魔王にさらわれた姫が人間世界の人々の心配や悲しみをよそに、自らの快眠だけを考える日常を描いたファンタジー系ギャグショートコメディ作品。人々が魔法を使い、魔王が人間界を支配しようとしている時代。「姫を返してほしければ、この世の支配を全て魔の物に引き渡せ」と、地の底から魔王が現れ、カイミーン国のオーロラ・栖夜(すや)・リース・カイミーン姫(スヤリス姫)をさらっていく。国民は姫を心配し嘆き悲しむが、当の本人は魔王城で、何もすることのない退屈な日々を送っていた。2020年テレビアニメ化。
「人々よ顔を上げよ! 姫は必ず私たちが取り返す」。強大な魔王軍に立ち向かうべく、勇者アカツキが立ち上がった。彼は、魔王城への旅の苦しみを憂う国民に「それは些細な事。姫の苦しみに比べたら」と言って旅立つ。一方、さらわれたスヤリス姫は魔王城で丁重に扱われていたが、日々の公務もなく、部屋に囚われているがゆえに「寝る以外、することがない」生活を送っていた。しかし、その眠りさえ、魔王の配下たちに一日中見張られているせいで十分にとれている気がしない。そして姫はあることに気付く。「もしかして、枕が悪いから安眠出来ないのか?」。姫は食事の配膳係のでびあくまから鍵を奪い、枕の材料調達に魔王城内を歩き回る。姫の一時脱走を知った魔王は激怒するも、本人は手製の安眠枕でスヤスヤと眠るのだった。作中ギャグに込められた王道ファンタジーへのオマージュにも注目したい。
クラス委員長の主人公が美しい姿で居眠りする様子を、彼女に憧れている隣の席の男子生徒の目を通じて描いたほのぼの癒し系青春学園ラブコメディ作品。昼休み後の5時間目、春の陽気とほどよい満腹感でクラス全員が睡魔と闘っている最中、一人の女子生徒が凛とした姿で堂々と眠っている。その彼女とは、2年1組のクラス委員長の佐伯。容姿端麗でどこから見ても隙のない完璧女子だが、なんと彼女は日々居眠りすることに全てを賭けている「居眠り女子」だった。
佐伯はクラス全員に悟られることなく、いかに上手に居眠りすることが出来るか日々模索しているのだが、あろうことか試行錯誤しているその姿を隣の席の時宮(ときみや)に見られてしまう。その時、彼女は安眠効果のあるカモミールのアロマを手元に置き、自分の胸の間に定規を差し込んで机の上に立て、消しゴムをその上に置いて自らの顎を支えて居眠りをしていた。偶然、その一部始終を目撃してしまった時宮は「すごい、すごいよ佐伯さん、なんて凛とした惰眠なんだ」と、その日からもう彼女の一挙一動から目が離せなくなる。時宮に居眠りを見られた佐伯は「マラソンで自分が勝ったら、全部忘れてほしい」と頼む。彼女がそこまで言うのは自分の寝顔を見られるのが嫌だから。一見近寄りがたい女子の天然チックな言動に、親近感を覚えつつ心癒される隠れた逸品。
才色兼備のヒロインには、誰にも言えない密かな悩みがあるという本格睡眠系青春学園コメディ作品。高校の全国模試の順位は常に2桁台、誰にでも親切で、周囲から羨望の眼差しを受けている西城ルネ。放課後、クラスメイトからカラオケの誘いを受けるが「明日の予習をしないといけませんので」と優雅に断り、その後ダッシュで自宅へと急行する。実は、ルネには早く帰って質の良い睡眠を取らねばならない、のっぴきならぬ理由があったのだ。
急いで自宅に戻ったルネは部屋でヒーリングミュージックを聴き、目を閉じてゆっくり深呼吸していた。α波を感じて脳の緊張をほぐすためだ。その他にも入浴には気持ちを落ち着かせるラベンダーオイルを使用するなど、ルネは毎夜良質の睡眠を取るために涙ぐましい努力をしていた。自宅に同居する無職の兄はそんなルネに「無理やり好きでもない音楽を聴く方がストレスになるんじゃないか」と核心を突く。しかし、ルネがここまで睡眠にこだわるのには他人には、絶対に話せない理由があったのだ。それは良質な睡眠で成長ホルモンを十分に分泌させ、胸を大きくさせること。自分の胸が小さいことが超コンプレックスなヒロインが、良質な睡眠で豊胸エボリューションを目論む、良質睡眠追求コメディ。
親戚同士でかつ同じ学校の先生と生徒でもある二人の主人公が、恋と睡眠に翻弄される快眠系青春学園ラブストーリー作品。同じアパートでルームシェアしている安城羽奈(あんじょうはな)と親戚の相模貴一(きいち)。しかし、理由があって二人は一緒に暮らしていることを秘密にしていた。貴一はハナに恋愛感情を抱いているが、当のハナはそんな貴一の気持ちを知ってか知らずか「私たち姉弟みたいなものでしょ」と、部屋では平気で下着姿に近い格好をしたりしている。そんな二人の元に宅配便が届く。
Tシャツだけのあられもない姿で宅配の荷物を受け取ろうとするハナを「その格好ではさすがにマズイ」と必死で止める貴一。学校では真面目な先生として評判のハナだが、家に帰ると貴一に頼りっぱなしなのだ。届いた荷物が何なのか尋ねる貴一に「天然ヒノキまくら」と自慢げに答えるハナ。ハナがこれまでに購入した枕は合計6個。なんと彼女の趣味は、いつでもどこでも眠れる快眠法の研究なのだった。自身の快眠法を貴一に教えているうちにすぐに寝入ってしまハナに対し、余りに無防備な様子に貴一は悶々とするが、いつも耐えて毛布を掛けておく。二人の恋の行方を楽しみつつ、今夜から試せる快眠法も要チェックである。
離婚後に不眠に悩まされた主人公が添い寝されることで癒された経験から、不眠の女性向けのシークレットビジネスを立ち上げるリラックス系安眠恋愛ストーリー作品。夫の響(ひびき)と共にアロマハウス「グリーン」を経営していたアロマセラピストの箒木汐(ほうきぎしお)だったが、夫が女と家を出たため、マンションの家賃や店のローン返済等の問題に一人で立ち向かう羽目になる。心痛を抱えたシオは何日も眠れない日々を送っていた。2011年テレビドラマ化。
「私は独りなんだ」。口惜しさと悲しみに打ちひしがれているシオの元に夫の弟である珠蕗涯(たまぶきがい)から「兄貴と連絡がつかないんだけど」との電話が入る。「彼なら女と出て行った」と答えるシオに驚きを隠せないガイ。「あなた、弟なんだから責任とって!」シオは持っていた携帯を放り投げて泣き伏してしまう。翌朝、男性の温かさを感じながら熟睡し、何か月かぶりの満ち足りた朝を迎えたシオの横にはガイが眠っていた。「もしかして…」と慌てたシオだったが、ガイは彼女に添い寝しただけだった。シオはこの経験を元に、眠れない女子のために若い男性に添い寝してもらうことで最高の眠りを提供するビジネスを思いつき、アロマセラピストとしての表稼業の裏で男性スタッフを女性に派遣する「添い寝屋(ストライプ・シープ)」を立ち上げる。因みにタイトルの「シマシマ」とは「平行線」を意味し、クライアントとは決して交わらない(性的サービスをしない)ことを意味する。