小学4年生の主人公を中心に、周囲で起こる事件や騒動をコミカルに描く日常コメディ漫画。主人公・浜野あさりは桜貝小学校に通う小学4年生。勉強は苦手なものの、駆け足が得意な明るくて元気な少女だ。両親と姉と暮らしているあさりの日常はとにかく賑やか。台風がきているのに、姉と妄想遊びに勤しんだり、屋根を補強する手伝いを回避しようとしたり、優しい父親に父の日のプレゼントを用意しようとして空回りをしたり。あさりの毎日は、騒動と笑いに満ちている。1982年1月にテレビアニメ化。
4人家族の浜野家では「うにょ」という犬を飼っている。姉・タタミの同級生から譲り受けたうにょは、1歳半のオス。垂れ耳で全体的に白い毛色だが、足や耳など体の端々は茶色がかっている。ビーグルとウエルッシュ・コーギー、ジャック・ラッセル・テリアのミックスなのだとか。一見普通の雑種犬なのだが、うにょには大きな特徴がある。なんと「にょん」と鳴くのだ。犬らしく鳴こうと思えばできるのだが、何故か「にょん」で通している。そして犬にあるまじき知能の持ち主で、鎖をはずして外を出歩き、よそのお宅でご飯を貰うこともあるらしい。あさりにとっては良い遊び相手なのだが、騒動に巻き込まれてひどい目に遭うことも多い。浜野家の一員として存在感のあるうにょだが、初登場は40巻とあまり早くはない。飼う前後の違いを読むことができるのも、長編作品ならではの楽しみといえるだろう。うにょにまつわるいろいろないきさつから、うにょは浜野家に来るべくして来た犬だと思わせる。
夜が明けない架空の地を舞台に、人々に「テガミ」を届ける国家公務郵便配達員たちの活躍を描くハイファンタジー。「アンバーグラウンド(AG)」は四方を海に囲まれ、けして夜が明けることのない地。人工太陽は首都を燦然と照らすが、光が届かず薄闇に包まれた区域もある。そんな暗く危険な区域に向かい、「こころ」を込められた「テガミ」を届けるのが、国家公務郵便配達員「テガミバチ」たちの仕事である。主人公のラグは自身が「テガミ」として配達されたことがきっかけで、テガミバチとなった。最高のテガミバチを目指し、彼は旅を続ける。2009年と2010年にテレビアニメ化。
テガミバチは、光の届かない危険地帯を旅する郵便配達員だ。彼らは相棒(ディンゴ)と一緒に行動することが多い。ラグの相棒は金髪ツインテールの少女、ニッチ。そのペットの名がステーキである。ステーキは白い体毛に青色の丸い耳、ひょろりと2本の髭が生えており、スペード形の尾が大きな特徴だ。サイズはフライパンに乗ることができるくらいで、身体のほとんどが口と言っても過言ではなく、開けばギザギザの歯がのぞく。不思議な見た目だが、鳴き声もへんてこであり、なんと「ヌニヌニ」と鳴く。ニッチになついて見世物小屋からついてきたのだが、正体は不明。名前の由来は焼かないとおいしくなさそうだから、なのだとか。非常食扱いも受けるが、人に襲い掛かってくる鎧虫(ガイチュウ)の弱点をかぎ分けるなど、ただのペット以上の働きもする。なによりステーキの役割は、ニッチの可愛らしさを増幅させることにあるだろう。というのもステーキの定位置はニッチの頭の上であり、そのポジションに収まると、双方なんとも愛らしいのである。
漫画家と飼い猫の日常をコミカルに描いたコミックエッセイ。作者のSNSに掲載された四コマを書籍化した。漫画家・鴻池剛(こうのいけつよし)は猫を飼っている。猫の名前はぽんた、まるまるとしたキジ白のオスである。ぽんたの遊び方は少々風変わりで、猫じゃらしにじゃれるのではなく、くわえて引きずって遊ぶ。飼い主に甘えてきたかと思えばパンチを繰りだして離れ、撫でれば噛みつき、引っ掻く。定番の猫あるあるも、どこか血みどろバイオレンスで飼い主は生傷が絶えない。猫を飼ったときの排泄事情や、吐瀉物の話に至るまで、鴻池剛の冷静なツッコミが冴えわたる。
