鉄道が大好きな、いわゆる「鉄子(テツコ)」の3姉妹が、10年前に蒸発した父親を捜して鉄道で旅をしていく鉄道トラベルホームドラマ。福音寺美章(ふくおんじびしょう)、美唄(びばい)、備後(ビンゴ)の3姉妹は、母の死をきっかけに父親の国鐵(くにてつ)が蒸発したことで、それぞれ別の親戚の家に預けられて成長した。10年の歳月が流れ、突然父親から「あいたい」という手紙とともに、大分行きの寝台特急「富士」の切符が送られてくる。分野の違う鉄道オタクに育った福音寺3姉妹は、父親に会うため、東京駅から寝台特急富士・はやぶさに乗り込むのだった。
鉄道が大好きな女性を、「鉄子」と称している。福音寺3姉妹の父、国鐵は全ての路線を制覇する「完乗」を成し遂げた伝説の鉄道オタク。鉄道オタクの娘たちなので、福音寺3姉妹は「鉄娘(てつこ)」なのだ。彼女たち自身もかなりの鉄道オタクだが、長女の美章は撮りテツ、次女の美唄は乗りテツで時刻表マニア、三女のビンゴは模型制作が大好きな模型テツと、同じ鉄道オタクでも好きなジャンルが違うのだ。父親を探す旅のプランは、時刻表を丸暗記している美唄が主に担当しており、適材適所な活躍を見せてくれる。遠方の親戚に預けられていたため、姉妹は10年もの間顔を合わせることがなかった。しかし、鉄道という共通の趣味を持っているおかげで、時間のブランクを感じさせない親密さがある。美唄が言うように、鉄道によって姉妹はずっとつながっていて、今回の旅によって再び連結したのだろう。美章による鉄道写真とあわせ3姉妹の思い出が増える光景が微笑ましい。
小さなカフェバーを舞台に、月イチで集まって定例会を開く3姉妹を描いた女子会コメディ。都内の裏通りにひっそりとたたずむカフェバー「KASHIMASHI」。雇われ店長兼バーテンの男と店員の女性が切り盛りする小さなカフェバーには、定期的にやってくる客がいた。花時丸(がじまる)3姉妹は月に1回、定例会と称してこの店に集まっている。その日も次女の真昼(まひる)を皮切りに、長女の朝香(あさか)、三女の小夜子(さよこ)が次々と来店した。その日、小夜子が持ち込んだ呪いの仮面をつけて外れなくなってしまった真昼は、幼い頃におかした罪を一つ、告白することになる。
女性同士の付き合いは、気安くなればなるほど遠慮がなくなったりするものだ。姉妹は家族とはいえ、同性同士の付き合いになる。花時丸3姉妹を見ていると、前述のような関係性を感じることができるだろう。取り繕う必要のない相手だからこそ、それぞれ適度に力が抜けていて、素の部分が強く出ているのがわかる。姉妹のキャラクターにも、ザ・姉妹というような特徴が出ているのが面白い。長女の朝香は姉妹のまとめ役で、きっちりとした真面目な性格。真昼の煙草を窘めたり、小夜子の早食いを注意したりと、長女らしい世話焼き気質が見られる。次女の真昼は愛想がよく、少々派手。頑固な一面と要領のよさを併せ持っている。三女の小夜子は、風変わりでマイペース。世話を焼かれ慣れているためか、姉が自分に甘いのを熟知している。性格も趣味嗜好も違う姉妹だが、会話のテンポや間に、一緒に生活してきた時間が感じられる。月1回は必ず顔を合わせるのだから、仲のよい姉妹といえるだろう。
間違い電話をかけた結果、願いを叶えてもらうことになった主人公と、天上から遣わされた女神との同居生活を描く恋愛ファンタジー。猫実(ねこみ)工業大学に通う森里螢一(もりさとけいいち)は、ある日同じ寮に住む先輩に留守番を命じられる。留守番ついでに頼まれていた電話をかけたところ、間違えて「お助け女神事務所」に通じてしまう。電話を切ろうとしたとき、鏡の中から美しい女性が現れた。女神だと名乗る女性に、願いを何でも一つだけ叶えるといわれた螢一は「君のような女神にずっとそばにいてほしい」と口にする。1993年にOVA化、2000年にはアニメ映画化。
