地球のために侵略者と戦う少年少女たちの活躍を描いたヒーローラブコメディ。男子高校生・炎城烈人(えんじょうれっと)は、幼馴染の星乃雲母(ほしのきらら)と下校中に侵略者・キセイ蟲(きせいちゅう)に襲われている場面に居合わせる。H×EROS(エグゼロス)の力で迎え撃とうとする烈人であったが、連日の戦闘による消耗で力が出ない。追い詰められたそのとき、雲母のHネルギー(エネルギー)が解放され、2人はキセイ蟲を退けるのであった。2020年にテレビアニメ化。
「HEROはH(エッチ)とERO(エロ)で出来ている」とする序文からして、ただのヒーローものではないということは明らかな本作。作品概説では、正統派のヒーロー漫画の展開に感ぜられるだろうが、これが一筋縄ではいかないのだ。キセイ蟲と戦うための強化装置であるH×EROSは、使用すればその反動で服が破れ全裸になってしまうし、Hネルギーとは人間のエロスの源で、キセイ蟲はそれを狙って地球人から活力を奪おうとしているのだ。H×EROSは烈人以外は雲母を含む4人の美少女で構成され、ことあるごとに、烈人はいわゆるラッキースケベに見舞われる。恋愛とエロス、正統派ヒーローものの要素が絶妙なバランスで組みあがっている稀有な作品である。
9人の少女らとともに、人類にあだなす悪魔と戦う少年を描いたバトルファンタジー。男子高校生・亜久津拓真(あくつたくま)はその凶悪そうな風貌から周りに「アクマ」と噂され恐れられていた。しかし実は、周囲から疎まれるうちに人間恐怖症に陥っているごく普通の高校生であった。そんな彼の家には「戦乙女(ヴァルキリー)の9人姉妹」が居ついており、拓真は人類に迫る悪魔と戦うために彼女らのレベルを上げる役目を負っていたのだった。2019年にテレビアニメ化された。
孤独な高校生であった拓真。彼は戦乙女の1人、早乙女七樹(さおとめなつき) ことジークルーネを助けたことをきっかけに、主神オーディンに9人姉妹の戦乙女とともに人間界を守ってほしいと頼まれる。人類に迫る悪魔を迎え撃つ9人の戦乙女の原動力は拓真との「恋」であった。姉妹と恋人契約を結んだ拓真は彼女らと一つ屋根の下でともに暮らし、「イチャイチャする」ことで強い戦乙女に育てあげるという任を負ったのである。男子生徒間ではファンクラブさえあるボクっ娘の七樹をはじめ、同じ高校に通う生徒会長の五夜(いつよ)、アイドル業もしている六海(むつみ)など、戦乙女は個性的な美少女揃い。そんな生活の中、孤独だった拓真の心は変化し、彼女らとともに成長していくのであった。
いじめられっ子の男子学生が、ある日出会った美少女とともに巨大な正体不明の存在との戦いに巻き込まれる、美少女ロボットバトル漫画。主人公の男子学生・亀乃あゆむは、低身長で肥満児。同級生らにはパシリとして使われる毎日であった。そんなある日あゆむは、川べりで倒れる少女「みのり」を発見する。だが突如、空から謎の怪物が降ってきて、殺戮を始める。逃げるあゆむが彼女の胸に触れてしまったとき、なんと彼女は巨大なロボットに変化した。
ロボットになったみのりに触れたあゆむは、みのりの姿に変わってロボットの操縦席に転送される。そのロボットで、怪物を屠(ほふ)るあゆむ。怪物の正体、みのりとロボットの関係など謎が解決せぬまま、みのりとともにあゆむは帰宅するのであった。エロスとグロが同居しており、これらの描写は読者を選ぶかもしれないが、その重厚な世界観は、単なる美少女ロボットものと言えるものではなく、ハードなロボットSFを彷彿させる作品である。淡々とした筆致で描かれる人が死んでいく様、惜しげもなく描かれる少女の肢体や、あゆむの抱える心の闇など、多数の要素が組み合わさり、どこか往年のホラー劇画を思わせる雰囲気もある。恐ろしい世界観であるが、続きが気になってページをめくってしまう、そんな作品だ。
戦士として戦うために、強制的に女子に性転換されてしまった男子高校生の戦いを描いたバトル学園ラブコメディ。同名ライトノベルを原作としたコミカライズ作品である。平凡な男子高校生であった瀬能(せのう)ナツルは、ある朝起きると美少女になっていた。そして、謎のぬいぐるみ「ハラキリトラ」から、ナツルがこれから戦士「ケンプファー」として戦うこと、そしてケンプファーは女性でなければならないということを告げられるのであった。2009年にテレビアニメ化された。
突然ケンプファーに選ばれ、戦闘時には美少女となる宿命を負ったナツル。事情が分からぬまま、同じくケンプファーとなった女子生徒らがナツルを襲ってくる。そして女子部に潜入したナツルを巡って、恋と戦いの日々が始まるのであった。ナツルは襲いくるケンプファーの少女たちとの戦いの中、ときには友情や恋を育み成長していく。次々現れる美少女と、迫力のあるバトル描写が魅力の本作。それぞれ攻撃タイプが「魔法」や「銃」であったり異なる戦闘スタイルが存在する。また、幼馴染・生徒会長・メガネっ娘など登場する少女の「属性」も多様だ。バトルのみならず、恋愛・笑い・涙ありのてんこ盛りである。難しいことは考えずに、サクサクと読める王道の美少女学園バトル作品である。
正体不明の敵と戦う少女たちの日々を描いたSF学園バトル漫画。2013年に放送された同名テレビアニメのコミカライズ作品だ。天真爛漫な14歳の少女・一色あかねは、しっかり者の妹・ももと、天才発明家の祖父・健次郎と平穏な毎日を送っていた。しかし、世界中のエネルギーを担う「示現エンジン」を狙い突如、謎の敵「アローン」が現れる。世界を危機が襲う中で、立ち上がったのは、大きな力を持つ「パレットスーツ」を身にまとったあかねと仲間たちであった。
「友情が世界を守る鍵」がキャッチコピーの本作。少女たちが力を合わせ未知の存在に立ち向かう姿がまず見どころである。巨大な敵と戦う少女たちのひたむきな姿は必見だ。また、SF的なギミックが凝っているのも見逃せない。例えば新たなエネルギーシステム・示現エンジンを中央におく人工島「ブルーアイランド」や、健次郎の発明である対アローン兵装システム「ビビッドシステム」や、少女たちの強化兵装「パレットスーツ」など、近未来のSF表現が素晴らしい。美少女の作画に定評のある作者による「攻めている」アングルも見どころ。そして作者ならではの解釈で物語を咀嚼し、再構成している点も見逃せない。アニメのファンはもちろん、そうでない読者にもアピールできる良コミカライズである。