猫とはクールで自由気まま、人間にはあまり懐かない生き物である、というイメージがある。実際のところは、家族にはデレデレという猫もいるのだが、ぽんたは違う。ツン5分の4・デレ5分の1くらいの割合なので、圧倒的にツンといえるだろう。そういった意味では、ぽんたは規格外のペットだ。見た目は非常に貫禄があり、とにかく丸い。絵で特徴を誇張しているのではと思いきや、写真でもだいぶ丸い。性格も自由気ままで気が強く、気に入らなければエサは食べない、かみつく、引っ掻くは当たり前。時折甘えることもあるものの、その後は血を見ることが少なくない。苦労している飼い主と「お猫様」のコンビだが、非常にわかりづらいもののぽんたからの愛情もしっかり感じられる場面も垣間見られ、そんな双方の愛情があるからこその関係ともいえるだろう。本作を読むと猫は可愛いだけではないということがよく理解できる。
最強のモンスターの幼体に転生した元騎士が、拾ってくれた主人のために奮闘するバトルファンタジー。魔族との戦いに倒れた騎士は、暗闇の迷宮の中で目を覚ました。自らのステータスを調べたところ、自身がSランクモンスター、天災級とも呼ばれるベヒーモスに転生したことを知る。しかし、水に映った自分の姿は小さな猫。困惑しながらも迷宮を脱出しようと進むが、力尽きて倒れてしまう。目が覚めると、そこには天使のように美しいエルフの女性がいた。原作は銀翼のぞみの同名小説。
主人公の元騎士、タマは茶虎の「猫」である。額に虎猫特有の「M」型の模様があり、身体は小さく、女性の手のなかにすっぽりと収まるサイズだ。その見た目はどう見ても猫なのだが、正体は猫ではなく、ベヒーモスと呼ばれるモンスターなのである。作中では、国家が滅びるほどの天災レベルの危険な存在とされている。折にふれて登場するイメージ画では、鋭い爪に牙、大きな翼を備えた巨大な体躯の、まさに凶悪なモンスターといった風貌だ。タマは幼体なので可愛らしい茶虎猫のように見えるが、成体になるとそんな恐ろしい姿になるようである。今の姿が愛らしい子猫のため、本当にそうなるのかは疑問ではあるが、見た目は可愛くても最強モンスターであることにかわりはなく、その能力は規格外だ。作中多くのモンスターが襲い掛かってくるが、ベヒーモスのスキルを使用することで一瞬にしてそれらを消し炭にすることができる。世界征服すらもできそうだが、その強大な能力を、拾ってくれたご主人を守るために使おうというところがとても健気。元騎士ならではの古風な口調もその魅力に一役買っていて、癖になる。
突然ペットとして飼育されることになった女子高校生と、飼い主である獣人の日常を描くほのぼのラブコメディ。獣人ジノヴィは、ペットショップで売られていた人間に一目ぼれ。衝動的に購入し、リラという名前を付ける。リラは普通の女子高校生だったが、目覚めるとガラス張りのケースの中に監禁され、気が付けばジノヴィに抱きしめられていた。言葉がわからないため、状況が把握できないリラ。人間飼育初心者ながらもリラを溺愛するジノヴィと、そのペットとなったリラは、少しずつ距離を縮めていく。
人間を飼育するというと少々危ない話になりそうだが、本作は健全なラブコメだ。女子高生が何らかの事情でペットとして販売され、その飼い主は犬のような獣人ジノヴィである。リラにはその世界の事情や状況がわかっていないが、獣人の間では人間を飼うことはよくあることらしく、人間用の服やハウツー本が何種類も販売され、他にも人間を飼っている獣人の話なども登場する。人間を飼うといっても、労働力ではなく完全に愛玩用だ。ジノヴィもリラにぬいぐるみや洋服を与え、具合が悪くなれば看病もする。溺愛するがゆえに、怖がられないように嫌われないようにと気遣う姿はほほえましい。動物の言葉はわからないが、リラは人間であるため、読者は彼女の考えていることがわかるように描かれている。2人の状況を見ながら、「家にやってきたばかりのペットたちはこういう気持ちだったのかな」と想像するのも楽しい。ジノヴィは暴走しがちだが、それも飼い主としての愛ゆえだろう。2人の心の距離がなくなっていく様子にほっこりとする。