猫のマリリンは大好きな飼い主翔さんのプリンセス。
それはもう大切に可愛がられていた。そんな二人に過酷な運命が。
新居へ引っ越す途中でアクシデントが発生し、マリリンはトラックからゲージごと落とされてしまったのだ。
落とされた先は偶然にも「猫喫茶KURUWA」の玄関の前。
店長に捨て猫だと勘違いされたマリリンは「まゆゆ」という源氏名をつけられてそのまま喫茶猫として働かされることになるのだが……。
このままでは翔さんに見つけて貰えない。
大好きな翔さんに見つけて貰う為には、唯一外から店の中を見ることができるキャットタワーの最上段にいるしかないのだ。
しかし、そこは新人の喫茶猫が簡単に上ることができるような場所ではなかったのだ。
ここは「猫喫茶」。猫たちが躰をはって、人気ナンバーワンを目指す娼猫の世界なのだ。
最上段に上る事ができるのは、一番売り上げの良かった妓だけ。
果たしてマリリンはライバルたちを倒して、娼猫のトップへと上り詰めることができるのだろうか。
そして、翔さんの元に再び帰る事ができるのだろうか…。マリリンの戦いが、今始まる。
猫喫茶といったら、カワイイ猫たちと触れ合える癒しの空間だ。
愛想の良い猫。そっけない猫。さまざまな猫たちと触れ合ったり、眺めたりして楽しむことができる。そんな素敵空間だ。
しかし、それは人間達から見たオモテの世界。
ウラの世界では激しい戦いが繰り広げられているのだった。
『猫喫茶のマリリン』では、猫たちの戦いをまるでキャバクラや遊郭の女性たちのように描かれている。
因みに猫たちはみんな女の子。人間も猫も「オンナの世界」の戦いとは厳しいものなのだ。
強力なライバルたちが争う中、何も知らないマリリンでは到底話にならない。
しかし「アタマは良いけどやる気のない」ハイジという強力な参謀が仲間になり、娼猫としての力が覚醒していくことになる。
どうやれば、お客様(人間)に可愛がってもらえるか。
翔さんに会いたいという思いが、やがて娼猫としての才能を開花させていくのだった。
マリリン……おそろしい妓……。
果たしてこの才能は、マリリンに幸せをもたらしてくれるのだろうか。
岡井ハルコは『江の島ワイキキ食堂』と言う猫マンガも描いているのだが、猫マンガで人気の作者だけあって、猫たちの心理描写がとても素晴らしい。
猫を飼っている人なら、あるある、と頷いてしまうシーンもあるだろう。猫ブームの今だからこそ読みたい猫マンガ、ぜひ読んでみてほしい。