素直になれない男女の恋愛模様を描く、学園ラブコメディ漫画。主人公のひとりである四宮(しのみや)かぐやは巨大財閥の令嬢にして、才色兼備の完璧少女。もうひとりの主人公である白銀御行(しろがねみゆき)は品行方正で頭脳明晰、入学以来学年トップの成績を記録し続ける天才少年。互いに好意を抱くふたりだが、プライドの高さ故に気持ちが伝えられず、相手から告白させようと日々策謀を巡らせる。2019年テレビアニメ化、実写映画化。
物語の舞台は、政財界の子女や優れた資質を持つ者たちが集う名門校、秀知院学園。四宮かぐやと白銀御行はそんなエリート揃いの学園内でも一二を争う存在だ。白銀は生徒会会長で、四宮は副会長という立場でもあり、学園内でもお似合いのふたりと噂されている。当人たちも「自分に釣り合う相手は他にいない」と考えており、付合うこともやぶさかではない。ただしそれは、お互い「相手が告白するならば」という条件付き。そこで四宮と白銀は、頭脳の限りを尽くして熾烈な駆け引きを展開していく。もっとも、天才とは言え、ふたりとも恋愛経験はゼロであるため、ピント外れな行動も多い。そこが何とも微笑ましい、ユニークな恋愛ドラマだ。
ぶっ飛んだ性格の少年国王が巻き起こすハチャメチャな騒動を描いた、ギャグコメディ漫画。物語の主人公であるパタリロ・ド・マリネール8世は、小国ながらダイヤモンド産業で潤うマリネラ王国の若き国王。僅か10歳ながら大人を凌駕する頭脳を持つ彼は、人をおちょくるのが大好きな困った少年である。そのため周囲の人々は、パタリロの悪魔的なイタズラに悩まされることとなる。1982年テレビアニメ化の他、舞台、実写映画など数多くのメディア化作品がある。
主人公のパタリロは紛うことなき大天才で、スーパーコンピュータに匹敵する計算能力と分析力を兼ね備え、科学者としても超一流だ。パタリロは、現代科学の水準を大きく凌駕するさまざまな発明を成し遂げており、「発明パタちゃん」の異名を持つ。さらに彼は、「世界名探偵友の会」の正会員であり、作中でも数々の難事件を優れた推理で解決に導いている。その気になれば自国のみならず全世界に繁栄をもたらすことすら可能だが、パタリロはその優れた頭脳を下らないイタズラや、低俗な欲望のために浪費する。かくして、パタリロの世話役であるタマネギ部隊や、英国軍情報部MI6のバンコラン少佐といった面々は、パタリロのはた迷惑な行動に日々頭を抱えることとなる。
学園にやってきた天才少女教師と、生徒たちが織りなす愉快な日常を描く学園ギャグコメディ漫画。主人公であるレベッカ宮本は、僅か10歳にして飛び級で大学を卒業した超天才少女。そんなレベッカが桃月学園で1年C組の担任教師となるところから物語は幕を開ける。想定外のちびっ子教師の登場に生徒たちは騒然。かくして、彼らの普通とは大きく違う学園生活が始まっていく。2005年テレビアニメ化。
レベッカ宮本は赴任当初、コロンビア大学で博士号を取得したと紹介されているが、実は嘘。本当はMIT(マサチューセッツ工科大学)で3つの学位を取得している。レベッカが経歴を詐称した理由は何と、舌足らずで「マサチューセッツ工科大学」を上手に発音できないから。レベッカはこのように頭脳は間違いなく天才ではあるものの、年齢相応な部分も多い。ザリガニや怪談を怖がるなど、メンタル的にも子供だ。そのせいもあり、レベッカは生徒たちにはあまり先生扱いされず、クラスのマスコット的な立場に甘んじている。ぶっ飛んだ天才であるにも関わらず、イジられキャラであるレベッカと個性豊かな生徒たちの掛け合いは、実にユーモラスだ。
東京で暮らす型破りな家族によって巻き起こされるさまざまな騒動を描く、国民的ギャグ漫画。物語の中心となるバカボン家は、パパとママ、長男のバカボン、そして次男のハジメちゃんの四人家族。一家の主であるバカボンのパパは、大人とは思えない程バカな上に、子供じみたイタズラが大好きという困った人物だ。そのため周囲の人々は、彼の自由奔放過ぎる行動に悩まされることとなる。第18回文藝春秋漫画賞受賞。1971年テレビアニメ化の他、舞台、テレビドラマ化など数多くメディア化された。派生作品も多い。
本作で天才というと、次男のハジメちゃんを思い浮かべる人がほとんどだろう。彼は生まれて間もない頃から言葉を理解し、数学や物理法則の解説まで行うなど、まさに天才児という表現が相応しい子供である。パパとの血の繋がりを疑いたくなるところがだが、実はバカボンのパパも産まれた直後は、ハジメちゃんを上回る天才児だった。しかし、バカボンのパパは生後2ヶ月の時、くしゃみをした拍子にバカになってしまったのだ。現在の彼は、小学生レベルの勉強も出来ない体たらくだが、世間の常識を遥かに超えた彼のバカぶりは、ある意味天才的と言えなくもない。何者にも縛られないバカボンのパパのぶっ飛んだ行動は、実に痛快だ。
二宮敦人による同名小説をコミカライズしたノンフィクション漫画。作者の二宮敦人は、東京藝大生の妻を持つ小説家。二宮は日頃から突飛な行動を取る妻を見続けるうち、芸術家という人種そのものに興味を抱き、自作の題材にしようと思い立つ。さっそく二宮は、取材のために妻の案内で東京藝術大学を訪問。そこで二宮が目にしたのは、予想を遥かに上回る天才たちのぶっ飛んだ学生生活だった。
東京藝術大学は、日本における芸術系大学の最高峰。言わば芸術界の東大のような大学だ。ちなみに東京藝大の入試競争倍率は、何と東大の約3倍。合格者全員が、何らかの天才といっても過言ではない。ただし芸術家という人種は、概ね一般人とはかけ離れた感性を持っているもの。制作素材を探してゴミ漁りをする作者の妻などは可愛い部類。ペンギンの死体を無断で大学の冷凍庫に保存して騒ぎを起こすといった奇行も散見される。音楽部の学生の場合は高価な楽器を扱うこともあり、一般とは金銭感覚がズレ気味だったりもする。彼らのカオスな日常は、下手なコメディより遥かにコミカル。まさに「事実は小説よりも奇なり」を地で行く作品だ。