『累-かさね-』2018年9月、実写映画化!290 Pt.

演劇漫画の代名詞的な大作から異色作まで、演劇に関連した作品に注目!

作成日時:2018-08-23 10:00 執筆者:マンガペディア公式

『累-かさね-』2018年9月、実写映画化!

出典:講談社

ユニークな設定と、サスペンスフルな展開で人気を集める演劇漫画『累-かさね-』。本作を元にした実写映画が2018年9月7日に公開。そこで今回は、『累-かさね-』を含めた、演劇に関連する漫画をピックアップして紹介しよう。


伝説の女優と称えられ、夭折した美しい母。だが、娘の累は母とは似ても似つかぬ醜い少女だった。美しかった母が累に残した紅い口紅。それは、キスした相手と自分の顔を入れ替えるという不思議な力を持っていた。顔は醜いものの母譲りの卓越した演技力を備えていた累は、この口紅の力を借り、母と同じ女優の道を歩む決意を固める。

この作品で特筆すべきは、その情念の深さだ。舞台で演じることを夢見ながらも、醜い顔のせいでスポットを浴びることは叶わない。だがそれ故に、累の目には舞台がより眩しく映り、彼女の想いは狂おしいほどに募っていく。そんな累の前に現れたのは、誰もが目を止める容姿を持ちながら、並以下の演技力しか持たない女優・丹沢ニナ。累とは異なるものの、ニナもまた、どんなことをしても女優として成功したい理由を抱えていた。利害が一致した二人は、女優とそのマネージャーという形でコンビを組み、完璧な女優「丹沢ニナ」を創り上げる。しかしその関係は、徐々に破綻していくこととなる。興味深い設定と、背筋が寒くなるようなサスペンスフルな展開で、見るものをグイグイと惹きつける演劇漫画だ。


伝説的な大女優・月影千草が演じ、一世を風靡した舞台演劇「紅天女」。その上演権を巡る、月影と大手芸能プロダクション「大都芸能」の争いを背景に、一見すると平凡な少女ながら、演劇に関する天賦の才を秘めた主人公・北島マヤの成長を描く一大巨編。1984年4月からテレビアニメが放送されたほか、OVA、舞台演劇、テレビドラマシリーズなど、多数のメディアで展開されている。

本作はもはや、演劇漫画を語る上で避けて通ることの出来ない大作だ。連載期間は40年以上。母と娘はおろか、祖母・母・娘と三代に渡って読んでいる家族がいてもおかしくない。作者によると、「ラストはすでに20年以上前から、最終ページの構図まで決まっている」とのことだが、その”ラスト”がもっとも待望されている作品といっても過言ではない。本作を元にした舞台が多数上演されるなど、現実の演劇界に与えた影響も絶大。月影千草が北島マヤの演技を観て口にした名ゼリフ「おそろしい子!」は、本作を読んだことのない人々にまで浸透している。2017年には、連載40周年を記念して「ガラスの仮面展」が開催された。


主人公の七色いんこは、老若男女どんな姿にもなれる卓越した変装技術と、優れた演技力を併せ持つ代役専門の役者だ。出演料はとらないが、上演中に劇場で何が起ろうとも目を瞑ることが、舞台に上がる条件。実は彼の裏の顔は泥棒で、舞台に上がる傍ら、観客たちの金品を盗んでいるのだ。鮮やかな演技で観客を魅了しつつ、その懐から掠め取る。怪盗役者の活躍を描く異色の演劇漫画。

作者の手塚治虫は漫画家になる以前、大阪の劇団に3年ほど所属しており、実際に舞台に立っている。そんな根っからの芝居好きな作者の、経験と想いが詰まった演劇漫画だ。作中には、『ハムレット』『人形の家』『ゴドーを待ちながら』『棒になった男』など、古今東西の名作が数多く登場。初心者が演劇の世界に親しむための入口としても、好適な作品と言えるだろう。こうした演劇の要素だけでなく、泥棒である主人公と、それを追いかける女性刑事・千里万里子の関係も見逃せない。泥棒ではあるものの多分に義賊的な側面を持ついんこに、万里子は徐々に心を奪われていく。そんな二人の関係は、物語を意外な方向へ導いていくこととなる。


何十年かに一度、真っ青な月の光が地上に届くとき、「おとぎばなし」の世界に捻れが生じる。捻れた「おとぎばなし」世界の住人たちは、現実世界に現れてさまざまな悪さを行う。その捩れを正す役割を担う鉢かづき姫と、ふとした偶然から彼女を使役する「執行者」となってしまった高校生・岩崎月光の活躍を描いたファンタジックなストーリー。

本作がメインに扱っているのは、演劇ではなくお伽噺。『一寸法師』『シンデレラ』『赤ずきん』『長靴をはいた猫』など、洋の東西を問わず、多彩なお伽噺や童話が登場する。こういった作品の中には、演劇になっているものもある。ただし、今回ピックアップした理由はそれだけではない。本作のヒロインが「演劇部」と呼ばれているのだ。あだ名が「演劇部」というだけでなく、高校でも演劇部に所属。面白いのは、他の演劇部員からも「演劇部」というあだ名で呼ばれている点。何故か彼女の本名は一切語られないまま、物語は進行していく。実は、「演劇部」の正体がストーリーの重要なカギとなっているのだ。


『BEASTARS』

出典:秋田書店

物語の舞台は、動物が人間のように暮らすユニークな世界。中高一貫で全寮制のエリート校「チュリートン学園」で学ぶ、さまざまな動物たちを描いた青春群像劇。物語は、草食獣の生徒が「食殺事件」に遭うという、ショッキングな出来事から幕を開ける。犯人は肉食獣の生徒である可能性が高い。生徒たちが疑心暗鬼に陥る中、演劇部に所属する主人公・ハイイロオカミ・レゴシを中心に物語は進んでいく。第11回マンガ大賞受賞作。

事件の被害者と主人公が演劇部員ということもあり、ストーリーは演劇部の面々を中心に展開していく。その意味では、演劇に関連する漫画という要素は、十分満たしていると言えるだろう。ただし、本作の面白さは演劇そのものよりも、多種多様な種族が共に暮らす、学園内の動物模様にある。主人公のレゴシは、ハイイロオカミとしての本能に抗いながら穏やかな生活を望む、繊細で心優しい少年。そんな彼の心は、ドワーフウサギの少女・ハルとの出会いをきっかけに、徐々に変化していく。レゴシが抱いた想いは恋愛感情なのか、それとも肉食獣としての狩猟本能なのか。物語は彼の葛藤を始め、種族が異なる故におこる対立や、種族を乗り越えて築かれる友情や愛情を丁寧に描いていく。それはまるで、現実の人間社会での関係を、よりドラスティックな形で浮き彫りにしているかのようだ。


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