トラウマを抱えるピアニストの少年と、自由奔放なヴァイオリニストの少女の出逢いから始まる、音楽青春恋愛漫画。主人公の有馬公生は、かつて神童と謳われたピアニスト。しかし彼は、母の死にまつわるトラウマで、演奏中に自ら奏でる音が聞こえなくなるという症状を発症。以来彼はコンクールから姿を消した。そんな彼のピアニスト人生は、宮園かをりという少女との出逢いをきっかけに変わり始める。
主人公の有馬公生は、正確無比な演奏で幼い頃から数々のコンクールを制してきた。そんな公生の演奏に感動し、彼と合奏することを夢見てヴァイオリンを始めたのが宮園かをりである。物語の中心となるのはこのふたりの音楽家だが、本作には彼ら以外にも多くのピアニストが登場。その中で特に公生に深く関わる若き演奏家が、相座武士と井川絵見だ。相座はやんちゃな性格の男性だが、作曲者の意図を深く汲み取った堅実な演奏が持ち味のピアニスト。井川絵見は気分屋で好不調の波が大きいが、絶好調時の彼女の演奏は観衆の心を大きく揺さぶる。幼い頃から公生をライバル視してきたふたりは、2年の空白を経てコンクールに戻ってきた彼に対して、それぞれの想いを激しくぶつけていくのだった。
1台のピアノをきっかけに、ダイナミックに変化していく少年の人生を描く、ラマチックな音楽漫画。主人公であるカイこと一ノ瀬海は「森の端」と呼ばれる、社会の掃溜めのような地域で暮らす少年。幼い頃から、森に捨てられたピアノを玩具代わりに弾いてきた彼は、類い希な音楽センスと、しなやかで力強い指使いを身につけていた。そんな彼は、やがてピアニストとして世界に羽ばたいていく。
本作は、主人公である一ノ瀬海の他に数多くのピアニストが登場するが、中でもキーマンとなるのが阿字野壮介と雨宮修平だ。阿字野はかつて、唯一無二の音で音楽界を席巻した天才ピアニスト。しかし、彼は交通事故で左腕を負傷し、演奏家の道を断念。カイが通う小学校の音楽教師となっていた。そこで阿字野は、カイの才能を見出し、彼が世界に羽ばたく手助けをしていく。一方、雨宮は国内屈指のピアニストを父に持ち、自らも同じ道を志す少年だ。転校先でカイと出逢った彼は、カイのずば抜けた才能に衝撃を受ける。やがて雨宮はカイの親友となるが、演奏者としてはカイにコンプレックスを抱いていく。カイの成長だけでなく、阿字野と雨宮の行く末も物語の大きな見所だ。
平凡な音大浪人生の青年と、眩い才能を持つピアニストの少女の奇妙な交流を描く、音楽漫画。菊名和音は、音大ピアノ科合格を目指す浪人生。ある日彼は、偶然出逢った成瀬うたという少女が奏でる音に感銘を受ける。彼女は紛れもなく神童だった。やがて和音は、うたの宿題を手伝う代わりに、彼女からピアノのレッスンを受けるという契約を締結。立場の大きく異なるふたりは、互いの足りない部分を補い合っていく。
成瀬うたは小学生ながら、非凡な才能を持ったピアニスト。彼女の羽毛のように繊細なタッチで奏でられる調べは、音楽に疎い人すら魅了する。ただし、負けん気が強く傍若無人な彼女は、周囲の反発を招きがち。しかも本人は音楽よりも野球の方が大好きで、母親に隠れて少年野球チームのピッチャーとして活躍中有。うたはとにかく型破りな女の子だ。一方の菊名和音は、小6の当時に惚れた相原こずえの影響でピアノを始めた音大浪人生。彼は優れた音感を持つものの、ピアノの腕はイマイチ。優柔不断な彼は、未だに相原に想いを伝えられないまま。本来なら交わるはずの和音とうたは、偶然出逢い、やがて互いに掛け替えのない存在になっていく。独特の味わいのある音楽漫画だ。
不思議な能力を持つ主人公と、才能豊かなピアニストの複雑な恋愛模様を描く、音楽ラブロマンス漫画。主人公の高岡麻衣は、音楽を聴くと演奏者の感情やオーラを視覚的に感じる能力の持ち主。彼女は小学6年生のとき、世界的なピアニストである叔父の家で、神崎奏という2歳年下の少年と出逢う。初めてピアノに触れた奏の演奏を聴いた麻衣は、彼が天性のピアニストだと直感する。
主人公の高岡麻衣自身はピアニストではないが、演奏者のオーラを感じ取る能力を持つ。そんな彼女は少女の頃、偶然出逢った神崎奏の演奏を聴いたとき、天使の羽のようなオーラを感じ取る。奏は瞬く間にピアニストとして成長し、やがてふたりは恋人同士となる。ところがある出来事をきっかけに奏は失踪し、行方不明になってしまった。それから数年後、麻衣は入江弾という男性と親密な関係となっていた。彼は奏とは対照的に、悪魔的なオーラを感じさせる新進気鋭のピアニスト。そんな中、麻衣は街のピアノバーで、奏と瓜二つのオーラを放つピアニストと出会う。彼の名は寒河江蓮太郎。麻衣の心は、弾と蓮太郎の間で揺れ動いていくことになる。
致命的な欠点を抱えたピアニストの少女の成長を描く、青春音楽漫画。主人公の彩坂二葉は極度の上がり症で、人前ではまともに演奏できないピアニスト。運良く白城音楽高校ピアノ科に合格した二葉だが、入学後の成績は散々で、留年の危機を迎えていた。そんな彼女に救いの手を差し伸べたのは、学園のアイドルにして「ピアノの皇帝」と渾名される先輩男子、一ノ宮王輝だった。
主人公の彩坂二葉と一ノ宮王輝は、全くタイプの異なるピアニストだ。二葉は誰よりもピアノが好きで、幼い頃から努力を重ねてきた。しかし彼女は、上がり症のせいで人前では全く実力を発揮できない。方や王輝は、音楽一家に生まれた天才少年。物心付く頃には、彼は自分の意志とは無関係にピアニストになることが決まっていた。若くして国際コンクールで優勝する程の実力を持つものの、王輝自身はピアノを好きとも楽しいとも思っていなかったのだ。そんな彼は、ひとりで居残り練習をしていた二葉の演奏を聴き、それが心からピアノを楽しむ者の音だと実感。かくして二葉に興味を抱いた王輝は、半ば強引に彼女の上がり症克服に力を貸していくこととなる。