大正ロマンの香りが漂う漫画作品
48 Pt.

映画「はいからさんが通る 後編~花の東京大ロマン~」2018年10月19日公開

作成日時:2018-10-16 15:00 執筆者:マンガペディア公式

大正ロマンの香りが漂う漫画作品

出典:講談社

大正ロマンとは、欧州「ロマン主義」の影響を受けつつ、芸術・文化、政治、思想など、様々な面で自由と解放が進んだ、大正時代の雰囲気を象徴する言葉だ。今回は、そんな大正ロマンの香りが漂う漫画作品を紹介していこう。


激動の大正時代を舞台に、花村紅緒とその許嫁・伊集院忍の大正ロマンの香りが漂うロマンチック・コメディ。大正時代独特の雰囲気を巧みに捉えた背景描写も注目点のひとつ。第1回講談社漫画賞(少女部門)受賞。1978年6月からテレビアニメが放送された他、テレビドラマ、アニメ映画、実写映画など多数のメディア化がされた。2018年10月に「劇場版 はいからさんが通る 後編 ~東京大浪漫~」が公開。

「ハイカラ」とは、元々は「西洋かぶれ」のこと。ただし、本作での「ハイカラさん」は、良妻賢母的な旧来の価値観を良しとせず、恋愛はもちろん、あらゆる面で自由かつ進歩的な女性を指す。明治から使われているが、大正ロマンの香りが漂う言葉でもある。跡無女学館に通う17歳の女学生・花村紅緒は、剣術をたしなむ男勝りでがさつなジャジャ馬娘。そんな彼女に、祖父の代から決められた許嫁がいたことが発覚する。その相手とは、公家の跡取りで陸軍少尉の伊集院忍。彼はハンサムな好青年だが、ハイカラを自認する紅緒は、許嫁という古いしきたりそのものが気に入らない。そこで紅緒は破談にしようと、様々な騒動を起こすこととなる。


『帝都初恋心中』

出典:小学館

復讐のために我が身を犠牲にした16歳の少女・吉野花織と、愛ゆえに全てを受け止める20歳の若き伯爵・美園環の甘く危険な恋愛模様を描いた、耽美な大正ロマンティック・ラブストーリー。「死神貴族」と呼ばれる悪名高い伯爵家の当主・美園環に、父親を殺されたと思い込んだ吉野花織は、仇を討つために彼と結婚する。ところが美園環は、真犯人から吉野花織を守っていたことが判明。2人は晴れて本当の夫婦となり、愛に溺れる日々が始まる。しかし環には、まだ花織が知らない秘密の顔が存在した。

本作の最大の特徴は、ひたすらに甘い恋愛模様。主人公・吉野花織と伯爵家の当主・美園環は、互いに耽溺するかのように愛を貪る。美園環は、美園商社の社長でもあり、利益のためなら手段を選ばない冷徹なビジネスマンである。ところが吉野花織にはとても甘く、全てをなげうつことも厭わない溺愛ぶり。一方の吉野花織も、常に美園環のことが頭から離れない。相思相愛の2人だが、互いを想うが故の行き違いなどのトラブルが頻発。美園環が秘密の顔を持つこともあり、2人の恋愛模様はロマンティックなだけでなく、かなりスリリングだ。大正ロマンの空気が色濃く漂う優雅な貴族社会で繰り広げられる、甘く危険な愛の行方を見届けて欲しい。


『めもくらむ 大正キネマ浪漫』

出典:小学館

大正時代を舞台に、男性でありながら女優として活動写真に挑む主人公の活躍を描いたキネマ漫画。大正ロマンの香りが色濃く漂う。主人公・立花乙次郎の姉代わりで女優を夢見ていた石原鈴が、遺書を残して自殺未遂を起こすという、ショッキングな出来事から幕を開ける。遺書には新劇・北斗座の看板女優、竹尾須磨子への怨みが綴られていた。石原鈴の無念を晴らすため、立花乙次郎は「立花乙香」と名乗り、女優の道を歩む決意を固める。

映画は音声のない「サイレント映画」から始まり、撮影技術の進歩によって、現在のような音声を交えた「トーキー」へと移り変わってきた。映画が「活動写真」と言われていた大正時代の主流は「サイレント映画」である。主人公・立花乙次郎は優れた演技力があり、女優としても十分通用する容姿の持ち主だ。その声は可憐な容貌とはマッチしない「アルト」の音程だが、音声が必要ない「活動写真」なら、声の違和感も帳消しになる。自殺した石原鈴に代わり、「立花乙香」としてミルクホールで働いていた立花乙次郎は、富士活動映画社の東海林鷹男に才能を見出され、女優を志していくこととなる。大正ロマンの時代ならではの設定を活かした、異色のシンデレラストーリーだ。


『大正処女御伽話』

出典:集英社

無気力で厭世的な青年が、明るく世話好きな少女と関わるうちに、人生に前向きになっていく。大正時代を舞台に描かれる、ほんわか人情物語。大正ロマンの雰囲気が色濃い。主人公・志磨珠彦は、交通事故によって右手の自由と父の期待を失い、千葉の田舎で隠居生活を強いられる。17歳にして人生に絶望した志摩珠彦の元に、世話係を兼ねた許嫁として、父が選んだ14歳の少女・立花夕月がやってくる。明るく世話好きな立花夕月の人柄に触れるうち、頑なに閉ざされていた彼の心が徐々にほぐれていく。

大正ロマンに満ちた本作には、大正時代の婚姻に関する制度が、色濃く反映されている。当時、婚姻が許されたのは男性は17歳、女性は15歳からだった。物語開始時、立花夕月はまだ14歳だったので許嫁となる。立花夕月は借金を抱えた両親を助けるため、見ず知らずの貸し主の息子に嫁ぐことになるのだが、彼女に悲壮感はない。当時としては珍しくないというのも一因だが、なにより彼女が世話好きであること、そして初めて出逢った主人公・志磨珠彦の不器用な優しさと、心に抱く寂しさを理解した点が大きい。天真爛漫で母性豊かな立花夕月の振る舞いは、志摩珠彦だけでなく、彼の妹・珠子を始めとする周囲の人々の心をも変えていくこととなる。


『サクラ大戦漫画版』

出典:講談社

ドラマチックアドベンチャーゲーム「サクラ大戦」のコミカライズ作品。大正ロマンの香りに満ちている。表向きは大帝国劇場として庶民に娯楽を提供する傍ら、異形の怪物「降魔」や、「怪蒸気」「脇侍」などの霊的脅威から帝都を守るために戦う、秘密部隊「帝国華撃団・花組」の活躍を描くアクションドラマ。ゲームでは触れられていない部分まで描かれるなど、ゲームの世界をより深く掘り下げているのが特徴のひとつだ。

本作は大正時代をモチーフとしつつ、独自の要素を数多く盛り込んだ架空の世界が舞台となっている。最大の特徴は、蒸気機関をベースとする人型甲冑や機械などが数多く登場する「スチームパンク」のような世界観である。また、少女たちが舞台公演を行う宝塚歌劇団に似た大帝国劇場の設定も、大正ロマンの香りに満ちている。主人公・大神一郎は、海軍士官学校を首席卒業した優秀な軍人。それにも関わらず、彼は左遷されるような形で大帝国劇場勤務を命じられる。当初は劇場の雑務に失意を抱いていた大神一郎だが、秘密部隊「帝国華撃団・花組」という真の任務を知り、個性豊かな少女たちと共に帝都の防衛に粉骨砕身していく。華やかな舞台演劇と、ダイナミックなロボットバトルが融合した、エンターテインメント性の高いストーリーだ。


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