高校の新設野球部に集まった少年たちが、一丸となって甲子園優勝を目指す、本格野球漫画。投げることが好きな三橋廉(みはしれん)は、祖父の経営する中学校に通い、野球部ではエースピッチャーとして試合に登板していた。しかしチームメイトからは「エースでいられたのは贔屓によるもの」と言われ続け、すっかり自信を失くしていた。中学卒業後、埼玉県にある西浦高校に進学し、野球から離れるつもりだったが、野球への未練を捨てきれずにグランドに足を運んでしまう。そこで若い女性監督・百枝(ももえ)まりあに捕まり、なぜか三橋は再び投手としてマウンドに立つことになる。2007年4月にテレビアニメ化。
西浦高校野球部は発足したばかりの部で、部員は10人。全員高校1年生である。三橋は、頭脳派捕手の阿部隆也とバッテリーを組み、仲間たちと共に甲子園優勝を目指すことになる。本作の魅力は、暗くて卑屈というスポーツ漫画の主人公とは思えない性格の持ち主である三橋と、その仲間たちが野球を通して絆を紡ぎ、成長していく姿にある。そして、登場人物たちの細かな心理描写にある。また、リアリティのある野球描写も見所の1つ。野球はただ球を投げて打っているわけではない。選手たちは試合の流れを見て常に次はどうするかを考え、相手との駆け引きや心理戦を展開している。キャラクターたちの活躍を通して、野球の奥深さと高校球児たちの等身大の想いに触れることができる。
高校球児たちが自らの誇りを懸けて野球に打ち込む姿を描いた、王道の高校野球漫画。地元・長野の高校に進学し、仲間たちと野球を続けるつもりだった、主人公の沢村栄純(えいじゅん)。彼は東京地区の名門・青道高校からスカウトを受け、見学の場で天才捕手・御幸一也(みゆきかずや)と出会う。その出会いが、沢村の運命を変えた。沢村は地元の仲間たちに背を押され、青道高校に進学。熾烈なレギュラー争いが繰り広げられる野球部で、エースとなるべく奮闘する。2013年10月にテレビアニメ化された。
沢村たちが目指すのは、甲子園優勝。そのためには、他校との試合に勝ち続けなくてはいけない。しかし名門野球部に所属する球児たちが戦うのは、他校のチームだけではない。まずは熾烈なレギュラー争いを勝ち抜かなければ、試合に出ることすらできないのだ。そしてレギュラーの中で、エースナンバーである背番号「1」をもらえるのは、たった1人。沢村は同じ1年生の降谷暁(ふるやさとる)と、エースの座を巡ってチーム内で競い合うことになる。2人が競い合いながらも互いを認め合い、それぞれ異なる成長をしてチームに影響を与えていく様子は必見。沢村と降谷以外の青道メンバーや他校の球児たちもそれぞれが誰かとぶつかり合い、認め合い、その絆の1つ1つが熱い試合へと繋がっていく。
元PL学園野球部員の作者が描く、超絶リアル野球漫画。主人公は、DL学園に入学したばかりの少年・狩野笑太郎(かのうしょうたろう)。中学時代に日本代表の主将として世界大会に出場し優勝を経験した彼は、憧れのDL学園に特待Sで進学した。これからの学園生活・野球生活に胸を膨らませる笑太郎。しかしDL学園には「厳しい体罰で選手を潰す」という悪い噂が流れていた。野球以外の問題に直面しながらも、笑太郎たちDL学園野球部の面々は練習と試合の日々を過ごしていく。
甲子園通算96勝、優勝7回。多くのプロ野球選手を輩出した高校野球界の超一流ブランド、DL学園。笑太郎は中学1年の夏、DL学園の試合を見て熱狂的なDLオタクになった。DL学園に入るため必死に練習し、中学野球で結果を残し、ようやくDL学園へ入学したのだ。しかし、多くの野球少年が憧れるDL学園の栄光の裏には、理不尽なほど厳しい上下関係と容赦のない体罰の歴史があった。昔はそれで良かったかもしれないが、昨今の世間は暴力に厳しく、またここ10年DL学園は全国制覇から遠ざかっている。DL野球部は指導法・練習法の改革を目指すが、その厳しさで成長してきた選手たちからは反発の声が上がった。試合だけじゃない、部活のあり方にもスポットを当てた作品だ。
超弱小野球チームの成長と活躍を描いた、高校野球漫画。主人公の北大路輝太郎は、野球のセンスに恵まれた、中学を卒業したばかりの少年。そんな彼には当然、複数の野球強豪校から誘いがかかっていた。しかし輝太郎はその誘いをことごとく蹴ってしまった。そうして進学したのは、部員はギリギリ、グラウンドすらない弱小野球部がある都立あおい坂高校。彼がこの学校に進学したのは、従姉である菅原鈴緒との大切な約束を守るためだった。
始まりは、輝太郎が9歳の頃。野球仲間たちと共に、野球を教えてくれた従姉の鈴緒の高校が出場している野球の大会を見に行ったときのことだ。自分の学校が負け、甲子園出場の夢が絶たれた瞬間、鈴緒は泣いた。そんな鈴緒を見て、輝太郎は彼女に誓ったのだ。自分が鈴緒を甲子園に連れていくと。その誓いを果たすため、輝太郎は鈴緒が監督を務める野球部がある、都立あおい坂高校に進学した。誓いを覚えていたのは、輝太郎だけではない。当時一緒に野球をしていた仲間たちは皆その誓いを覚えており、鈴緒を甲子園に連れていくため、都立あおい坂高校で再集結した。彼らは本当に鈴緒を甲子園に連れていくことができるのか。少年たちの熱き挑戦の結末を見届けよう。
野球ド素人の主人公が数々の騒動を巻き起こしながら甲子園出場を目指す、スポ根野球ギャグ漫画。舞台となるのは、伝説のスラッガー・村中紀洋を輩出したかつての野球名門校・埼玉県立十二支高校。しかし現在、十二支高校は甲子園に出場すらできないほど弱くなっている。そんな十二支高校に、野球経験ゼロの少年・猿野天国(あまくに)が入学してきた。彼は野球部の女子マネージャーに一目惚れし、彼女の近くにいたいという不純な動機で野球部への入部を試みる。
女の子が大好きだが非モテで、彼女いない歴15年の少年・猿野天国。野球部のマネージャーである鳥居凪に一目惚れした彼は、凪に近づきたいがために全く経験のない野球を始めることになった。天国の目標は、凪を甲子園に連れていくことだ。しかし十二支高校野球部は、今は落ちぶれてしまったとはいえ、かつては伝説のスラッガーが在籍していたという元強豪。甲子園に行くどころか、入部してレギュラーの座を掴み取ることすら難しい。なんとか野球部に入部した天国は、破天荒な言動で数々のトラブルを起こしながらも野球選手として成長し、やがてチームにとって必要不可欠な存在になっていく。冴え渡るギャグパートと、ありえない技が満載の野球パートのバランスが秀逸な作品だ。