女性人気作家集合!実写化されたマンガ28 Pt.

時代を映したようなリアリティのあるマンガは、ドラマや映画でも人気を博している。現代の悩める女子、青春真っ只中の大学生、恋と仕事に懸命な若者などをリアルに魅力的に描いた、実写化が続いている人気女性作家のその原作マンガを紹介する。

脚本家の「鎌田倫子」は、売れっ子でもないがそれなりに生計を立てるアラサー。あのとき結婚していれば。私がもっとこうだったら。そんなタラレバを言ってばかりの毎日。素敵な彼氏ができても、大好きな映画やドラマへの思いを共有できず破局し、結婚への道は遠ざかる。女子会仲間の親友「小雪」と「香」も似たようなもので、元彼、仕事、プライドなど、いろいろなものとのせめぎ合いだ。アラサー独女の答えのない自問自答の繰り返しが、コメディタッチながらリアリティを持って描かれている。

東京にある「天水館」の住人はいわゆるオタク集団で、自称「尼〜ず」。クラゲオタクで内気な主人公「倉下月海」、三国志オタクでコミュ障の「まやや」、比較的常識人ながら偏愛の激しい「枯れ専」の「ジジ様」など、変わり者だらけだ。そこに突如現れた美形の女装男子「鯉淵蔵之介」は、持ち前の行動力とリーダーシップで彼女たちを少しずつ変身させ、内気だった「月海」を変えてゆく。オタクと最新ファッション、女装男子と恋に奥手な男女など異色要素の掛け合わせが、ギャグだけではない独自のおもしろさを生み出している。

美大生「赤松啓介」が一目惚れした「紺野泉」は絶世の美女で数々の男を虜にするが、あまりにモテるために数々の不運に見舞われる。彼女とその周りの変わり者でお騒がせな面々による、奇想天外でハイテンションなラブコメマンガ。「赤松」のバイト先の教え子の女子中学生「緑川つね」と、「泉」の家の大家「トキばあ」を中心に、最新のパロディネタから体を張った芸まで、なんでもあり!マンガから飛び出してくるような、勢いあるドタバタギャグに圧倒される作品だ。

美術大学を舞台に「全員が片思い」の大学生の青春を描いた、切なくて胸キュンのマンガ。才能あふれる「花本はぐみ」と「森田忍」、「はぐみ」に一目惚れのまっすぐな少年「竹本裕太」、カッコつけているけれど叶わぬ恋を続ける「真山巧」、同じく彼に叶わぬ想いを持ち続ける「山田あゆみ」。キラキラとした青春の日々、きっと誰でも一度は経験したであろう切ない気持ち、将来への漠然とした不安など、読み手の共感を呼ぶ色鮮やかなキャラクター、それぞれの感情やストーリーが魅力的だ。

将棋の天才「零」は孤独な身で、一人で生きていこうと必死にもがく少年。「三月町」に住む三姉妹に出会い、彼の頑なな心は少しずつほどけ、それまで失っていた人間らしさを取り戻してゆく物語。棋士仲間や先輩の生き様に触れ、棋士としても成長する。しっかり者で包容力のある「あかり」、思春期で自らも悩みを抱えながらも「零」の力になろうとする「ひなた」、とにかくかわいい、いるだけで場を明るくする「モモ」。「零」を起点にした三人の優しさにじんわりと心が洗われる。

30歳の「櫻井いちこ」は、ある日7歳も年下の「早乙女亮一」と出会い、恋に落ち、振り回され、そして別れる。その間ずっと彼女の脳内で5人のメンバーによって行われていた「脳内会議」を並行して追いかけたラブコメディ。人間の頭の中ってきっとこうなんだろうな、と納得できるくらいに、5人それぞれの発言はリアリティがあり、人間の感情の複雑さを物語る。ポジティブ思考担当の「石橋」も、ネガィブ思考担当の「池田」も、感情や立場をコロコロ変える「ハトコ」も「吉田」も、ひたすら記憶する「岸」も、誰もが必要な存在だ。これを読めば、悩んだときにふと自分の脳内を想像し、決断が変わるかもしれない。

「小動爽太」は高校時代から片思いしていた「高橋紗絵子」に振り向いてほしい一心で、フランスで製菓修行に励む。しかし帰国したときには「紗絵子」は結婚が決まっており、見事失恋。傷心の状態で出会った「加藤えれな」と微妙な関係や、ショコラティエ「六道誠之助」との意気投合が、一途な「爽太」を揺さぶる。うまくいかない、ひとりひとりの恋模様が丁寧に描かれており、じれったくもどこか共感でき、どんどん読み進めてしまう。