荒野に生きる男たち！ウェスタン漫画オススメ5選36 Pt.

西部劇では銃の打ち合いが見どころになる場面が多いが、住民を守ると言う重要な役回りを担うのが保安官だ。本作の主人公は、凄腕のガンマンとして住民から絶大なる信頼を得ている保安官・エヴァンス。幼い頃からモテたい一心で、父親の「ガンマンはイケてる」という言葉を胸に、銃の腕前も上達し、保安官の道を一直線に歩んできた。しかし、一度も恋人ができたことがないため、頭の中は煩悩で埋め尽くされたまま。優秀な保安官なのに、恋愛に関してはポンコツというギャップが面白い。そんな彼の前に現れたのが、女性賞金稼ぎのフィービー・オークレイ。銃の腕前を競い合うライバル関係にあるが、密かにエヴァンスを想っている。とはいえ、2人とも恋愛初心者な上にプライドが高いため、思いはすれ違うばかり。恋の攻防戦に注目だ。

本作の舞台はアメリカ西部だが、主人公・イサムの父親は日本人の渡勝之進。勝之進は、江戸幕府が倒れて間もない明治5年に新しい学問を目指してアメリカへ渡り、カリフォルニア州の山中で出会ったインディアンの女性と結ばれる。2人の間に生まれた子どもがイサムだ。父親と生き別れてしまった後に、大悪党・ウインゲート一家の元でガンマンとして成長していくが、そこは人としての幸せや温かみとは縁遠い場所。しかし、清らかな心は汚されなかった。どのような過酷な環境にも負けず、人として正しく生きようとあがくイサムの健気な姿に胸が熱くなる。重厚なストーリーに加え、躍動感あふれる劇画タッチの描写に引き込まれること請け合いだ。

ホープは父親の形見を渡すため、兄のコール・エマーソンを探して旅していた。早撃ちの名手で銃の腕は一流だが、銃を使うのは「人の皮をかぶった悪魔」のみ。得意とするのはスポットバストショットだ。複数の銃弾を瞬時に一点に打ち込む超高度な技術で、防弾服をも貫通できるほど弾丸の威力を高めることができる。旅の途中、凄腕銃士の集まりで悪名高い私設軍隊「深紅の処刑人」によって、壊滅させられた村の生き残りのニコラと出会う。実は、彼女の正体は、「深紅の処刑人」を牛耳る大富豪フィリップ・クリムゾンの孫娘で、母親が殺害された謎を調べていた。ホープとニコラは行動を共にするようになるが、彼女の動きが物語の行方を決める大きなカギとなっていく。

西部劇を題材にした漫画では、カウボーイが颯爽と駆ける姿が印象深い作品も多い。しかし、『OLD WEST』の主人公は、老人の波乱万丈な昔話を嬉々として聞きたがる少年だ。老人が語るカウボーイ時代の思い出話は、農家を継ぐ運命が定められている少年にとって、まるで夢物語だ。そんな2人の繊細な心の交流に胸を打たれる。強盗団に属す青年の葛藤を描いた『COYOTES MUST KILL』や、ネイティブアメリカンによる狼狩りがテーマの『WIND IN WOLVES』など、それぞれの物語で描かれているのはリアルな人間ドラマ。さまざまな問題を抱えながらも夢を持ち生きた西部の人々の姿が目に浮かぶ。

アメリカ西部発展の裏側には、抑圧された先住民族の悲しき歴史がある。レッドは、アメリカ先住民のインディアン・ウィシャ族の出身。少年時代に部族を虐殺した第七騎兵隊のメンバーを追い求め、旅を続けていた。明るく陽気な青年に見えるが、心に深く根付いているのは、暗く燃えたぎる復讐心だ。イエローが住んでいた町で、目指す敵の1人であるバーンズを見つけ殺害に成功。その場に居合わせたイエローやアンジーも、次なる標的を目指して旅立ったレッドを追って町を出る。傷つけ合った悲惨な過去があっても、新たな人との出会いや絆が、未来を築いていく上で重要だと気付かせてくれる作品だ。