実験動物と人間たちの攻防を描いたアニマル・パニックホラー。主人公・神宮マサトは無類の動物好きな16歳の少年だ。7年ぶりに地元の不二地区に戻ってきたマサトは、馴染みの「不二サファリワールド」を訪れる。子供の頃に遊んだ飼育員の中田や象のハナヨと再会し、喜ぶマサトだったが他の動物たちの様子に違和感を覚える。翌日、幼馴染みの翠川(みどりかわ)ヒトミと共に再び動物園を訪れたマサトは、顔が人面となった動物たちが人々を襲う驚愕の光景を目のあたりにする。
「ジンメン」と名乗るその動物たちは、人間の顔を持つことで知能を持ち、次々と人間を虐殺していく。ジンメンたちの長である「ぶたえんちょー」は動物王国の建国を宣言し、人類との闘いの火ぶたが切られたのであった。ジンメンがなぜ生まれたか、なぜ人間を襲うのか。すべての原因は人間の身勝手な動物実験にあったことが明かされる。また中田をはじめとした動物園の飼育員たちは動物化し、ジンメンと闘う特殊能力を持つ「ジュウメン」として被験者となっていた。ジンメンの勢力が拡大する中でマサトの出生の秘密が明かされ、人類滅亡の危機を救うべく立ち上がるマサトの行動には胸を打たれる。檻の中で愛玩されるだけの存在である動物たちの叫びと、人間のエゴについて考えさせられる作品だ。
動物園で「働く」動物たちにスポットを当てたアニマル・オフィスストーリー。上野原動物園のペンギンである主人公・ギンペーは、中途採用で動物園にやってきた。ペンギンショーで全員の動きが揃わないことを危惧したギンペーは、「毎日リハーサルしよう」と提案するが、他のペンギンたちは取りつく島もない。実は、動物たちはサラリーマンのように動物園に出勤をして、客を楽しませる「仕事」に徹していたのだ。1996年にテレビアニメ化。
4時半の閉園時間になると、動物たちは秘密の地下鉄に乗り秘密の町へ帰っていく。人間と同じく動物たちもまた、サラリーマンのように勤務する会社員なのである。ギンペーは変な関西弁を操る個性的なペンギンだが仕事に熱く、客のためにマフラーをつけて出ようとして飼育員に止められるなど、サービス精神も旺盛だ。やる気が空回りするギンペーに寄り添う弟分のサンペーと酒を酌み交わしたり、アイドル的存在のミントに恋をするもサンペーとカップルになってしまい落ち込むなど、人間くさいギンペーに親しみをおぼえる。ペンギンだけでなく、トラの寅二やライオンのリヒャルト、おしゃれ好きなキリンのフラジーなど超個性的なキャラクターとの掛け合いも面白い。
動物園の新人飼育員がさまざまなトラブルを乗り越えながら成長する物語。主人公・宮本晴子(はるこ)は動物好きが高じて「ひだまり動物園」の飼育員に応募し、採用される。晴子には、動物のニオイを嗅いだだけで気持ちがわかるという不思議な力があった。先輩の吉野友紀(ともき)やベテランの柳田大次郎の指導を受け、初日から動物のニオイにテンションが上がる晴子だったが、先輩の大橋由香から敵意を向けられるなど前途多難だ。 そんな中、晴子の行動がきっかけで事件が起こる。
晴子は特殊能力があるだけでなく、動物への愛情も人一倍だ。晴子は、ベテランの大次郎がギックリ腰で休んでいるためライオンの「キバ」が寂しがっていると感じる。前園長の息子で動物嫌いの現園長・藤本洋介へ何とかならないかと直談判をしている最中に、晴子の施錠ミスでキバが檻から逃走してしまった。自分のせいでキバが殺されるかもしれないと思った晴子は、機転をきかせキバを救うもクビ寸前まで追い詰められてしまう。どの職場でも失敗続きで人間関係を築けず、動物園が最後の砦だった晴子。名誉を挽回すべくさまざまな動物の心の声を聞き、由香や友紀の信頼を勝ち得ながら、一人前の飼育員として成長していく姿が微笑ましい。
「天下一の動物園」を作るべく、新人飼育員とウサギ頭の園長が奮闘する物語。女子高校生・蒼井華(あおいはな)は、学校では失敗ばかりで自信が持てず、さえない毎日を送っていた。そんな自分を変えるべく、華は「逢摩ヶ刻動物園」の飼育員のアルバイトに応募する。園内でウサギ頭の男に出会った華は、驚きの余りアルバイトを辞退しようとするも却下される。実はウサギ頭の男こそが、夕方になると「逢魔ヶ刻動物園」へと変貌を遂げる謎の動物園の園長・椎名(シイナ)であった。
椎名は元々普通の人間だったが、少年の頃に化物ウサギの呪いを受け、ウサギ頭に姿を変えられてしまった。元の姿に戻るためには「天下一の動物園」を作ることが必要だと知り、仲間となる動物たちを自ら集め、逢魔ヶ刻動物園を開園したのだ。椎名の力により午後4時44分の閉園時間(逢魔ヶ刻) になると、動物たちは人間の言葉を話し人間のような姿に変貌する。最初は戸惑うばかりの華だったが、過酷な研修を投げ出すことなく動物への知識や愛情も深いことから椎名に認められ、飼育員として働くことを決意する。 動物園を乗っ取ろうと企む「丑三ッ時水族館」や、クマの呪いを受けた志久万(シクマ)が総支配人の「ヤツドキサーカス」とのバトルも見どころだ。
北の大地の小さな動物園を舞台にした、新人飼育員の奮闘記。主人公・加瀬タカトシは学生時代、元野球部員だったが、とある事件がきっかけで野球はおろかどんな仕事も長続きしなくなっていた。しかし、野球好きの動物園園長・星野哲生(てつお)の粋なはからいで、タカトシは札幌にある「ノースパークサッポロ」という小さな動物園の飼育員に採用される。さっそく「フクロウの森」に配属されたタカトシだが実は大の鳥嫌いで、園内を仕切る凄腕飼育員・月島葵とボス格のフクロウ「ベンジー」に目をつけられる。
タカトシは初日から鳥に怯え大声を出してしまい、葵から激しく叱責される。野球のトラウマから逃げグセがついていたタカトシは星野に泣きつき、動物たちの食事を作る「バス」へ異動が叶うも、そこでもまたヒヨコを捌かなければならないという試練に立ち向かうことができず逃げ出してしまう。他の飼育員だけでなく、ベンジーをはじめとした動物たちにさえ見下され、タカトシは「生物として一番下」の烙印を押されてしまう。タカトシは変わることができるのか、「皆が家族(ファミリー)」というノースパークサッポロの一員になれるのか、葛藤と奮闘に胸が熱くなる。なお、ノースパークサッポロは実在する札幌の動物園をモデルにしており、その差異を楽しむのも一興だ。