鏡の中から突然やってきた女性、ベルダンディーは女神である。低身長がコンプレックスの螢一より身長は若干高く、エキゾチックな衣装が似合う美貌の持ち主だ。彼女は北欧神話に登場する運命の女神、ノルンに由来している。ノルンは各所で様々な描かれ方をしているが、3姉妹の女神であり、ベルダンディーは次女である。物語が進むと螢一の元にベルダンディーの姉妹もやってくるのだが、清楚で正統派なベルダンディーとは少々様子が異なる。長女のウルドは、浅黒い肌が特徴のゴージャスな美女だ。享楽的な性格でお酒が大好き。三女のスクルドは、黒髪の美少女。末っ子であるせいかわがままで泣き虫なところがあり、特にベルダンディーを慕っている。性格的に合わないところがあったり、スクルドがウルドのことをあまり好いていないせいか、穏やかな気質のベルダンディーが間に入ることも多く、人の願いを叶えてくれる女神にも拗れた姉妹関係が存在するのだなと親近感を抱かせる。
日本一似ていない三つ子である3姉妹と、姉妹を取り巻く人々の日常を描いたギャグ漫画。埼玉県上尾市立鴨橋(かもはし)小学校6年3組には三つ子の姉妹が在籍している。女王様気質でおませな長女、丸井みつば。明るく元気で怪力の持ち主である次女ふたば。クールで不思議な三女ひとは。性格も趣味も、容姿さえも似ていない「日本一似ていない三つ子」姉妹は、日々学校でトラブルばかり起こしていた。新任教師、矢部の赴任を歓迎してレクリエーションを始めた6年3組だったが、何故かバトルに発展するトラブルが起きてしまう。2010年、2011年にテレビアニメ化。
子どもは元気で落ち着きがないものだが、この丸井3姉妹は群を抜いている。次女のふたばは特に元気な体育会系。運動神経抜群で常に裸足、頭頂部でまとめたちょんまげ風の髪がトレードマークで、道着風の上着を着用することも多い。長女のみつばは唯我独尊で女王様気質。クラスメイトを椅子扱いすることもあるが、実はドジな一面もあり、お人よしであったりする。意見がはっきりしている上の2人とは対照的に、三女のひとはは、クールで人との交流をあまり好まない少女である。ふたばと比べると、笑顔のシーンが極端に少ないことがわかるだろう。呪いに精通しており、怒らせるといろんな意味で恐ろしい。日本一似ていない三つ子の異名を持つ丸井3姉妹だが、個性が振り切れすぎていてその看板に偽りはない。ただ自分たちの知らないことには興味津々で、トラブルメーカーというところが姉妹の共通点だろう。
行方不明になった父親の手掛かりを探すために怪盗をしている3姉妹の活躍と、怪盗を追う刑事との恋を描いたアクションラブミステリー。巷では怪盗「キャッツアイ」が出没し、美術品を盗み出す事件が頻発していた。犬鳴警察署に勤務する刑事、内海俊夫(うつみとしお)は狙われた美術品の警備を担当するが、怪盗を取り逃がしてしまう。失意のまま恋人の瞳たち3姉妹が営む喫茶店にやってきた俊夫。だがなんと、怪盗の正体はその3姉妹だった。俊夫はそうとは知らず、次のターゲットになった宝石の情報を明かしてしまう。テレビアニメをはじめ、メディアミックス多数。
3姉妹の登場する作品と言えば、やはり本作は外せない。怪盗をするときに着用するレオタード姿は、あまりに有名である。長女の泪(るい)はグラマラスな美女。冷静沈着で妖艶な大人の女性で、左顎にあるほくろがセクシーだ。次女の瞳は、ロングの黒髪が美しい快活な美女である。運動神経抜群で、実際に盗みを行うのは瞳の担当だ。三女の愛は、ショートカットでボーイッシュな美少女。機械に強く、ターゲットに対する審美眼も持っている。彼女たちには、失踪した父親を捜すという共通目的があり、そのために怪盗をしている。姉妹は一蓮托生で、誰かが捕まれば他の2人も逃れることはできない。瞳は刑事の俊夫と交際しているが、正体がバレる可能性を伴う危険な行為だ。俊夫と瞳は高校生の頃からの付き合いで、姉妹も面識があるにしろ、誰も二人の関係を反対しないというのは、瞳の幸せを犠牲にしないという意思の表れではないだろうか。泪と愛の瞳を見守る視線には、姉妹ゆえの信頼と愛情が見え隠れしている。