5歳の少女・よつばととーちゃんの2人暮らしの様子を描いた、ホームコメディ漫画。主人公の小岩井よつばは、元気いっぱいでちょっぴり変わったところのある5歳の女の子。世間では夏休みの前日、よつばは「とーちゃん」こと小岩井葉介とともに、ある町に引っ越してきた。好奇心旺盛なよつばは、初めて見る色んなものに興味を持ち、1日1日を全力で楽しみながら、町で出会う人々と交流を重ねていく。大きな事件などない何気ない日常の中で、よつばは少しずつ成長していく。
本作は、主人公・よつばの日常と成長を描いた作品だ。元々、子どもは大人の想像を超える突飛な行動を取るものだが、よつばは特に意外性の塊で、思いも寄らない言動で周囲を驚かせる。そんなよつばの個性を尊重しのびのびと育てているのが「とーちゃん」こと葉介である。実は、葉介とよつばは血が繋がっていない。葉介は独身男性で、世界各地を旅していた際によつばを拾ったそうなのだ。しかし、血が繋がっていなくても2人の在り方は仲の良い親子そのもの。細かいことは置いておいて、ただよつばと葉介の心温まるやり取りを堪能すればいい。読者を一気に引き込むような息を呑む展開はないが、よつばの子どもらしい仕草や、懐かしさを感じる日常風景が癖になる作品だ。
高校生の娘を持つ「心配症」な中年サラリーマンが、周囲を巻き込んで様々な騒動を巻き起こす様を描いたギャグ漫画。早くに妻を亡くした佐々木光太郎。彼は男手ひとつで娘・典子(のりこ)を育ててきた。そのせいか、娘に対して異常なほど過保護。典子はボーイフレンドである北野と健全なお付き合いをしているのだが、心配症な光太郎からその関係を度々邪魔されてしまう。光太郎の心配症は、治まるどころか徐々にエスカレートしていく。1994年4月にテレビドラマ化。
父・光太郎の異常な心配症に、典子は辟易していた。幼い頃はただただ優しかった父が、どうしてこんなに激しい心配症になってしまったのか。父への不満が爆発して大喧嘩をしたある日、典子は母の遺影に話しかける父の言葉から、父の想いを知る。成長するにつれて、典子は光太郎に色んなことを話すのをやめてしまった。結果、娘の気持ちがわからなくなった光太郎は不安になり、つい過干渉になってしまったようなのだ。典子は自身の行いを反省し、今後はもっと父と話し合おうと決意する。そんな典子に光太郎も態度を軟化させたのだが、それも一瞬のこと。やっぱり光太郎は心配症のままだった。予想以上の暴走っぷりを披露する光太郎の姿から最後まで目が離せない。
母親の再婚相手であるユニコーンお父さんと高校生の息子が少しずつ絆を結んでいく様子を描いた、ハートフル日常コメディ。宇野一星(いっせい)は16歳の男子高校生。ある日、母親が衝撃の再婚相手を連れてきた。その再婚相手とは、伝説の生物・ユニコーン。本来は翼と角が生えた馬のような姿をしているが、人形(ひとがた)になることもできる。一星は出張に出かけてしまった母が帰ってくるまでの間、マサルと名付けられたユニコーンの父親とひとつ屋根の下、2人だけで生活していくことになる。
一星の母が連れてきた再婚相手のプラスケット・オシリス・マサルはユニコーン。ちなみに正確にはユニコーンとペガサスのハイブリットで、名前は母がつけた。母はマサルを紹介するとすぐに出張へ出かけてしまい、一星は出会ったばかりの不思議生物と2人きりの生活を始めることになる。人間とユニコーンは見た目はもちろん生態も全く違う。食べるものからして異なるのだから、一緒に暮らしていくのは無理だと一星は思った。しかし前向きなマサルは立派な主夫になることを誓い、毎日斜め上の努力を続けていく。種族の違いによる生活のギャップが巻き起こすちょっとしたハプニングの数々と、その1つ1つにツッコミを入れつつ、何だかんだでマサルのことを見守ってしまう一星の姿は微笑ましい。
福岡を舞台に、主人公の荒岩一味(あらいわかずみ)を筆頭としたキャラクターたちが日常の中で様々な料理を作る様子を描いた、ほのぼのグルメ漫画。主人公の一味は、福岡で暮らしているサラリーマン。体が大きくちょっぴり怖そうな見た目だが、家族を大切にする優しき父だ。彼は大の料理好きで、ありとあらゆるジャンル・国籍の料理を作ることができる。一味は家事が苦手な妻に代わって毎日様々な料理を作り、妻と子どもたちを笑顔にしていく。1992年4月にテレビアニメ化された。
平成以前には「男子厨房に入らず」という考え方が一般的だった。本作は、そんな時代に始まった当時としては珍しい「お父さんが料理をする」作品だ。連載当初には、その設定に違和感を抱いた人がいたかもしれない。だからこそ、物語が始まったばかりの頃、一味は自分が料理をすることを周囲に内緒にしていた。彼が趣味をオープンにするようになったのは、物語がかなり進んでから。自分の得意なことをして家族を支えるのに、男も女もない。楽しそうに料理の腕を振るう一味を見ると、そんな当たり前のことに気づくことができる。もちろんグルメ漫画であるため、作中に登場する美味しそうな料理の数々と、それを実際に作ることができるレシピが載っているところも大きな魅力だ。
早くに母親を亡くした高校生とその父親の絆、それぞれの恋愛模様を描いたヒューマンドラマ。高校生になったばかりの南光太郎は、3歳の頃に母親を亡くしたため、12年間ずっと父親の清志郎(せいしろう)と2人で暮らしてきた。母親がいないぶん、父は光太郎を大切にしてくれていたが、思春期を迎えた光太郎は最近父を鬱陶しく感じている。そんな光太郎が、近所で花屋を営んでいる30歳の女性・上田真矢(うえだまや)に恋をしたのだが、彼女は父の昔の教え子だった。
光太郎の父・清志郎の職業は教師だ。昔から生徒たちに親身な対応をしてきた彼は、生徒から想いを寄せられることがある。光太郎が惹かれた女性・真矢も、清志郎の元教え子であり、彼に淡い恋心を抱いていた1人だった。久しぶりに再会したことで、眠っていた恋心が再び目覚めてしまった真矢。そんな真矢の気持ちを知った光太郎は、父を超えて真矢を振り向かせるべく、様々な努力をしていくことになる。そんな光太郎に協力する存在が、清志郎が勤める学校に通う女子生徒・三好奈々だ。清志郎を好きになった彼女は、光太郎と真矢の仲を応援することで、清志郎に振り向いてもらおうとする。光太郎と清志郎の親子関係はどうなるのか。それぞれの恋模様はどのような決着を見せるのかに注目だ。