」だ。ギンガサンダーのはじまりは、小さなおもちゃだった。しかし、同じく失敗作として父親に捨てられた娘と行動を共にする内に、星を1つ潰してしまうほどの大量の人間を殺し、その魂を取り込み巨大化していく。最後に収録されている「彼の旅が終わる」では、全てを喰らい尽くしてきたギンガサンダーの最後の旅が描かれているが、それまでの伏線の回収の仕方は見事。収録されている話の中には別の短編集とクロスオーバーしているものもあり、詳しくは、巻末の「作品相関図」で説明されている。
台湾の民間芸能・布袋劇の制作会社と、シナリオライターの虚淵玄がタッグを組んだ、武侠ファンタジー人形劇のコミカライズ。主人公の流浪人・殤不患(しょうふかん)は、旅の途中で、謎の男・鬼鳥(きちょう)と偶然出会う。さらに、武器・神誨魔械(しんかいまかい)を守る護印師の末裔・丹翡(たんひ)とも縁が生じる。鬼鳥の仲間も加わり、神誨魔械の一つ「天刑劍(てんぎょうけん)」の柄を奪った蔑天骸(べつてんがい)の根城・七罪塔を目指す旅が始まった。
稲妻や雷電を意味する「Thunderbolt(サンダーボルト)」をタイトルに掲げる本作では、圧倒的な力を持つといわれる武器「神誨魔械」を巡る欲や戦いが、主人公・殤の目線で描かれている。その神誨魔械の一つである「天刑劍」。それを守っていた護印師の兄妹だが、敵に兄が殺され、劍の柄を奪われてしまう。生き残った妹の丹翡は柄を取り戻すため、偶然知り合った殤らと敵地へ向かうことに。メインとして描かれる殤と鬼鳥の強さは本物。謎の多い2人だが、鬼鳥の正体は、本名を凜雪鴉(りんせつあ)という大怪盗だ。ぶつかり合う剣から稲妻のごとく火花が散るなど、見ごたえたっぷりな戦闘シーンが見物だ。中盤以降は、鬼鳥の思惑や行動に殤が翻弄されるほか、仲間からも裏切り者が現れるなど、どんどん目が離せなくなる。
男子高校生が一風変わったメイドに翻弄されるギャグコメディ。主人公の山田雅人は、学校で風紀委員も務める真面目な男子高校生。しかし、両親が海外赴任のため、メイドのサンダー摩騎こと山田摩騎がやってくる。摩騎は、雅人に対して、主人として忠誠を誓いながらも大胆な行動で翻弄。さらに、アメリカ出身で二丁拳銃を持っている「メイドテキサス」や、ドイツ出身の「メイドティーガー」など、さまざまなメイドも登場する。
本作には、「サンダー摩騎」という風変わりなメイドが登場する。とはいえ、雷とは特に関係はなく、名字の「山田」を「サンダー」と読み替えているだけだ。摩騎は一般的なメイドの姿ではなく、金髪で胸にサラシを巻き、手には木刀を持つという古風なヤンキースタイル。言葉遣いも、「夜露死苦(よろしく)」「冥怒(メイド)」など、ヤンキー言葉を連発し、雅人は翻弄されっぱなしだ。しかし、料理や掃除などの家事スキルは高く、料理を褒められると照れる女の子らしい一面も。また、雅人のことを密かに想っている風紀委員長・風間美紀も登場するので、作中ではラブコメとしても楽しめる。
作者の手塚治虫が、狂言回しとして物語が進んでいくファンタジーバトル漫画。高瀬博士が発見した謎のガス生命体「サンダー」は、肉体を欲していた。そこで、命光一少年の体を借り、サンダーマスクとして実体化することに成功する。一方で、宇宙からやってきた別のガス生命体「デカンダー」は、地球の生物を全て石化しようと計画していた。そんな中、手塚は、両者の秘密を探るため、サンダーマスクに教えられた「バイブル」を探し解読を始める。1972年テレビアニメ化。
本作のタイトルになっている「サンダーマスク」とは、光一の肉体を借りて実体化する謎の宇宙生命体だ。サンダーマスクが光一の体を借りる時には分子単位で合体し、その際にビリビリとした電気を発する。そんなサンダーマスク本体の性質は、地球の生物と同じ炭素。一方、敵対するデカンダーは、ケイ素からなる石のような性質を持ち、地球上の生物を全て自分と同じように石化しようとする野望を持っていた。サンダーマスクと知り合った手塚は、大宇宙の歴史を書いたとされる文字盤「バイブル」からデカンダーの弱点を探ることになるtt。そんな時、デカンダーを匿う人間が現れ、高瀬博士の娘・まゆみにも魔の手が迫る。次第に惹かれ合う光一とまゆみが運命に翻弄されていく様子も見どころだ。