ヘタレ男子が登場する漫画53 Pt.

映画『覚悟はいいかそこの女子。』2018年10月12日公開。

ヘタレ男子が登場する漫画

出典:集英社

ヘタレ男子とは、当人の能力に関係なく、肝心なところで意気地がなかったり、優柔不断になってしまうなど、さまざまな理由であと1歩が踏み出せない男子のこと。単なるダメ男とは大きく違う。そんなヘタレ男子が登場する漫画を特集する。


『覚悟はいいかそこの女子。』

出典:集英社

イケメン男子の不器用な恋愛模様を描いた、ユニークな青春ラブコメディ漫画。物語の主人公・古谷斗和は、幼い頃から女子にちやほやされてきたイケメン男子高校生。ところが生まれてこの方、彼女がいた経験はなし。そんな斗和が、「お前は観賞用男子だ!」と、友人に指摘されたことで一念発起。彼女を作ろうと、学年で1番人気の女子・三輪美苑にアタックをかける。2018年10月に映画化。

本作のヘタレ男子は、主人公の古谷斗和。イケメンでとても女子受けが良い彼は、「彼女は自然に出来るもの」と思い込み、今まで自分から女子にアプローチをすることはなかった。そんな彼が彼女にしようと目を付けたのは、学年で1番人気のクール系美少女・三輪美苑。美苑を呼び止めた斗和は、自信満々で”壁ドン”をし、「俺の彼女になって」と言う。ところが美苑は、斗和に”逆壁ドン”を喰らわせた挙げ句、告白を一蹴。「これは単なる予行演習」と、慌てて誤魔化し、告白失敗を強引に回避したものの、2度目の告白でも敢えなく玉砕。しかも、「カッコ悪い男」というトドメの言葉まで言われる始末。しかし、そんな手痛い経験で、斗和は美苑を強く意識するようになる。やがて、彼女が別の男に恋をしていることに気付く斗和。そのとき初めて、彼は本当の「好き」という気持ちを知り、恋愛に正面から向き合おうと努力し始める。


高橋留美子の代表作のひとつに数えられる、雑居生活型ラブコメディ。ボロアパート「一刻館」で暮らす浪人生・五代裕作は、はた迷惑すぎる住人たちに嫌気が差し、引っ越しを決意。そんな矢先、「一刻館」の新たな管理人として、音無響子がやってくる。響子の美貌に一目惚れした五代は、引っ越しをあっさり撤回。彼女のハートを射止めようと、苦心を重ねていくこととなる。

本作の主人公・五代裕作は、まさにヘタレ男子の典型のような青年だ。管理人・音無響子に惚れているものの、なかなかその気持ち伝えられない。彼女のことを知れば知るほど、その想いは深くなっていくが、逆に彼女の、亡き夫である惣一郎への想いも知ることとなり、なかなかあと1歩が踏み出せない。もっとも、響子自身が恋愛感情にかなり鈍感であることや、個性的な「一刻館」の住人たちの妨害なども、告白が上手くいかない大きな原因でもある。さらに、イケメンでにスポーツ万能、実家が資産家という、ハイスペックな恋のライバル・三鷹瞬の登場によって、五代の恋の行方は益々前途多難に。このもどかしさが、読む者を惹きつける大きな要素にもなっている。


『保安官エヴァンスの嘘~DEAD OR LOVE~』

出典:小学館

開拓時代のアメリカ西部を舞台に、敏腕保安官である主人公の活躍と、その実力に反比例するかのような恋愛模様を描いた西部劇アクションラブコメディ。凄腕のガンマンである父によって、幼い頃から銃の手ほどきを受けた主人公・エルモア・エヴァンスは、西部でも指折りの保安官として名を馳せるまでに成長。しかし、彼が銃の腕を磨いたのは、街の治安を守るためではなく、女性にモテたいから。そんなエヴァンスだが、これまで彼女がいたことはない。この状況に終止符を打つべく、彼は日々努力を重ねていく。

