ゲーム好きの漫画家が描く、プロゲーマーの実態に迫ったルポ漫画。プロゲーマーとは、本書内では企業とスポンサー契約をして、ゲームをすることで収入を得ている人と定義している。そんなプロゲーマーの世界に興味を持った漫画家・くつきかずや。彼は自身の好奇心を満たすため、プロゲーマーたちにアポを取って突撃取材をすることにした。取材をしていく中で、作者はプロゲーマーたちのゲームに対する姿勢や熱量に魅了され、ついには彼らを追いかけて海外の大会にまで行くことになる。
くつきが子どもの頃、世間では「ストリートファイターⅡ」が爆発的に流行り、家でもゲームセンターでも皆が夢中になっていた。それが現在では、ネットで全世界の人と対戦できるものになり、さらにはその映像を世界に向けて配信できるようになっている。格闘ゲームの動画を観たくつきはプレイヤーの技術に釘付けになり、その後、格闘ゲームにプロがいることを知って衝撃を受けた。ゲームをしてお金を稼いでいるプロゲーマーとはどんな存在なのか。本作では、くつきを通してプロゲーマーのリアルを知ることができる。彼らは1日どれくらいの時間をゲームに費やし、どんな練習をしているのかなど、ゲーム好きが気になる情報がコミカルに詰め込まれた作品だ。
1990年代にヒットした懐かしいゲームとゲーマーたちにスポットを当てたラブコメディ漫画。主人公は小学6年生の少年・矢口ハルオ。彼はゲームが大好きなゲーマーで、毎日ゲームセンターに顔を出している。ある日、いつものようにゲームセンターへ向かったハルオは、クラスメイトの少女・大野晶と遭遇。対戦ゲームで彼女に7連敗してしまう。晶もハルオに負けず劣らずのゲーマーだったのだ。それがきっかけで、ハルオと晶の交流が始まる。2018年7月にテレビアニメ化。
ハルオがハマっているのは、対戦型格闘ゲームブームの火付け役となった大人気ゲーム「ストリートファイターⅡ」。このゲームをとことんやり込んでいたハルオは、自分の実力に自信があった。しかし、晶の登場でその自信は呆気なく砕かれてしまうことになる。晶は、一見ゲームから一番遠い場所にいそうな少女。成績優秀な人気者で、財閥の令嬢という顔も持っている。そんな彼女に、ハルオは「ストⅡ」で惨敗してしまったのだ。その日を境に、ハルオは彼女を敵視するようになる。しかし、どちらもガチのゲーマー。最初はいがみ合っていた2人であったが、ゲームの存在が2人の関係性を少しずつ変えていく。ちりばめられたゲームネタを楽しみながら、ハルオと晶の関係の行方を見届けよう。
ゲームセンターでプライズゲットのために奮闘する少女の姿を描いた、新感覚クレーンゲームコメディ漫画。星峰理宇(ほしみねりう)は、あるゲームのキャラクターを熱烈に推しているオタク女子高生。彼女は推しのグッズを手に入れるため、ゲームセンターのクレーンゲームと戦っていた。そんな理宇のクラスメイトの少女・御友杏奈(みともあんな)は、理宇と一緒に初めてゲームセンターに足を踏み入れる。そこで見た理宇の姿は、学校で見るものとは全く違っていた。
プライズとは、ゲームセンターの景品のこと。昨今では、人気のアニメやゲームのグッズがプライズとして、毎週のようにゲームセンターに登場している。理宇の推しキャラもプライズとして登場し、理宇はそれを手に入れるためにゲームセンターに足を向けた。決まった料金を支払えば手に入れることができるグッズと違い、プライズはゲームをして勝ち取らなければならない。ゲームが上手い人はあっという間に安くプライズをゲットできるが、ゲームが得意でない人は恐ろしい金額をつぎ込む羽目になることもある。しかし苦労する分、プライズがゲットできたときの喜びはひとしおだ。本作では理宇と杏奈を通して、ゲームセンターの厳しさと楽しさに触れることができる。
90年代のSNKゲームの魅力が詰まったラブコメディ漫画。故郷の商店街を訪れた青年・江陶貫敬(えとうやすたか)。かつて彼は、この商店街にあるゲームセンター「LEVER GACHA(レバガチャ)」で青春時代を過ごした。江陶の脳裏に、中学時代の思い出が甦る。1995年5月。江陶は同じクラスの女子・柏芽香織(かしわめかおり)に「放課後に大事な話がある」と声をかけられた。もしかしたら告白かもしれない……ドキドキしながら柏芽のもとに向かった江陶は、彼女から思いも寄らない頼み事をされる。
柏芽に呼び出された江陶は、彼女から「ネオジオのゲームについて教えてほしい」と告げられる。「ネオジオ」とは、日本のゲームメーカーSNKが開発・販売していたゲーム機のこと。実は柏芽の片想いの相手がネオジオとSNKの大ファンで、その人に近づくために柏芽はゲームについて勉強しようとしていたのだ。江陶に声をかけたのは、彼がネオジオに詳しかったから。女子とまともに会話すらしたことがない江陶であったが、柏芽のためにできる限りの協力をすることになる。本作の見所は、江陶と柏芽の交流を通して、1990年代に人気を博した実際のSNKゲームタイトルの魅力に触れられるところだ。当時のゲーマーはもちろん、現在ゲームを楽しんでいる人も楽しむことができるだろう。
時代遅れのゲームセンター「キャラメル」を舞台にした青春群像劇。8年前のことだ。街のゲームセンターからは平台というものがなくなりかけており、それと同時に幼い不良たちも姿を消し始めていた。ただしそれは、地下のゲームセンター「キャラメル」を除いての話だ。主人公の数井は、当時中学生。居場所のなかった数井は、不良たちのパシリとしてキャラメルに入り浸っていた。彼はそこで、バイトをしている女性・アッ子さんに出会い、忘れられない体験をすることになる。
居場所がない寂しい不良たちの溜まり場、ゲームセンター「キャラメル」。そこは誰が何をしようが誰も何も言わない無法地帯になっていた。先輩たちとつるんでいるうちに、キャラメルに出入りしなければならなくなった数井。そこで彼はバイトのアッ子さんと出会い恋に落ちるが、突然の別れによってその恋は終わりを告げる。それから時は流れて8年後。数井は中学生じゃなくなり、当然パシリでもなくなった。そうであるはずなのに、8年間忘れられなかったアッ子さんとの再会をきっかけに、数井の心は中学生の頃に戻ってしまう。思春期の傷を抱えたまま大人になった数井は、アッ子さんとの再会を経てどのように成長していくのか。読者の心を揺さぶる描写が多い作品だ。