新作も好調! 「藤島康介」のマンガ作品328 Pt.

「藤島康介」先生の作品には、女の子とメカで構成されている作品が多く感じる。大冒険や、サスペンスではなく、日常の中のふとしたシーンを切り取った物語に仕上がっている。なればこそ読むたびに、ポラロイド写真のようにじんわりと風景が浮かび、心にしみる作品となっている。

山の上にある「橘花学園第一寮」で生活する「小鳥遊初音」と高校入学と共に寮の一員となった「三沢寿々花」の日常を描く作品。本作品は表題にパラダイスと冠するだけあって、登場人物は物の見事に女子生徒ばかりである。
主人公の「小鳥遊初音」はプリンが大好きで納豆が大の苦手な、ごく普通の高校生なのだが、彼女を中心に女子寮の様々な面々がその本性を露にして行く。本編より、象徴となる台詞を抜粋しよう。「女子高生でも汗臭いもんは臭いんだー」。絶叫である。また、作者の他作品にない特徴としては若干ではあるが肌の露出が多い点であろう。作風ゆえに健全さが目立つが割りと気軽に脱いでいる。

「猫実市」にある「猫実工業大学」に通う「森里螢一」が、大学の先輩に頼まれた電話を掛けようとしたところ、間違えて「お助け女神事務所」に電話を掛けてしまった。その直後、鏡の中から女神を名乗る美女「ベルダンディー」が現われた。「ベルダンディー」は「螢一」にどんな願いでも1つだけ叶えてくれると言う。そのとき、「螢一」が「君のような女神にずっとそばにいてほしい」と願い、それが受理されたことにより、人間界のみならず天界や魔界をも巡る物語が始まる。
基本的には「螢一」と「ベルダンディー」を中心に据えたラブコメディだが、SF要素やホラー要素、モータースポーツ要素など様々な要素を含んだ日常を描く。本作においても作者のメカ好きが存分に発揮されており、後の『トップウGP』に繋がるであろうレース的な展開も多々見受けられた。人間である「螢一」が女神である「ベルダンディー」に恋をし、その果てには何があるのか? という現実を突き付けられる「螢一」の回答が本作の全てを物語っている。

「警視庁墨東署」に勤務する「辻本夏実」と「小早川美幸」の女性警察官コンビの活躍を描くコメデイ作品。作者の名を一躍世に広めた代表作である。
大飯喰らいで怪力を持つ「夏実」と、車全般が大好きでメカに通じる「美幸」が日夜、地域の平和を守るために奮闘する。また、情報通の「二階堂頼子」、女装にハマってしまった男性警官の「葵双葉」、「墨東の白き鷹」の異名を持つ「中嶋剣」など、サブキャラクターも個性的である。
「ロマンティック系ポリスコメディ」というコンセプトで企画されたらしいが、警察署に内部の様子、人間関係、メカニックなどがリアルに描かれており、荒唐無稽な印象は受けない。国内外からの根強い人気があり、アニメ化、アニメ映画化、実写映画化と様々な媒体で映像化されている。