本作の主人公・エルモア・エヴァンスは、ハイスペックなヘタレ男子だ。渋めのイケメンかつ凄腕のガンマンであり、西部の荒くれ者たちから恐れられるほどの敏腕保安官。はっきり言って、女性にモテるタイプの人物である。実際、彼に惚れる女性は少なくない。ところが、肝心な場面となると、それまでに築き上げてきた保安官としての体面や、男としてダサイ真似は出来ないというプライドなどが邪魔をして、エヴァンスは1歩踏み出すことが出来ないのだ。さらに、勇気をふり絞って1歩を踏み出したものの、相手の女性が賞金首だったせいで、その行動が”異性に対する好意”ではなく、”保安官としての正義感”だと勘違いされることも。なお、エヴァンスの行動の多くは、父から教えられた「モテるための秘訣」に基づいている。それがことごとく裏目にでる様子が、本作のもっとも面白いポイントである。


椎応大学のサークル「現代視覚文化研究会(現視研)」のメンバーが繰り広げる物語を描いた、コミカルな群像劇。主人公の隠れオタク・笹原完士は、大学入学を機に、オタク系のサークルに参加することを決意。「現視研」に入会した彼は、「漫画やアニメ、ゲームが好き」という自分の趣味に正直になる覚悟を固め、サークルの仲間たちと共に、目眩くオタクワールドに没頭していくこととなる。2004年10月にテレビアニメ化された他、『くじびきアンバランス』をはじめとする作中作のスピンオフなど、さまざまな展開がされた。続編に『げんしけん 二代目』がある。

主人公である笹原完士は、どちらかというとヘタレ男子の部類だが、本作には彼以上のヘタレ男子が登場する。それは「現視研」2代目会長・斑目晴信だ。彼が想いを寄せる女性は、春日部咲。サークルに顔を出してはいるものの、オタク趣味は一切なし。むしろオタクとは縁遠い、オシャレ系の女子大学生である。春日部が「現視研」に足を運ぶ理由は只ひとつ。「現視研」メンバーである高坂真琴と付き合っているからだ。つまり斑目の想いは、最初から成就する見込みがほとんどないものなのだ。高坂は、イケメンな上に、オタクとしてもとんでもない資質を持つ豪の者。そのせいもあって、斑目自身も自分の想いを頑なに秘めている。そんな彼にとってのゴールとは、ハッキリと自分の想いを告げて振られること。一般的な恋愛作品とは大きく異なる斑目の恋愛模様は、ストーリーの見所のひとつだ。


司法の手が届かない犯罪者を人知れず裁くため、特別な手術を施された「合成人間」である特捜司法官・ジョーカーの活躍と、彼女と恋仲になる日本州警察の捜査員・六道リィンの奇妙な関係を描く、未来が舞台のSFアクション漫画。「マーズ・ムーン」と呼ばれる麻薬の流通経路を探っていた六道リィンは、その過程で不思議な女性・ジョーカーと出逢う。「自分は”合成人間”だから、大切にされる価値などない」と、寂しげに語る彼女に対し、リィンは激しい憤りを覚え、その言葉を否定する。一般とは異なる価値観を持ったリィンに対し、彼女は好感を抱く。

本作におけるヘタレ男子は、主人公の六道リィン。今回取り上げた他の4作品のヘタレ男子とは異なり、六道リィンは、最初のエピソードである『JOKER』でジョーカーの心を射止め、続く『帝王の庭』で早くも恋仲といって良い間柄になる。捜査官としても有能で、将来も有望。これだけ見ると、ヘタレ男子には該当しないように感じられるかも知れない。しかし、彼も立派な(?)ヘタレ男子。ジョーカーとリィンの関係は、ジョーカー主導によるほぼ一方的なもの。存在そのものが極秘の特捜司法官であるジョーカーは、神出鬼没。リィンが会いたいときに会えるわけではない。お人好しで押しに弱いリィンは、彼女に振り回されてばかりとなる。果たしてジョーカーの気持ちは本物なのか、それとも激務の合間の息抜き的な遊びなのか。リィンは密かな悩みを抱えつつ、ジョーカーとの関係を続けていくこととなる。


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