火星で異常進化し巨大化したゴキブリ「テラフォーマー」と人類との死闘を描いたSFアクションバトル漫画。火星のテラフォーミング(地球化)のために人類に先んじて放たれたゴキブリが人型に進化し、脅威となる。とてつもなく強大な力を持つ彼らを排除すべく、虫の遺伝子で身体改造を行った人類の戦士たちが立ち向かっていく。2014年にアニメ化、2016年に実写映画化。
嫌いな虫といえば誰もが思い浮かべるのがゴキブリだが、本作に登場するゴキブリは火星で進化し巨大化。二足歩行するおぞましい姿に変異している。「テラフォーマー」と呼ばれ、怪力と素早い動き、頑丈な皮膚を誇る。さらに数が多く、人間から奪った重火器を使える知能もあるのだから、普通の人類では太刀打ちできない。これに対抗すべく、人類は自分たちの肉体に他の虫のDNAを体内に組み込んで身体改造を行った戦士を送り込む。スズメバチ、バッタ、アリ、クモなど、その個性的な能力で「テラフォーマー」と文字通りの死闘を繰り広げることに。圧倒的な力と物量の前に次々と仲間が倒れていく中、決して諦めない者たちの姿が描かれている。
巨大な虫が発生し、閉鎖された街で人々がパニックに陥るSFホラー漫画。とある企業が有用なタンパク質を生み出すために作り出したウィルス「ペレナドウィルス」。それによって突然変異し、巨大化した虫が人々に襲いかかってくる。政治的な理由で街は閉鎖され、その中で必死にあがく人々の姿が克明に描かれている。
本作品の特徴は、緻密でグロテスクな虫の描写、そして「背後で政治的背景が働き、助けが来ない」という社会的な恐怖感だ。日常を過ごしていた人々の生活を、徐々に奇妙な「虫」の気配が侵蝕していく。そしてある日、巨大で狂暴な虫となって襲いかかってくる。緊急事態として街は閉鎖され、助けがいつ来るのかも分からない中で人々は逃げ惑う。そこに背後でうごめく政治的思惑が、絶望感に拍車を掛ける。そんな中でも、人は互いを思い合い助け合う。友情や家族愛、信念といったものにもしっかり触れられている。生き残るために必死にあがく人々に果たして救いはあるのか、最後まで目が離せない漫画作品だ。
巨大昆虫に襲われる人々を描いたパニックホラー漫画。飛行機事故によって無人島に漂着した私立鳳翔学園の生徒と教師たちは、謎の巨大昆虫に襲われ次々と命を落としていく。生き残るために理性やプライドをかなぐり捨てていく生徒たちの中で、主人公の織部睦美は昆虫の知識を駆使して友人たちを救おうとする。
緻密な巨大昆虫の描写と、エロティック且つグロテスクな展開が持ち味の本作。主人公の織部睦美たちが最初に襲われたミヤマカラスアゲハは、本来なら花の蜜を吸水する昆虫だ。しかし、作中では人間の体液を吸い尽くす。その死に様は誰もが目を背けたくなる凄惨な光景。パニックに陥った生徒たちは、自分が生き残るために他者を利用しようとあがいてゆく。脅迫だけでなく、肉体関係を条件に助力を頼むことすらあるのだ。そんな中、昆虫の生態に詳しい睦美は、その知識で友人たちを導いていく。虫たちの設定には、多くの昆虫漫画を手がけてきた藤見泰高氏が原作・原案として参加しており、「昆虫が巨大化したらどのような形になるのか」がしっかりと考察されている。
純真な子どもとその家族、そして巨大な虫や動物たちが繰り広げるほのぼのコメディ漫画作品。上高地一家が「海が見える家」と言われて引っ越してきた、自然豊かな土地。しかしそこでは、家の中を巨大なナメクジが這いずりまわり、一抱えもあるダンゴムシも姿を見せる。しかし、一人息子のトンボは、そんな虫たちとあっさり友だちになってしまう。元気な幼稚園児は、今日も不思議な友だちと平和な日常を過ごす。
こちらは、巨大昆虫こそ出てくるものの、非常にほのぼのとした漫画作品だ。上高地トンボ一家が引っ越した先には、巨大なダンゴムシの「コロちゃん」や巨大ナメクジの「ナメちゃん」などの奇妙な生物が暮らしていた。不動産屋から「絶対に開けるな」と言われていた祠を、父親の元悟郎がうっかり開けてしまったのが原因で、奇妙な生物が出てきてしまったのだ。最初こそ夫婦ともどもパニックになるものの、息子のトンボは彼らを「お友だち」と呼んで怖がらない。暮らしていくうちに、だんだんそんな生活を受け入れてしまう一家の、のんきな日常が描かれている。愉快な虫たちがちょっと不思議な毎日を紡ぎ出していく。
昆虫をモチーフにした巨大ロボットが活躍する、1983年に放映されたファンタジーロボットアニメのコミカライズ作品。オーラ力という特殊な生体エネルギーに支えられた世界「バイストン・ウェル」。そこで開発されたロボット「オーラバトラー」のパイロットとして召喚された地上人(地球人)の少年を中心に、戦いが描かれている。
富野由悠季原作の名作アニメのコミカライズ作品で、ある意味では現在まで続く「異世界転移モノ」のはしりの一つと言えるだろう。昆虫をモチーフにした大胆なデザインの巨大ロボット、異世界から召喚された少年が戦うという王道な設定で今なお高い評価を得ている。主人公のショウ・ザマが乗るオーラバトラー「ダンバイン」は、カブトムシを思わせる角と羽根を持っている。異世界で開発された人型オーラ兵器「ゲド」の後継機であり、パイロットの適性条件が非常に厳しい。その結果多くの地上人が召喚されることになる。バイストン・ウェルの激しい世界大戦に巻き込まれてゆくショウ。本作は聖戦士として目覚めてゆく彼の成長物語でもある。