男装した江戸前鮨職人とその弟子の日常と成長を描いた、本格江戸前鮨ストーリー。舞台は日本の古都・京都。主人公の少女・矢澤司は、江戸前「鮨 さわらび」で男として働いていた。ある日、「さわらび」の親方がぎっくり腰で入院するという事態が発生。急遽、司は店を任されることになる。とはいえ、店は圧倒的人手不足。そこで司は、鮨を握った経験があるという寿(ひさし)をアルバイトとして雇うのだが、実はそれは嘘で、彼は全くの素人だった。
「おすもじ」とは、「おすし」を意味する京言葉。本作は京の都を舞台に「おすもじ」が紡ぐ物語だ。主人公の司は、自分が女であるという事実を隠し、様々な鮨屋で修業をしてきた。彼女が性別を偽っているのは、鮨職人の世界が男社会であるがゆえに、辛い経験をしたためである。それでも鮨職人の道を諦めないのは、彼女が鮨に対して強い想いを抱いているから。そんな彼女の前に現れたのが、もう1人の主人公である寿だ。彼は女に振られて行くあてがなくなり、「さわらび」に転がり込んできた。しかしそこで司の鮨職人としての腕と心意気に惚れ込み、真剣に鮨と向き合うようになる。それぞれ問題を抱えていた2人が出逢い、共に様々な客たちに最高の鮨を提供しながら成長していく。
寿司屋の末っ子として生まれた主人公が、父の後を継ぐべく奮闘するグルメ漫画。主人公は柳葉旬(やなぎばしゅん)。彼は銀座に店を構える「柳寿司」に生まれた4人兄妹の末っ子で、父・鱒之介の跡を継ぐために、自身も寿司職人になることを決めた。厳しい父のもとで修業に励みながら、旬は寿司職人としての才能を開花させ、一人前の「柳寿司」3代目へと近づいていく。ひたむきな彼が握る寿司は多くの人の心を動かし、様々な影響を与えていくのだった。2018年10月にテレビドラマ化。
寿司職人になり、たった2年で魚の目利きから包丁さばきまでできるほどに成長した旬。これは厳しい師匠である父・鱒之介も驚く成長速度だ。しかし旬の魅力は、寿司職人としての才能だけではない。彼は真っ直ぐで懐が深く、仕事や他者との繋がりを大切にしている。そんな旬の性格が他の寿司職人や客たちからの信頼に繋がり、それによって紡がれる様々なエピソードが旬を魅力的な人物たらしめているのだ。本作の見どころは、旬が握る寿司を中心に繰り広げられる人と人との交流。父から子へと受け継がれる想い。そして、作中にちりばめられた魚介類などに関する知識だ。ただ寿司を食すためだけではなく、寿司を知り人と出逢うために寿司屋に行きたくなる、そんな作品である。
天才的な握りの腕を持つヒロインが、祖父の店を守るために鮨職人として成長していくさまを描いた、鮨バトル漫画。鮨屋やグルメ情報誌の記者たちの間で流れている、1つの噂。それは、突然現れた少女が握りの技で有名な職人を打ち負かしたという「辻斬り」の噂だった。真相解明に乗り出した辛口グルメ記者・高野有樹は、辻斬りの正体が海棠きららという人物であることを突き止める。きららは鮨職人の祖父に育てられた、天才鮨職人だった。2005年5月にテレビドラマ化。
母を亡くしたきららを育ててくれたのは、鮨職人である祖父だった。ところがある日、その祖父が病に倒れてしまう。祖父から江戸前鮨の伝統技術を受け継いでいたきららは、1人で祖父の店を守ろうとするが、彼女がどんなに鮨職人としての才能を持っていても、店を守りきるには圧倒的に経験が足りなかった。自身の力不足を知ったきららは、唐津にある名店「辰巳ずし」で修業に励み、さらに鮨職人同士がその腕を競い合う「スシバトル」に参戦して、鮨職人として成長していく。ライバルとのぶつかり合いや、鮨に魅せられた人々との交流、江戸前鮨に関するうんちくが本作の見どころ。きららという1人の人間の人生を通して、鮨の様々な魅力が堪能できる。
アラサー女子がおひとりさま鮨の魅力に目覚めるグルメ漫画。主人公はOLの伊崎藍子(いさきあいこ)、31歳。彼女は10年以上付き合い、結婚も考えていた恋人にある日突然振られてしまう。ショックを受けた藍子は、落ち込んだ気持ちを引き上げるために、後輩の提案をうけて何か贅沢をしようと考えた。それがきっかけで出逢ったのが、江戸前鮨である。ドキドキしながらおひとりさま鮨デビューした藍子は、鮨の奥深さを知り、すっかりその魅力に取り憑かれてしまう。
回転していない鮨屋に入るのはハードルが高い、と考えている人は多いだろう。ネタの値段が書かれておらず、メニューもない。目玉が飛び出るほどの金額なのだろうと考え、興味はあってもなかなか一歩を踏み出せない。1人なら尚の事だ。しかし、そのためらいを乗り越えた先には、幸せな体験が待っている。本作は、主人公の藍子を通して、鮨屋の雰囲気や楽しみ方、大体の値段、鮨職人たちの真摯な仕事ぶりと温かさを知ることができ、初心者のおひとりさま鮨が恐ろしいものではないということを教えてくれる。作中に登場する店は作品連載当時に実在していた店で、店ごとの予算やオススメの逸品などが丁寧に紹介されているのも嬉しいところ。まるでストーリー性のあるグルメ雑誌のような作品だ。
人生に疲れた女性たちの前に「寿司ガール」が現れる、寿司の擬人化漫画。遠い異国の地に行きたい女の子、暇が嫌いな女性、人を好きになれない女教師、誰にも嫌われたくない森ガール。世の中には、悩みを抱えて人生に疲れてしまった様々な女性たちがいる。そんな彼女たちの前に現れる、寿司ネタを頭にのせた奇妙な存在「寿司ガール」。この不思議な出逢いと交流が、それぞれの悩みを抱く女性たちに気づきや救い、明日を生きる力を与えていく。
本作は、何かしらの問題や悩みを抱えた女性たちの前に「寿司ガール」なる存在が現れ、彼女らに気づきをもたらしていくオムニバス形式の物語だ。問題や悩みが人それぞれ違うように、女性たちの前に現れる寿司ガールもバリエーション豊か。頭にいくらがのった、気品のある「イクラパトラ」や、甘海老がのった「甘海老式部姫」。一生を添い遂げてくれる「かんぴょうちゃん」など、実に様々な寿司ガールが登場する。寿司ガールたちは、女性たちの悩みに耳を傾けるわけでも、問題解決の方法を教えてくれるわけでも、慰めてくれるわけでもない。突然現れて、ただ気ままにそこに在るだけだ。女性たちは寿司ガールとの交流を通して、自分自身の力で前に進むための答えに気づいていく。