TVアニメの放送は2005年から2009年にかけて、全三部作構成。
基本的には一話完結の形が取られており、毎回違う人物が話のメインとなる。
主人公の地獄少女こと閻魔あいは、恨まれた人間を地獄に送ることができるという能力をもっていて、深夜0時にネットにあらわれるサイト「地獄通信」から依頼を受けて仕事をする。
依頼主はその地獄通信に恨んでいる人の名前を書けば、閻魔あいと接触することが可能となり、恨んでいる相手を地獄へと送ることができるのだが、ここで閻魔あいからひとつ条件を言い渡される。
それが、日本のことわざにもある「人を呪わば穴二つ」。
ここでいう穴とは墓穴、つまりお墓のことで、人を呪い殺したならば自分の入る墓もある。
つまりは人に危害を加えようとすれば、自身もそれ相応の報いを受けるということだ。
この設定が本作では重要な設定として横たわり、相手を地獄送りにしたのなら、自分も死後に極楽浄土へはいけず、永遠地獄で苦しまなければならないとされている。
閻魔あいは依頼を受ける際に必ずそのことを説明し、それでも本当に相手を地獄に送りたいのか確認する。
そして依頼主に考える時間を与えるため、首に赤い糸が巻かれた藁人形を渡してその場を去るのだ。
依頼する際は、その藁人形の赤い糸をほどくことで、正式な契約として依頼をすることができる。
TVアニメだけでなく、TVドラマ化のほか、コミカライズ、ライトノベル、ゲーム化もされた人気作品である。
本作の主人公となるのは、地獄少女の異名で呼ばれることが多い閻魔あい。
普段は黒いセーラー服を着ている大人しい女の子で、この世の人間を地獄に送ることができる力を持っている。
しかし、その正体は現世に生きる人間ではなく、400年以上前に死んだ少女あい。
当時あいが住んでいた村には、七つ送りという幼い少女を生贄にする風習があり、あいはそれに選ばれるも仙太郎という幼馴染の少年の助けもあってその時は生贄にされることを免れた。その後逃げのびるものの、数年後に捕まった際、両親もろとも生き埋めにされることとなり、その際に自身を助け、好意も抱いていた仙太郎にまで土をかけられるという非業の死を遂げた。
信じていた者に裏切られたあいの魂は、成仏することができず、その強い恨みから村と村人ともども皆殺しにし、重罪を背負って地獄少女としての使命を背負わされることとなったのだ。
あいに仕える三人の妖怪三藁(さんわら)。
一目連は、あらゆる場所を見ることができる一つ目の妖怪で、主に情報収集の役割を担う。普段は二枚目の好青年として活動し、その容貌を生かして女性から話を聞き出したりもする。
骨女は文字通り骨の妖怪。人間界では艶めかしい女性として活動し、男性を誘惑する場面で活躍。
三藁のリーダーともいえるのが好々爺の輪入道。車輪の妖怪で、立ち位置はあいたちのまとめ役として、どっしりとした言動が目立つ。
この話のメインとなるのは女子中学生の橋本真由美。
クラスメイトの黒田亜矢から使いパシリのようなイジメを受け、その恨みを晴らすため地獄通信にアクセスする。
初回ということを逆手にとってか、あまり設定などの説明もないままで話が進んでいくので、これはどんなアニメなんだろう、この先どうなっていくんだろうといった気持ちにさせられる。
第一話の「夕闇の彼方より」と同じように、女の子同士の関係がテーマ。
もともとは友達だった女の子ふたりがメイン。
仲の良かった関係もいつしか崩れ、他の友人たちと上手くやっている赤坂詩織が憎くてたまらない渋谷みなみ。
しかし赤坂詩織の方もまた、渋谷みなみを憎んでいた。
お互い憎んで憎まれて、結局は似た者同士だったこの二人の運命は?
実際の人間関係も一方向的な話ばかりでないように、『地獄少女』にもそういった話が数多く登場する。
この話のテーマは、親の不平等な愛。
サーカス団に務めるユミが恨むのは、同じサーカス団に務める双子の片割れのユキ。
同じ愛情を受けることができない悲しみと、募らせてしまった恨みを、実の姉妹に向けてしまうというなんとも悲しい話。
孤児から名家に嫁ぐことができた、氏家祈里。
しかし、人形のようにしていることを望む義理の母の仕打ちに耐え切れず、彼女は母を地獄送りにしてしまう。
これで夫との新婚生活を楽しむことができると期待するも、彼もまた祈里が心を持つことを望まない人物だったのだ。
押しても地獄、引いても地獄、作中屈指の報われない話である。
人を呪いたいと思ったことはあるだろうか。
このアニメを観たら、人を呪うなんて思わなくなるだろう。
呪った者は誰も幸せになんてなっていないのだから。
「人を呪わば穴二つ」
この言葉の意味を良く考えて行動しよう。