格闘試合「拳願仕合」での戦いを描くバトル漫画。山下一夫(やましたかずお)は、乃木出版に勤務する、家でも会社でもうだつの上がらない56歳のサラリーマン。突然、乃木グループ会長・乃木英樹(のぎひでき)に呼び出され、謎めいた青年・十鬼蛇王馬(ときたおうま)の世話係を命じられる。王馬は、企業が莫大な利益を賭け秘密裏に行われている、日本ビジネス界の行方をも左右する拳願仕合の闘技者だった。山下は、過酷な格闘試合の世界に巻き込まれていく。
拳願仕合は、各企業を代表する闘技者たちが参加し、素手による殴り合いで勝敗が決められる格闘試合だ。勝利を収めた闘技者を抱える企業には巨額の利益がもたされることが約束されており、いわば企業同士の代理戦争といえる。「阿修羅」の異名を持つ王馬は、一見すると細身の優男。しかし、圧倒的なパワーとスピードに加えテクニックも持つ実力者で、強豪相手でもひるむことなく立ち向かっていく。彼の前に現れるのは、超日本プロレスのエース・関林(せきばやし)ジュンや、暗殺集団の1人で好戦的な性格の呉雷庵(くれらいあん)など、一癖も二癖もある強者ばかり。最強闘技者と企業を決める「拳願絶命トーナメント」での戦いを中心に、次第に強くなっていく王馬と山下の絆や、一見無関係に思われた山下と拳願仕合の関係についても掘り下げられていく。
少年とさまざまな格闘技家が繰り広げる格闘ドラマ。「バキ」シリーズの1作目だ。主人公・範馬刃牙(はんまばき)は、幼い頃からあらゆる格闘技を習得してきた少年だ。地下で密かに行なわれている、地下闘技場のチャンピオンでもある。彼が目指しているのは、「地上最強の生物」と謳われる父・範馬勇次郎(ゆうじろう)を越える存在になることだ。刃牙は、さらに強くなるため、さまざまな相手と激闘を重ねる中で経験を積み技を磨いていく。2001年にテレビアニメ化。
刃牙は、範馬刃牙流格闘術を掲げ、優勝者に時価10億円相当のチャンピオンベルトが贈られるという地下闘技場最大のトーナメント戦に参加する。それは、実力のある格闘家たちが世界中から30名以上も集まる異種格闘試合だった。名誉とチャンピオンベルトを巡る激闘が、プロレスやムエタイ、キックボクシング、相撲といった多彩な格闘技が入り乱れる。あらゆる選手たちの戦いぶりが、一回戦から決勝まで濃厚かつダイナミックに描かれる一方、刃牙がなぜ「父を倒す」という目標を持ったのか、彼の過去も紐解かれていく。また、格闘技家それぞれの出自や勝つことを求め続ける心情の描写が、物語にさらなる深みを与えている。
全寮制の「男塾」を舞台に繰り広げられるバイオレンスアクション。男塾とは、一人前の漢を育成するために創設された軍国主義を貫いている私塾だ。塾生は、主人公で一号生筆頭の剣桃太郎をはじめ、全国から集められた札付きの不良少年ばかり。常識や道理を逸脱し、理屈も通らない世界で、「直進行軍」や「油風呂」といった過激なスパルタ教育が施されていく。1988年にテレビアニメ化、2007年に実写映画化された。
本作には、世界中の武術家たちが名誉のみならず命も懸け、世界最強を目指して戦うバトルロワイヤル「天挑五輪大武會」が繰り広げられる。4年に一度行われる異種格闘技大会で、予選を勝ち抜いた1チームだけが決勝トーナメントへ進出する。決勝は、1つの島を使って行われるという壮大なスケールの武道大会だ。男塾塾長・江田島平八の宿敵である藤堂兵衛が主催者であるため、桃太郎たちも参加することとなった。桃太郎は、一号生でありながら、人情味があり、仲間から頼られている男。強い絆で結ばれた塾生たちの戦いぶりには胸が熱くなる。ルールも常識も通用しない戦いが繰り広げられる一方、強力な敵ほど後から力強い味方になるという展開にも魅力を感じる作品だ。
格闘技の勝ち抜き戦「陰陽トーナメント」での激闘を描いているバトル漫画。16名からなる「陰陽トーナメント」の参加者は、表(陽)の世界で活躍するスポーツ選手から、裏社会(陰)で命を賭けて戦うアウトロー、特異な技を駆使する者までさまざまだ。主人公の高校生・佐藤十兵衛は出場資格を持たないが、ある理由からエントリーしたくて仕方がない。そこで、すでに出場が決まっていた挑戦者の1人であるボクサー・石橋強を倒し、出場権を手に入れようと考える。『喧嘩商売』の続編。
「陰陽トーナメント」は、素手で行われる1対1の異種格闘技戦。世界中から集まるさまざまな格闘家が、多額の賞金を巡り死闘を繰り広げ、最終的に勝ち残った1名が、主催者の総合格闘家・田島彬と頂上決戦を行う。出場権を手に入れた十兵衛が、打倒を目指しているのは田島ではなく、参加者の喧嘩師・工藤優作。彼に苦汁をなめさせられた過去があるためだ。十兵衛は幼い頃はイジメられっ子だったが、古武術・富田流の使い手である師匠・入江文学に出会ったことから、精神的にも身体的にも強くなった。もともと頭が良く、策略家でもある彼が得意とするのは心理戦だ。ノールールで行われる「陰陽トーナメント」では、どのようなやり方を用いても勝ちは勝ち。策略を練ることも戦いの醍醐味だと実感させられる。