藤子不二雄のダーク系漫画作品オススメ5選693 Pt.

数々の子ども向け人気作品を数々生み出してきた、藤子・F・不二雄&藤子不二雄Aの両氏。そんな両氏は大人向けのダークな名作も数多く生みだしている。今回は両氏のダーク系漫画作品から5タイトルを厳選、紹介する。

藤子不二雄のダーク系漫画作品オススメ5選

出典:小学館


『魔太郎がくる!!』

『魔太郎がくる!!』

出典:小学館

いじめられっ子の魔太郎が、魔術を使って復讐するオカルト漫画。浦見魔太郎は小柄で気弱な中学生。いじめにあっても言い返したりやり返すこともできない性分。しかし魔太郎は恨みが頂点に達すると「うらみ念法」で悪魔サタンに祈りを捧げ、相手に報復するのだった。そんなある日、彼と同じように魔術が使える幼児・阿部切人が引っ越してきた。

本作は魔太郎に害を及ぼしたいじめっ子に対し、復讐をするという物語。魔太郎は呪う相手に対し「こ・の・う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か」と宣言、または決意の言葉を言う。基本的に殴られれば魔術で殴り返す、といった怨み返しなのだが、魔太郎自身が受けたものよりも強く仕返しされる場合が多い。時には本人だけでなくその家族に被害が及んだり、命を落としてしまうこともある。そんなやりたい放題のダーク系主人公の魔太郎だったが、向かいの家に引っ越してきた切人の存在が魔太郎を脅かす。切人は魔太郎と同じように魔術が使え、魔太郎をいじめるのだった。そのような状況の中で、魔太郎は自分の大切な人の存在を強く意識するようになる。


『ミノタウロスの皿』

『ミノタウロスの皿』

出典:小学館

未知の異星に漂着した主人公と、出会った異星人との交流を描いた短編SF漫画。宇宙飛行士の主人公は、船の故障により未知の星に漂着。そこで彼を助けてくれた美しい少女・ミノアに恋をする。ところが彼女は「ウス」と呼ばれるこの星の家畜だった。この星では牛の姿をした「ズン類」と呼ばれる知性と道徳を有した生物たちが、ウスたちを労働用、愛玩用、あるいは食用として飼っていたのだ。

本作のタイトルになっている「ミノタウロスの皿」とは、ズン類の祭りでウスの中から選ばれた最上級の食用者を乗せるものである。主人公が恋した美少女・ミノアは、その「ミノタウロスの皿」に選ばれた最上級の食用ウス。ミノアを救いたいと考える主人公だが、ミノア自身にとってはこれ以上ない栄誉であり、そのために幼い頃から体に傷やアザができることを極端に怖れていた。そしてミノアは「ミノタウロスの皿」として、栄光に包まれて死ぬことが最も素晴らしいことだと断言する。主人公はそんなミノアの気持ちを理解できず「ミノタウロスの皿」を中止させようと動き出すが、彼の言動はズン類やウスたちに理解されなかった。人と家畜の立場が入れ替わった時、命の重さはどう変わるのかを問いかける、問題作だ。


『カンビュセスの籤』

『カンビュセスの籤』

出典:小学館

タイムスリップした古代の兵士がたどり着いた、人類の終末を描いたSF短編漫画。紀元前500年頃のアケメネス朝ペルシア。時の王カンビュセス二世はエチオピアへ遠征していたが途中で食料が尽きてしまう。籤引きによって食料として選ばれたサルクはその場から逃走。霧深い谷に迷い込んだサルクは、遥か未来の世界に転移して、一人の少女と出会う。

自分の命を犠牲として仲間を救う事を拒み、命からがら逃げだしたサルク。砂漠と霧深い谷を彷徨って、たどり着いたのは核戦争で荒廃した未来だった。出会った少女に助けられ、生き延びたと思ったサルク。初めは言葉が通じなかったが、この世界でも食料が尽きた時、やっと直った翻訳機によって衝撃の事実が告げられる。核戦争で荒廃した未来では、何一つ動植物が育たない。人類は地球の回復か外宇宙の知的生命体の救助を、長い冬眠を繰り返しながら待っていた。しかし冬眠のためのエネルギーとなる食料がない。人々は籤引きで食料となって冬眠を重ね、最後に生き残ったのがこの少女エステルだった。サルクは食料となる戦場から逃げてきて、未来でもエステルとどちらが食料となるかを決める籤を引くことになる。


『ノスタル爺』

『ノスタル爺』

出典:小学館

戦争から帰還した男が体験した、不思議な出来事を描いたSF短編漫画。新婚の妻を残して出征した浦島太吉は、終戦も知らずにジャングルの奥地で隠れていて、戦後三十年の時を経て帰還。帰国すると妻の里子は亡くなっていて、故郷はダムの下に沈んでいた。せめて沈んでしまった村の近くまで行こうと降りていくと、不思議なことに無くなったはずの故郷がそのまま残っていた。

主人公の太吉は戦争の間に妻も故郷も失った男。太吉は妻の墓参をするために伯父と里帰りをする。そこで伯父から里子が太吉を待って再婚もせずに一生を終えたこと、家の土蔵に幽閉されていた「気ぶりの爺さま」が、里子が亡くなると後を追うように亡くなったことなどを知らされる。太吉が望郷の想いに耽って歩いていると、いつの間にか沈んだはずの村の中に入り込んでいた。しかもそこではまだ幼い頃の自分と里子が、無邪気に戯れていた。幼いままの里子に縋って大泣きした太吉は、不審者として捕われてしまう。誰も太吉の話を信じなかったが、浦島家の当主は浦島一族の顔をしているとして太吉に温情を与えた。そこで太吉はとある願いを申し出るのだった。切ないまでの望郷の思いを描いた名作だ。


『笑ゥせぇるすまん』

『笑ゥせぇるすまん』

出典:小学館

謎のセールスマン・喪黒福造に出会ってしまった人たちをオムニバス形式で描く、ブラック・ユーモア漫画。様々な理由で孤独や憂鬱に悩む人々。彼らの前に不気味なセールスマンが現れる。彼の名は喪黒福造。彼は「ココロのスキマ」を埋める商品を薦めてくる。だがそれは破滅への序章だった。1989年、2017年(『笑ゥせぇるすまんNEW』)にテレビアニメ化。

喪黒福造の強烈なキャラクターが人気となって一世を風靡した、藤子不二雄のダーク系漫画作品の代表作。主人公の喪黒福造は謎に包まれている。黒づくめの服装で不気味な顔立ちをしているが、言葉遣いはセールスマンらしい敬語で礼儀正しく、時には迷う人の背中を押す強引さも持ち合わせた人物だ。老若男女を問わず、心に孤独や憂鬱、虚無感などを抱える人の前に現れては「ココロのスキマ…お埋めします」の文言で様々な商品や人を紹介していく。しかも本人はボランティアと言って、報酬をもらうことはほとんどない。最初は喪黒のお陰で幸福や充実感を得る者も多いが、ほとんどの場合、彼らを待ち受けるのは破滅である。喪黒の忠告を守らなかった自業自得な者から、理由もなく理不尽な目に遭う者まで、さまざまな「お客様」が登場する。


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