極道の家に生まれた女子高生が唐突に現れた婚約者の存在に翻弄される、極道エンタメ漫画。主人公の女子高生・染井吉乃(そめいよしの)は、関西最大の指定暴力団・染井組組長の孫だ。ヤクザの孫とは思えないほど平凡な生活を送ってきた吉乃だが、ある日突然、関東最大の指定暴力団・深山(みやま)一家総長の孫との縁談が持ち上がったことで生活が一変。東京で総長の孫と共に同居生活を送ることが決定し、それがきっかけで平凡な日々とは程遠い毎日に悩まされることになる。
60年もの間対立関係にあった東西の大組織の和睦が成立。衝撃的な和睦は週刊誌で大々的に取り上げられたのだが、それを見て別の衝撃を受けたのが吉乃だった。雑誌には、染井組組長の孫と深山一家総長の孫が婚約するようだと書かれていたのだ。寝耳に水の吉乃が祖父を問い詰めると、祖父は吉乃に男を作らせようとお節介をやいた模様。吉乃は東京で深山一家総長の孫である深山霧島(きりしま)と顔合わせをすることになる。実際に吉乃が霧島と会ってみると、霧島は話のわかる好青年だった。しかしそれは表向きの姿。徐々に見えてくる彼の狂気に、吉乃は翻弄されることになる。極道の孫である吉乃がどこまで霧島に臆することなく接していけるのか注目だ。
極道の跡取り娘が教師となって生徒たちに道を示していく学園コメディ。山口久美子(やまぐちくみこ)は一見ぱっとしない地味な女性。しかし実は任侠集団・黒田一家組長の孫娘で、喧嘩の腕は一級品だ。そんな彼女が選んだ職業は、高校教師。新米教師として悪名高き男子校・私立白金(しろきん)学院高等学校に赴任した久美子は、持ち前の正義感で問題児たちと真摯に向き合い、彼らと信頼関係を結んでいく。2002年に実写ドラマ化、2004年にはテレビアニメ化され、2009年には実写映画化もされた。
久美子が受け持つことになった2年4組の不良少年たちは、久美子のことを少し脅せば怖がるだろうと考えていたが、それは大きな間違いだった。極道の世界で生まれ育った久美子にとって、いくら喧嘩が強くても一般高校生は恐怖の対象にならない。久美子はそれぞれ問題を抱え非行に走る少年たちに恐れることなく正面からぶつかり、彼らの問題を解決。時には体を張って生徒たちを守ろうと奔走する。そんな彼女の姿勢は生徒たちの心を動かし、やがて久美子と生徒たちは強い絆で結ばれるようになる。久美子との交流で少年たちが成長し、彼らの成長を受けて久美子もまた成長する。人との繋がりが何よりの勉強材料であることを実感できる、学びの多い作品だ。
ドSなヤクザの娘と、彼女に調教されるボディーガードの獣人たちを描いたコメディ漫画。犬獣人の武蔵(むさし)は、行くあてもなく道端に座り込んでいたところを黒騎組のお嬢様・黒騎大和(やまと)に発見され、彼女に拾われる。大和はヤクザである父親を恨んでおり、黒騎組を潰すために自身に付き従う「子」の存在を求めていた。武蔵は大和と主従関係を結び彼女の傍に侍ることになるのだが、大和は武蔵以外にも次々と個性的な獣人たちを味方に引き入れていく。
大和に拾われた武蔵は、彼女から「私の子になりなさい」と驚くべき提案を受ける。冗談じゃないと首を横に振る武蔵だったが、彼の拒絶が通ることはなかった。大和が武蔵の持つ犬獣人の三大行動「狩猟・穴掘り・主従」を巧みに利用し、拒否することを許さなかったのだ。また言葉では拒絶しながらも、武蔵の本能は大和のことを主人だと認めてしまっていた。かくして、武蔵は大和のボディーガードとして、彼女の傍らに在ることになる。共に過ごしていく内に、大和が新たに迎えた獣人に嫉妬するほど彼女に対し好意を募らせていく武蔵。大和もまた、武蔵に対し強い信頼を向けるようになる。獣人とヤクザの娘がどのような絆を紡いでいくのかに注目したい作品だ。
極道一家の孫娘と若頭の恋愛を描いたラブコメディ。瀬名垣一咲(せながきいさく)は高校1年生になる少女。祖父は三代目瀬名垣組組長という極道一家に生まれた彼女は、周囲から距離を置かれて生きてきた。ごく普通の日常を望む一咲は、高校進学を機に極道一家の孫娘だと知られていない場所での再スタートを決意。地元から離れた高校に入学するのだが、過保護な若頭が年齢を詐称して一咲の高校に一緒に通うことになってしまった。彼に恋心を抱いている一咲は、若頭に振り回されることになる。
一咲は幼い頃に両親を亡くし、唯一の肉親である祖父に引き取られた。祖父は一咲に優しかったが、彼だけでは一咲の面倒を見ることはできない。そこで一咲の世話係として任命されたのが、瀬名垣組若頭の宇藤啓弥(うとうけいや)だ。一咲は長く共に過ごしてきた啓弥に対し恋心を抱いていたが、啓弥は一咲のことを面倒を見てきた可愛い子供としてしか扱わない。ヤクザに、しかも自分の世話係に想いを寄せたところで未来はないと考えたのも、一咲が地元から離れた高校を選んだ理由だった。新たな場所で啓弥を忘れられる恋愛をしてみたかったのだ。しかし啓弥は一咲には恋愛はまだ早いと言い、彼女の番犬として年齢を詐称し同じ高校へ入学してしまった。一咲の恋の行方と啓弥の真意が気になる甘酸っぱい作品だ。
組長不在の組を背負う少女が理想の婿を求めて奮闘するラブストーリー。高校生の八剱燈子(やつるぎとうこ)は、極道組織・八剱組の組長の長女。組長が亡くなってしまったため、燈子は速やかに八剱組を継ぐべきなのだが、跡目を継ぐには婿を取る必要があった。しかし、燈子の婿探しは難航する。彼女が求める婿とは、燈子の子供を「産むことができる」男だったからだ。燈子の子供を産むと言ってくれる男性は現れるのか。男が出産できる不思議な世界で、一風変わったラブストーリーが展開される。
八剱組の組長は燈子の母親・百合子(ゆりこ)だったが、百合子が若くして亡くなってしまったため、現在は百合子の夫である剛太郎(ごうたろう)が組長代行として立っている。しかし剛太郎は百合子との子を妊娠中で、ほとんど身動きが取れない状態。早く燈子が八剱組を継いだほうがいいのだが、それには大きな問題が立ちはだかっていた。八剱組では、組長の座に就けるのは初代組長の直系の血縁者だけ。そして、確実に後継者が遺せるように、結婚が決まらないと跡目が継げないのだ。八剱組のシマを狙う他の組も現れ、追い詰められていく燈子。そんな燈子に、若頭の逢坂雪人(おうさかゆきと)が「自分がお嬢の子を産む」と言い出した。燈子と雪人の関係がどうなっていくのか、読者は気になってページをめくる手が止まらなくなるだろう。