「戦鬼」となった男子高校生が、自らに課せられた運命に対峙し闘う限界バトル漫画。舞台は、正体不明の「鬼」が出没するといわれる現代社会。主人公・六道(りくどう)ミコトは、ごく普通の高校生だった。ごく普通のそんなある日、ミコトのクラスに青江碧(あお)なるメガネ女子が転校してくる。碧は極度のコミュ障で、ことあるごとに緊張で鼻血を出す。そんな碧になぜか心ときめくミコトだが、幼馴染・霞和(かすみなご)にやめておくよう忠告される。その日の授業中、ミコトの運命を変える出来事が起こる。
ミコトは街中で「鬼」を目撃したことがきっかけで、授業中に頭の中で音声が聞こえるという異常をきたす。和と碧のみがその異変に気づき、碧によってミコトは教室から連れ出されお札を貼られる。お札をはがすと鬼化し「カウントダウン」が始まることを知らされたミコトだが、放課後に鬼化した生徒に襲われる。「戦鬼」となった碧が助けに向かうが遠隔での戦いでは力が出せず、碧は窮地に陥る。彼女の兄で警察庁の戦鬼補佐官・青江愛(ちか)から鬼になって戦えと迫られたミコトは、鬼になることを決意し鬼を撃退。鬼化した人間を殺すため、国に尽くす戦鬼となったミコトは「時間切れ=死」の恐怖と闘いながら、ミッションをこなしてゆく。死と隣り合わせのバトルは臨場感たっぷりで、ドキドキ感を味わえる作品だ。また、和の意外な正体やラスボスとの闘いも興味深い。
突如「げぇむ」なるバトルに巻き込まれた男子高校生が、生き残るべく闘うサバイバル・ミステリー。主人公・アリスこと有栖良平は、家にも学校にも居場所がない落ちこぼれの高校生だ。不良仲間のカルベこと苅部大吉と、チョータこと勢川張太の三人組で漠然とした日々を過ごしていた。ある日彼らは、深夜に歩いていたところ巨大な花火の閃光に包まれる。気がつくとそこは夢とも現実ともつかない「今際の国」だった。2013年にテレビアニメ化。2020年に実写ドラマ化。
現実に酷似した世界をさまよう彼らは、とある神社にたどり着くがそれは罠に過ぎなかった。境内で出会った紫吹(しぶき)小織からこのままでは死ぬと諭され、半ば強制的に神社での「げぇむ」に参加することに。死と隣り合わせのおみくじゲームを「くりあ」した三人は、滞在時間が伸びる「びざ」を支給される。三人は紫吹と行動を共にするが、「かくれんぼ」なるげぇむで明暗が分かれる。仲間の命を犠牲に生き残ったアリスは、持ち前の機転で次々とげぇむに勝利し今際の国の謎に迫ってゆく。びざによるタイムリミット制度や、トランプのスートをモチーフにしたげぇむの数々は見応えがあり面白い。彼らが迷い込んだ今際の国の種明かしにも、ただただ驚愕するばかりだ。
二人一組の少女たちが、命をかけて1週間限定のサバイバルに挑むバトルロワイヤル。いじめが蔓延し、スクールカースト化されたとある女子高。主人公・春日茜は平凡で退屈な毎日を送っていた。ある日、彼女のクラスに楠田葉(くすだよう)なる転校生が現れる。容姿端麗でミステリアスな葉に、茜は友人になろうと声をかけるが厳しく突っぱねられる。そんな彼女に却って親近感を持つ茜だったが、突然の出来事が彼女たちを襲うのだった。
気がつくと茜は、古ぼけた教室のような場所に倒れていた。足首にはなんと足枷がはめられており、その傍らにいる葉と鎖で繋がった状態である。側に置かれた鞄には最低限の物資と武器、そして彼女たちがゲームに巻き込まれたことを報せる手紙が入っていた。二人一組となった生徒たちは1週間の生き残りバトルに挑み、最後まで残った1組が勝者になるという。鎖を外そうとしたクラスメイトが命を落とすさまを目撃した茜は激しく動揺。しかし、葉は茜を守ると宣言し壮絶なバトルの幕が切って落とされるのだった。設定はよくあるバトルロワイヤルものだが、閉塞的な空間で行われる女子高生たちの本性むき出しのバトルが生々しい。物語が進むにつれ明かされる、茜と葉の意外な関係性にも注目したい。
二児の母である漫画家・現代洋子が、保育園のお迎えまでの空き時間でさまざまなことにチャレンジする実録ルポ漫画。三歳と一歳の娘の母親である現代洋子は、編集者から子育てに疲れた彼女のために「アウトレットでお買い物」の新企画を持ち込まれる。快諾するが、なんと行き先は栃木の佐野プレミアム・アウトレットだ。嫌な予感がする現代だったが、見事に的中する。同行者はなんと、雑誌「YOU」から出戻ってきた旧知の編集者・ヤマ◯トだった。
現代の娘が通う保育園は、お迎えまでに最大8時間の時間がある。さっそく二人は佐野に向かうが、ヤマ◯トが組んだスケジュールはタイト極まりない。着いたら着いたで与えられた予算は6000円のみ。帰りは地元の友人に佐野駅まで送ってもらうものの、とんでもない方向音痴であることが発覚。決死の移動で時間ギリギリの電車に乗り子供のお迎えに間に合う現代だった。その後も彼女たちは「8時間の自由時間を満喫する」という名目の下、さまざまな体当たり企画に挑戦する。買い物だけでなく、マラソン・ギャンブル・お見合いパーティーの参加などチャレンジ精神旺盛な彼女たちのバイタリティに感心する。子育てママたちへの有効時間フル活用の指南書としても、お役立ち情報満載だ。
不慮の事故で死んだ青年が、生き返りをかけて1週間の任務に挑むタイムリミット・バディコメディ。この世と並行に存在する死後の世界・シェオール。シェオールにある学校の教師・三田村は、女子生徒・清水つると共に現世を訪れていたところ、目を離した隙に逃げられてしまう。そこに通りがかったのは、昨日トラックにはねられ命を落としたばかりの主人公・鬼瓦花介(おにがわらはなすけ)だ。三田村に指摘され、自分が死んだことに気づいた花介はある計画を持ちかけられる。
三田村曰く「仮死状態」の花介は、生き返らせてもらえる代わりにつる探しの任務を請け負うことに。しかし、彼に課せられたタイムリミットはわずか7日間だ。三田村もまた、期限内に見つけられない場合はクビになって霊魂が消滅するという。彼らはタッグを組み、無事につるを捕獲するが、彼女に恨まれていた三田村は隙をつかれ再び逃げられてしまう。シェオールで彼を敵視する後輩教師・赤川光秀の邪魔も入り、現世でのドタバタ劇の幕が切って落とされた。大卒の秀才でありながら残念ニートの花介と、平気で人を傷つける冷酷な三田村のアンバランスなバディぶりが痛快だ。また、本作は三田村の成長物語でもある。花介やつると触れ合ううちに、温かな人の心を取り戻すさまは感涙必須だ。