謎のウイルスから世界を救え！ VS.バイオテロ漫画オススメ５選0 Pt.

科学技術は良いことにも悪いことにも使える。そんなクールな視線で社会の暗部に切り込み、難事件を解決するのが、天才科学者である紐倉哲だ。ある日、彼のもとに根絶されたはずの天然痘が生物兵器として使われているかもしれないとの相談依頼が舞い込む。バイオテロを疑った彼が感染経路を辿っていくと、天然痘ウイルスによく似たオルフウイルスの研究者、永井に行き着く。しかし、その真犯人は永井ではなく、彼のウイルスを盗み出し、無差別テロに見せかけて離婚調停中の妻の殺害を目論む二階という男だった。最新の科学技術が、それを使う人間次第で毒にも薬にもなることを巧みに描き出す、知的な深みを持った医療ミステリーだ。

ロシア諜報員の殺害事件をきっかけに、「ブラッディ・マンデイ」という謎の計画をめぐって進行する怒涛の展開が本作の大きな魅力。天才ハッカーの高木藤丸は、彼の父親である竜之介が所属する公安調査庁から、ロシア諜報員の腹部に埋められていたというチップの暗号解読を依頼される。その中には、顔中の穴という穴から血を吹いて女の子が苦しみだす「BLOODY-X」なる謎のウイルスを用いたバイオテロ実験の様子が映し出されていた。それから謎の組織が放つ刺客に何度も狙われ窮地に立たされる藤丸だが、「BLOODY-X」によるパンデミックを阻止するべく、卓越したハッキング能力を駆使して、事件解明に乗り出すのだった。

本作では、人をゾンビに変える謎のウイルスによって世界が崩壊していくパンデミックが描かれる。そして、そんな謎めいた世界観の広がりとは裏腹に、社会が一変してもヒーローになりきれない鈴木英雄の葛藤が本作の大きな魅力だ。売れない漫画家の英雄は、社会の負け組であることにコンプレックスを抱いていた。ある日、人々は謎の感染症で「ZQN」と呼ばれるゾンビに変わり、非感染者を襲い始める。趣味がクレー射撃で散弾銃を所持する英雄は「ZQN」に対抗する力を持つが、臆病な性格が災いして、手にした銃で人々を救うことも出来ずに逃げ惑う。ヒーローらしからぬ男のリアルな心理描写を通じて、パンデミック後の世界を描く異色のゾンビ漫画だ。

本作では、遺伝子工学技術にまつわる悲劇が描かれる。『YASHA-夜叉-』の主人公である有末静は、特殊な遺伝子操作を経て誕生した、人類を遥かに上回る頭脳を持った新人類。彼には伝説の傭兵ルー・メイとの間に一夜の契りで授かった子どもがいた。それが本作の主人公、アリサ・クロサキだ。しかし、ルー・メイは静ではなく、彼女を愛するケン・クロサキと結婚し、アリサには実の父親について打ち明けていなかった。だが、アリサは出生の秘密とともに、冷酷無比な殺人鬼スー・グイの野望を知る。盗まれた静の体細胞から生まれたスー・グイは静を憎み、謎のウイルスによるバイオテロを目論んでいたのだ。遺伝子工学技術が生んだ複雑な因縁の悲劇が涙を誘う一作だ。

主人公の真藤将貴と中学以来の親友である三上は、校外学習の野草採集で、1500年前に生息していた「BUG」と言われる殺人ウイルスに感染してしまう。そこで三上は感染者を増やし、自由に操れる能力を発現。一方で、真藤はウイルスを死滅させる能力を手に入れる。そして実は心の底で真藤を憎んでいた三上は、クラスメイトや実の妹をBUGに感染させるバイオテロを起こし、真藤に襲いかかる。謎のウイルスが原因で憎しみの力が解き放たれ、多くの人々が巻き込まれていく、恐怖のサイコホラー作品だ。