横浜を舞台に、卓球好きなヤクザの組長と高校生男女の三角関係を描いたラブコメディ。横浜は伊勢崎町にある小さなコンビニ「ラバーズ7」。オーナーの東ノ本(とうのもと)宗則は、何を隠そう暴力団・東ノ本組の組長である。しかし、組は事実上解散状態で、すべての揉め事は卓球好きの宗則の一存で「ボールとラケット」で解決する有様だ。ある日、ラバーズ7で万引き事件が発生。捕まえた犯人は、女子高校生・添野なつきであった。
なつきは万引きが濡れ衣であったこともあり、取調べにも一言も口をきかない頑固さである。業を煮やした宗則は、卓球で落とし前をつけるよう提案した。対戦相手として選ばれたのは、ラバーズ7でバイトをする高校生・森岡ひろみだ。ひろみもまた、万引きが原因で労働奉仕を余儀なくされていたのだが、宗則から勝てばひとつ願いを叶えてやるとけしかけられる。結局勝負に負けたなつきは、ひろみと同じくバイトとして働くことになり少しずつ心を開いてゆく。そんな彼女の姿を見て宗則は、かつて思いを寄せていたある女性の姿を重ねるのであった。なつきとひろみ、宗則の不器用な三角関係がハートフルだ。本作で描かれるヤクザの世界はのどかであり、ドンパチ代わりに卓球というのもほっこりさせられる。
ひょんなことから出会った女子大生とヤクザの若頭が織りなす、命懸けのエロティック・ラブストーリー。主人公・ユリは気が強いのがたまにキズな普通の女子大生だ。彼氏作りのために友人とパーティに参加するが、ナンパ目的の男たちに辟易していた。ユリたちは帰ろうとするものの、部屋を間違え違法ドラッグパーティの現場を目撃してしまう。口封じのためにドラッグ漬けにさせられそうな友人を助けるべく、大立ち回りを繰り広げるユリの前に一人の青年が現れる。
ユリの前に現れたのは、暴力団「桜夜(おうや)組」の凄腕若頭・桜夜才臣(としおみ)であった。ユリは恐れ慄くが、そんな彼女に才臣は優しく微笑みコートを掛け名刺を渡す。平穏な日々を過ごすユリだがどうしても才臣のことが忘れられず、組事務所へ向かい彼の真意を知る。束の間の幸せに舞い上がるユリだが、才臣が狙撃される場面に遭遇し葛藤する。しかし、生死を懸けてヤクザとして生きる彼への思いを止められず、危険な愛に溺れる道を選択するのであった。本作は、極道の世界で「ヤクザの女」として立ち振る舞うユリの逞しさに好感をおぼえる。海外マフィアとの攻防や恋敵の妨害など、障害が大きければ大きいほど燃え上がる二人が妖艶かつエロティックであり目が離せない。
母を奪ったヤクザを殺すため、究極の暗殺拳を手に入れた青年が巻き起こす、ちょっぴり心温まる復讐劇。主人公・沼倉孝一は幼き頃、たった一人の肉親である母親を「木村」なるヤクザに奪われた過去を持つ。復讐から木村を殺害することを決意した彼は、漫画「北斗の拳」を頼りにツボを圧すだけで人を殺せる技を会得するため、トレーニングを積む。時は過ぎ、ついに沼倉は木村と相対し今まで培ったテクニックを駆使するが、全く効くことなく返り討ちに遭うのであった。
殺害に失敗した沼倉は、ありとあらゆるツボを学ぶため猛勉強を重ねトレーニングに励む。その腕前は国家資格に合格し、自分のマッサージ店を開業するほどになった。沼倉は風俗店で出会った指圧師を目指す学生・坂本里香を助手として雇い、彼女と共に悩みを抱える患者を施術で幸せにしてゆく。そして、再び木村を殺すチャンスが巡ってきたが、再会した彼は癌で余命いくばくもない状態であった。木村の姿を目の当たりにし、沼倉は葛藤の末とある「ツボ圧し」を行う。本作は、復讐を軸にした沼倉と木村の絆の物語になっているのが意に反してハートフルである。復讐のバイブルが「北斗の拳」であったり、殺すはずのツボ圧しが患者を喜ばせたりと、妙にズレてしまうのもバカバカしく面白い。
大学生の家に居候することになったヤクザの組長が、さまざまなアイディア料理を振る舞う任侠グルメ漫画。主人公・若水良太は怠惰な底辺大学生だ。ある晩良太は、引っ越し業者を装った二人組のヤクザに遭遇し、山盛組との抗争に巻き込まれてしまう。激しい銃撃戦の末、二人組に命を救われる良太であったが、彼らから恩と引き換えに家に匿うよう命令される。ゴミ屋敷と化していた良太の部屋に入るや否や、驚きの行動を取る彼らであった。2016年にテレビドラマ化。
柳刃組の組長・柳刃竜一と手下の火野は慣れた手つきで部屋を掃除する。恐れおののく良太の前で柳刃は、冷蔵庫にあるあり合わせの材料で「酒のアテ」をあっという間に作るのであった。一泊のつもりが、柳刃は組内で裏切りに遭ったことが判明し、火野も含め彼の部屋で居候することに。毎日アイディア料理を振る舞う彼に胃袋を掴まれ徐々に心を開きつつある良太であったが、大学の友人に「おじ」であると嘘をついたり、時たま現れるグルメ好きの警官から匿おうとしたりと前途多難な毎日を送ってゆく。柳刃の料理は、缶詰めやコンビニ食材など身近なもので作るものが多く、実生活でも応用が効くものばかりだ。ヤクザだと思われた二人であったが、ラストで明かされる意外な正体にも注目したい。
ヤクザの組長と無垢な女子大生が織りなす禁断の純愛を描いたラブストーリー。主人公・岡崎瑠璃(るり)は大学1年の夏休み、コンビニで初めてのアルバイトに精を出していた。彼女の働くコンビニには必ず同じ銘柄のタバコを二箱買う中年男性の客がいるが、他の客と揉め事を起こすため店員に恐れられている。しかし、逆瀬川(のせがわ)と名乗るその男を接客するうちに、瑠璃は不思議な感情をおぼえていた。ある大雨の日、傘を忘れた瑠璃は逆瀬川に近づくべく一世一代の賭けに出る。
瑠璃はいつものようにタバコを買いに来た逆瀬川に声をかけ、車に同乗することに。今まで女子校育ちで「男」を知らない瑠璃には彼のすべてが新鮮に映っていた。ヤクザと知りつつ大胆な行動を起こす彼女に戸惑いながらも、逆瀬川は少しずつ思いを受け容れてゆく。初デートや初キスに浮かれる瑠璃であったが、逆瀬川の過去を知る女性・蒲生田(かもだ)岬が現れ衝撃の事実を告げる。しかし、邪魔が入れば入るほど思いは燃え上がり瑠璃は純愛を貫くのであった。本作は、ヤクザと女子大生という異色のカップルの濃厚かつ壮絶な愛憎劇が多くの女性の共感を生んだ。一見コワモテの逆瀬川だが、キャラものの携帯ストラップを付けるなどチャーミングな一面も垣間見える。