『銀魂』からは、テロリストたちが使っていた、コケシのような形をした爆弾、ジャスタウェイが名前の由来となった競走馬が出ている。漫画の中のジャスタウェイは、小型ながら高性能で、その威力はなかなかのものだったが、競走馬のジャスタウェイも、その能力はかなりのもので、日本国内のみならず、海外のドバイでもG1(競馬の最高ランクのレース)の「ドバイデューティーフリー」に優勝している。ドバイでの優勝により、ジャスタウェイは2014年の世界ランク1位に輝き、この1勝のみで、なんと320万ドル(約3億8400万円)を稼ぎ出すという大爆発を見せた。通算成績は、22戦6勝。先述のドバイデューティフリーに天皇賞・秋、安田記念を合わせ、G1は3勝を挙げている。なお、ジャスタウェイのオーナーは、アニメ版『銀魂』の脚本家のひとり、大和屋暁氏であり、ほかにオツウ、パンデモニウムなど、『銀魂』のキャラクターから名前を貰った競走馬を走らせている。
鳥山明の代表作のひとつ、『Dr.スランプ アラレちゃん』の主人公、則巻アラレから名前が取られた競走馬がミスアラレチャン。戦績は11戦1勝と、残念ながら振るわなかったが、この1勝をプレゼントしたのは、名ジョッキー・武豊であった。基本的に逃げ馬であったようで、先頭に立って走る姿に、アラレちゃんがキーンと走る姿を重ね合わせていたファンも少なからずいたのではないだろうか。
梶原一騎原作の熱いプロレス漫画『タイガーマスク』の主人公から名前をもらった競走馬が、タイガーマスク。。オーナーの発案により、名前の元となったタイガーマスクと同じく、その優勝賞金の大部分を恵まれない子供たちに寄付するという粋な計らいがなされた。その通算成績は13戦4勝で、タイガーマスクの働きにより、1800万円もの寄付がなされた。
漫画界でもトップクラスの名スナイパー、『ゴルゴ13』のデューク東郷の名前を冠したデュークトーゴー。残念ながら大きなターゲットを射止めることはできなかったが、その名前から少なからぬファンがいた様子。通算成績は19戦2勝。一時期、地方競馬の金沢競馬に所属し、そこでの成績は4戦2勝、2着2回だったことから、そのまま金沢に在籍していれば、かなりの力を発揮できたのではないかと思われる。
人名やアイテム名以外にも、名台詞からも競走馬の名前はとられている。『天才バカボン』のバカボンのパパの名台詞、「これでいいのだ」が、そのまま名前になったコレデイイノダという馬がいるのだ。彼は大きなところこそ勝てなかったものの、2002年から2010年まで、競走馬としては長期にとなる8年にわたって走り、66戦6勝、2着10回、3着9回というかなり立派な成績を収めている。バカボンのパパのイメージとは、かなりかけ離れた勤労な馬だが、引退後も乗馬として無事に過ごしているようなので、きっと「これでいいのだ」ということなのだろう。
『北斗の拳』から名前が取られた競走馬は少なくないが、中でももっとも活躍したのは、ケンシロウのライバルのひとりであった、ファルコから名前をもらったトウショウファルコだろう。成績は31戦8勝で、重賞と呼ばれる高いグレードのレースを2回勝っている。しかし、能力以上にファンを魅了したのは、その美しさ。栗色の毛に金髪のたてがみをした、尾花栗毛と呼ばれる美しい馬体であったのだ。北斗ファンなら知っての通り、ファルコの通り名は「金色のファルコ」であり、姿形も名前にピッタリであったのだ。なお、トウショウファルコは1986年の生まれだが、この年には同じトウショウ産業がオーナーの競走馬として、トウショウサウザー、ユリアトウショウらが走っている。
2015年9月現在、漫画から名前を貰っている競走馬の中で、もっともレベルが高いのは、ラキシスという競走馬だろう。名前の由来は『The Five Star Stories』(F.S.S)のヒロイン、ラキシスから。彼女はエリザベス女王杯といわれるG1を勝っている。オーナーは筋金入りのF.S.Sファンであり、ほかに同作品のキャラクターから名前を貰った、クローソー、レディオスソープという競走馬を走らせている。なお、ラキシスを購入した時の名義は「レディオスカンパニー」であった。