宇宙で遭難した青年が、辿り着いた先のアパートで住人たちと繰り広げるドタバタスペースコメディ。主人公・テル=テク=カッキーは汎銀河軍の宇宙パイロットだ。ある日、宇宙空間で何者かの攻撃を浴び仮死状態になってしまう。彼は生死を彷徨う間、幼少時に曽祖父・アル=チャム=カッキーから魔女が支配する宇宙船の墓場「サルガッソー」の話を聞かされた時の夢を見る。ようやく意識が戻り遭難したことを知るテルであったが、絶望する間もなく彼に謎の生命体が近づいていた。
宇宙船のハッチを開き、テルに接近したのは「メウ」と名乗るサルガッソーの魔女であった。メウは再び気を失ったテルと共に、とある建物の風呂場へテレポートする。テルは入浴中の女性たちから袋叩きに遭い、不条理さから怒りを訴えるが、ここが「沙流我荘(さるがそう)」という、サルガッソーに漂流した人々が集う宇宙アパートであることを知らされた。沙流我荘は、一度入り込んだら二度と戻ることのできないサルガッソーの遭難者を救うべく、メウが作り出したアパートだ。四畳半で風呂・トイレ共同のノスタルジックな間取りも、遭難者の心を和ませるためである。当初は脱出を試みもしたテルであったが、ユニークな住人たちとのふれあいを通じて宇宙スローライフを楽しんでいくさまにほっこりとさせられる。
彼氏に同棲を解消された女性が、とあるアパートで一人暮らしを始めたことをきっかけに自立を試みる成長ストーリー。主人公・春子は彼氏のタカシと同棲中だ。「就職が決まるまでうちに来ればいい」というタカシに甘え、ろくに就職活動も家事もせず怠惰な生活を送っていた春子は、彼から唐突に別れを告げられる。タカシの「他に好きな人ができた」という言葉にも聞く耳を持たず、「一人暮らしをして自立して戻ってくる」と彼に宣言し春子は部屋を飛び出す。
春子は前向きにタカシとの同棲解消を受け入れ、一人暮らしをするべく不動産屋を訪ねるが、その目には涙が溢れていた。不動産屋の物部(もののべ)は、部屋の借り方もわからない世間知らずな彼女に怪訝な視線を向けるも、とある物件を紹介する。そこは、今にも潰れそうな小さなアパート「椿荘」だった。101号室に入居することになった春子を待ち受けていたのは、食事を振る舞うなど親切な人間を装いながら金銭を要求するがめつい磯谷(いそや)や、春子を毛嫌いする浪人生・椿などクセのある住人ばかりだった。だが、彼らとのふれあいを通じて春子の心境に変化が訪れる。ダメ人間だった彼女が、人としても女性としても自立していくさまは逞しさを感じさせ、スカッとした読後感を与えてくれる。
「硬派」を目指す男子学生が、猫と女性だらけのアパートに暮らすこととなり騒動に巻き込まれるラブコメディ。主人公・片切(かたぎり)勝平は女だらけの家庭で育ったことが災いし、大の女嫌いとなっていた。浪人生になったのを機に、硬派な男として生きるため上京を決意する。勝平は入居する予定の「またたび荘」へ向かう道中、偶然女性のパンツを見てビンタされたり、チンピラに絡まれる女性たちを助けようとして返り討ちに遭ったり、災難が続く。しかし、それは前途多難な東京ライフの序章に過ぎなかった。
勝平は助けようとした女性二人組に、お礼としてまたたび荘へと案内してもらえることとなった。実は彼女たち、早乙女さやかと森永真理はまたたび荘の住人だったのだ。しかも、勝平にビンタをした相手・中富奈々子も入居していることを知る。大家が飼っている猫たちと女性たちに囲まれタジタジな毎日を過ごす中で、面倒見の良い奈々子に勝平は思いを寄せるようになる。本作は女嫌いの勝平が、硬派な男を目指し奮闘していく中で奈々子に恋をし、男として成長していくさまが微笑ましく描かれている。また、大学合格後も勘違いでカップルの男性に殴られたり、お色気キャラのさやかと真理が働くバニーガールバーでバイトをさせられたりと、女難多き一面が垣間見えるのも面白い。
ひょんなことから女子寮の管理人となった浪人生が、住人の女性たちに翻弄されながら東大入学を目指すラブコメディ。主人公・浦島景太郎(けいたろう)は幼少時、とある女の子と「大きくなったら一緒に東大に行く」という約束をする。それを果たすため勉強に励むも、2浪してしまい親から家を追い出されてしまう。他に行く当てがないため、祖母の世話になろうと彼女が経営する「ひなた旅館」を訪ねるが、なんとそこは旅館ではなく意外なものに変わっていた。2000年にテレビアニメ化。
ひなた旅館は、祖母の世界一周旅行を機に廃業となり男子禁制の女子寮「ひなた荘」へと変貌を遂げていた。景太郎は露天風呂で住人の成瀬川なる(なるせがわなる)の裸を見てしまったことから、住人たちに袋叩きにされる。紆余曲折を経て祖母の計らいでひなた荘の管理人となるも、彼を待ち受けていたのは、なるを中心とした住人たちの「追い出し作戦」だった。しかし、風呂掃除などの試練を一生懸命こなしていくうちに、徐々に彼女たちの信頼を勝ち得ていく。また、偶然同じ予備校に通っていたなると東大を目指し心を通わせていくうちに、二人の距離も急接近する。二人の恋の行方もさることながら、いちいちお色気展開となる女性たちに振り回されるドジな景太郎が面白く、ラストまで目が離せない。
不幸の連続により感情を失った女子高生が、妖怪たちとのふれあいを通して「幸せ」とは何かを模索し始めるハートフルストーリー。主人公・タケヲこと稲生武夫(いのうたけを)は、自称「世界一不幸」な女子高生だ。高校に入学早々、天井から照明が落ちたり、道を歩けばバナナの皮で滑って建物のガラスに突っ込むなどトラブル続きのため、同級生に気味悪がられてしまう。一人暮らしのために入るはずだった寮も行き違いで満室となり、タケヲは別の物件を紹介される。
タケヲが住むことになった「百鬼荘(ヒャッキソウ)」は物々しい雰囲気だ。大家・山本六郎左衛門(さんもとろくろうざえもん)が般若の姿で出迎えるも、まるで意に介さないタケヲに彼をはじめとしたアパートの妖怪たちは困惑する。意地でも彼女を驚かそうと彼らは画策するが、全て失敗に終わるためとうとう退去を命じることに。しかし別れ際に六郎左衛門が座敷童子であることを明かし、素顔を見せると初めて彼女の表情に変化が訪れた。引き続き百鬼荘に住むこととなったタケヲは、妖怪たちとの暮らしの中で人間らしい心を取り戻していく。六郎左衛門と彼女の先祖による因縁や、宿敵の出現などたくさんのトラブルに見舞われていくが、全てを乗り越え成長したタケヲがたどりつくラストは感動的だ。