王国と共和国が始めた戦争はすでに2年が経過したところで状況は膠着しており、王国は自体の打開の為に様々な施策を行い始めていた。
「二○二試験補給中隊」の創設もその一環である。通常の補給部隊は物資の輸送を行うのが任務なのだが、「二○二」は物資の発注、管理、輸送、修理、防衛等、輸送に関する全てを受け持つというまさに試験的な補給部隊となっていた。
その部隊で副長として働いているのがシャーロット・テューダー大尉だ。14歳にして大学と士官学校を卒業した天才少女。そしてそんな彼女と行動を共にしているのが、ディズ・ノーサイト伍長。常に仕事をさぼりたがり、隙あらば居眠りをするダメな大男だったりもする。彼らは今日も、強装甲・強武装を施した軍用列車「ラーヴィック」に搭乗し、戦場へと物資を届け続けるのだった。
当たり前なのだが、戦闘行為は普通「戦闘部隊」の仕事である。戦闘部隊ではない補給部隊というのは、現実の戦争でも狙われやすい部隊だ。兵站を破壊することによって、前線の部隊は戦闘行為を維持することができなくなるからだ。しかしシャーロットたちが所属する「二○二試験補給中隊」は違う。前線へと物資を届ける為、防衛戦闘が可能な軍事列車“ラーヴィック”を所持し、あらゆる戦場に物資を運んでいくうちにやがて列車が走る路線は、「女王陛下の補給線」と呼ばれるようになっていく。
「二○二」の最大の武器。それは軍事列車ではなく、特殊な一人の兵士にあった。彼は「全死呼ぶ一兵(オールデッドワン)」と呼ばれる、伝説の英雄であった。特注された手持ち式45mm対戦車砲を自在に操り、あらゆる敵を撃破する。まさに死神のような存在だ。「二○二」は補給という任務を持ちながら、最強の兵士を擁する試験部隊でもあったのだ。
戦争で戦っているのは前線の兵士だけではない。
補給部門に着目した漫画は珍しい。命を懸けて戦う兵士の為に、あらゆる戦場にあらゆる物資を運ぶ「二○二」の活躍を読んでみてほしい。