現代の広島と戦時下の横浜を舞台に、少年の忘れられない体験と恋心を描くタイムトラベルファンタジー漫画。夏休みを利用して広島で暮らす祖父の家にやってきた中学生の八坂一(はじめ)は、喫茶店「方舟」で嵐山小夜子に一目惚れをする。しかし、彼女はこの世の者ではなく、約60年前の戦争で命を落とした幽霊だった。彼女と「通じ合う」ことができる一は、とある目的のために彼女と共に過去へタイムトリップすることになる。2009年にテレビアニメ化。
本作では、現代を生きる中学生男子の一と、戦争経験者の幽霊少女「あらし」こと嵐山の二人が紡ぐ時を超えたラブストーリーが展開される。嵐山は約60年前の大東亜戦争中に亡くなった幽霊。しかし、夏が来るたびに現世に姿を現しており、現代っ子である一とも出会うことになる。嵐山と一は手が触れ合った瞬間に通じ合い、二人にしか見えない光景を共有する。そして、嵐山が解き明かしたいと願っている真相を知るために、二人は戦時下の横浜へタイムトリップを繰り返すようになる。他にも嵐山と同じく幽霊で過去へ飛ぶことのできるカヤ・バーグマンや、カヤと通じ合う上賀茂潤など、様々な仲間とも出会い、田舎でのひと夏の経験は一にとって忘れられない大切な思い出となっていく。
周囲には恋人同士であることを隠している二人の女子高生の日常を描くガールズラブストーリー漫画。つつじの宮女子高等学校に通う2年生の藤宮千鳥、青葉なのは、れーちん、あすみ、くま子は、常に行動を共にしている仲の良い5人組。実は千鳥となのはは友人以上の関係で、恋人同士でもあるが、このことは誰にも内緒。友人たちに気付かれないようこっそりと特別な感情をぶつけ合い、気持ちを確かめ合う二人のドキドキのガールズライフを描く。
本作のタイトルの元になっているのは、「花に嵐」という「良いことにはとかく邪魔が入りやすい」ことをたとえたことわざだ。女子高に通っている千鳥となのはは、親友であると同時に、互いを大切に想い合っている百合カップルでもある。このことは二人だけの秘密だが、いつも行動を共にしている友人が他に3人おり、イチャイチャしたくても邪魔が入りやすい環境なのだ。しかし、互いを常に強く意識しており、他の友人も交えた場所でのやり取りの中でも、互いへの愛情が伝わってくる表情や仕草に二人の愛の深さが感じられ、キュンとさせられる。ゆっくりと進展する二人のピュアで甘酸っぱい恋を、読めば読むほど応援したくなることだろう。
常識離れしたハイスペック男子に超人の女子高校生が結婚を迫られるハイテンションラブコメディ漫画。国見理子は、人並外れた運動神経を持つ女子高生。ある日、世界的に知られている龍華(たちばな)一族の御曹司の嵐(らん)に、ひょんなことから気に入られ、求婚される。突然のプロポーズに驚愕し、超人的な運動神経と身体能力を活かして嵐から逃げ惑う理子だったが、彼の性格や思考を理解するうちに次第に惹かれるようになっていく。
本作の主人公兼ヒロインの理子にプロポーズをした嵐は、学校に突然乱入して豪快にドアを蹴破り、プロポーズしてくるような情熱的な男であり、「あらし」のような激しさで理子の日常をかき回していく。自身のことを「普通」だと思っている理子にとって、嵐は非常識で危険人物だと感じている。しかし、理子も人並み外れた運動神経によって周囲からは「珍獣」扱いされており、二人ともある意味、常識離れした存在。二人の出会いも交通事故スレスレの危険な状況でであっており、理子でなければ大惨事になっていたはずだ。二人の距離は徐々に縮まるが、嵐は大富豪の龍華一族の跡取りとして既に世界を股にかけた仕事もしており、理子は二人の生きる世界や立場の違いを感じるようになっていく。
テレビゲームに全てをかけているゲーム少年が様々なライバルとゲーム大会でバトルを行うテレビゲーム漫画。石野あらしはテレビゲームのことになると天才的なセンスを発揮する少年。高速の指さばきなどで高得点を叩き出し、ゲームセンターでは注目を浴びていた。あらしは血がにじむような努力を重ねて個性的な必殺技を編み出すことに成功。一筋縄ではいかないライバルたちと様々なゲーム大会で対決していくことになる。1982年にテレビアニメ化。
主人公のあらしは、大きな前歯がチャームポイントのテレビゲームに関して天才的な才能を持つ少年で、ついた異名は「ゲームセンターあらし」。彼の必殺技は、炎が出るほどの速さが自慢の「炎のコマ」、宙返りをしながらマシンを操作する「月面宙返り」など、多岐にわたる。どれもが努力無しには到達できない超人的な技だ。ゲーム大会では次々に相手を打ち負かしていくが、ライバルの大文字さとるや月影一平太とは、戦いの後に友情を築き、心を通わせ合う仲となった。様々な経験を積む中であらしは成長していき、次第に戦いの場も大きくなっていく。ゲーム攻略本としての側面も持っており、テレビゲーム好きにはより一層楽しめる内容になっている。
孤独な女子高生が風変わりな転校生と出会い、交流を深めていくファンタジックなガールズラブ漫画。椿輝紅羽(つばきくれは)は転校生の百合城(ゆりしろ)銀子と百合ヶ崎るると出会い、孤独だった高校生活が賑やかになっていく。銀子は世界の全てはクマでできていると思っており、紅羽とるるは、彼女の見ている世界を受け入れることを決めたのだった。アニメ監督の幾原邦彦を含むユニットのイクニゴマキナコ原作のメディアミックス作品。2015年にテレビアニメ化。
本作は、自分を透明な存在だと思っている紅羽、不思議な世界観を持つ銀子、そして銀子を運命の相手だと言うるるを中心に描く「スキ」を巡る物語だ。紅羽は1ヶ月前に転校してきた銀子に出会ったその日から、彼女がクマの姿で「透明な嵐」の中に現れる夢を見るようになる。銀子はこの世界で本物の人間は紅羽だけであり、自分も含めて他は全てクマであるという。クマの「スキ」と「食べる」はイコールだと母親から教えられている銀子は、それでも大好きな紅羽を食べたくないと涙を流す。果たしてクマと人間は理解し合えるのか。「スキ」を諦めない銀子や、異質なものを排除しようとする「透明な嵐」に翻弄される紅羽たちの行く末を、最後まで見届けてほしい。