大正処女御伽話

大正処女御伽話

事故で体が不自由になって厭世的になった青年が、嫁としてあてがわれた明るい少女と関わるうちに、人生に前向きになっていく。大正時代を舞台に描かれる、ほんわか人情物語。集英社「ジャンプスクエア」2015年8月号から2017年10月号にかけて掲載された作品で、第3回「次にくるマンガ大賞」で第7位、「アニメ化してほしい漫画ランキング2018」第5位を獲得。2021年10月テレビアニメ化。

正式名称
大正処女御伽話
ふりがな
たいしょうおとめおとぎばなし
作者
ジャンル
時代劇
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊5巻
関連商品
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あらすじ

時は大正。交通事故により、右手の自由と父親からの期待を失った志磨珠彦は、千葉の田舎で隠居生活をすることを強いられていた。まだ17歳でありながら人生に絶望している珠彦だったが、そんな中、父親から世話係を兼ねた嫁として立花夕月が送られてくる。最初は夕月を拒んでいた珠彦だったが、明るく世話好きな彼女の人柄に触れる内に夕月に惹かれていき、彼女を幸せにしたいと願うようになる。

さらに夕月の影響力は珠彦以外の周囲にも及び、珠彦を取り巻く人間関係は良い方向へと変化を遂げていく。やがて、珠彦は人間らしい感情を取り戻し、人生に対しても前向きになっていくのだった。

メディア化

テレビアニメ

『大正オトメ御伽話』のタイトルで2021年テレビアニメ化。10月8日よりテレビ東京ほかにて放送。制作はSynergySP、監督は羽鳥潤。

キャスト:小林裕介、会沢紗弥、宮本侑芽、安済知佳、伊藤彩沙、土岐隼一 ほか 

登場人物・キャラクター

志磨 珠彦 (しま たまひこ)

志磨家の次男。年齢は17歳。交通事故に遭い、母親の志磨透子を亡くし、自身の右手の自由を失った。父親の志磨珠から息子として役に立たないと判断され、厄介払いとして千葉の別荘を与えられる。そこで誰にも迷惑をかけずに、生涯を終えるように言いつけられている。そのことで世の中のすべてに嫌気がさし、厭世的になっている。 友人もいなかったために、すべてを1人で抱え込んでしまう傾向にある。しかし、世話係を兼ねた嫁として、珠に派遣された立花夕月と出会い、彼女のぬくもりに触れて、前向きになっていく。夕月から与えられるばかりではなく、志磨珠彦自身も彼女に何かを与えられるようになりたいと願っている。

立花 夕月 (たちばな ゆづき)

料理裁縫が得意な少女。年齢は14歳。叔父夫婦が夜逃げして借金を背負わされた両親を救うために、1万円で自身を志磨珠に売った。そして珠に、志磨珠彦の不自由な生活を支える世話係を兼ねた嫁となるよう命じられる。明るい性格で、誰かが困っていると、助けるために勝手に体が動いてしまう性質。そのため、周囲からはお人好しすぎると言われることも多い。 珠彦と出会う前は、怖い人物ではないかと思っていたが、実際は不器用ながら優しい性格の持ち主であることに気づく。それからは、彼を幸せにしたいと考えている。胸が大きすぎるのと、髪の量が多くて癖毛なのが悩みの種。

志磨 珠 (しま たま)

志磨珠彦の父親。貧しい家庭に生まれながら、才覚によって一代にして志磨家を巨大財閥とした。金のためなら酷いことも平気でするため、人々からは嫌われている。志磨珠自身の子供に対しても容赦はなく、自分の役に立ちそうにない子供は平気で切り捨てる冷酷さを持つ。

志磨 珠樹 (しま たまき)

志磨家の長男であり、次期当主。父親に似て性格は冷酷で、弟や妹に対しても一切の愛情を持っていない。弟の志磨珠彦が事故に遭った際にも、労る素振りすら見せずに、彼が傷つくような言葉を口にした。父親に忠誠を誓っていて、父親を煩わすものは全力で排除することを心がけている。その忠誠ぶりは「忠犬」と評されるほど。

志磨 珠代 (しま たまよ)

志磨家の長女。志磨珠彦の腹違いの姉。髪は断髪で、いつもモダンな服装をしている。他人が苦しんでいる姿、中でもにかわいらしい女の子が泣いている姿を見るのが大好き。異母妹の志磨珠子が年少だった頃は、よくいじめて泣かせていた。兄弟姉妹の中では父親のことを最も愛しており、父親の愛を独占したいという願望を持つ。

志磨 珠子 (しま たまこ)

志磨家の次女。志磨珠彦と同じく志磨透子を母親とする。高身長でさらさらの綺麗な髪の毛を腰の下まで伸ばしている。幼い頃、姉の志磨珠代にいじめられていた時に、家族の誰からも助けてもらえなかったことがトラウマとなり、性格が歪んでしまった。そのため、他者を助けることをくだらないと考え、人の負い目に付け込んで言葉でえぐることを得意としている。 珠彦を嫌っているそぶりを見せているが、内心では、父親も母親も同じくする唯一の肉親として、特別な親近感を覚えて慕っている。

志磨 珠央 (しま たまお)

志磨家の三男。父親は志磨珠ではなく、志磨透子が不倫の末に作った子供。そのため、珠からはいらない子供として扱われている。志磨家においては、母親の透子以外に味方がおらず、強く依存していた。そのため、透子が志磨珠彦と事故に遭って亡くなった時には激しく嘆き、以降は母親の代わりに珠彦が死ねばよかったと、常に口にしている。 母親を奪った珠彦が不幸になることを願っている。

志磨 透子 (しま とうこ)

志磨珠の妻で、志磨珠彦の母親。独身時代は、曲直部珠介と恋人関係にあり、愛し合っていたにも関わらず、無理矢理珠の妻にさせられた。そのため、珠のことを恨んでおり、珠との間に生まれた珠彦や志磨珠子を子供としてかわいがることができずにいた。珠彦と出かけていた時に、交通事故に遭って亡くなった。

曲直部 珠介 (まなべ たますけ)

志磨珠の6人いたきょうだいのうちの末の弟で、志磨珠彦の叔父。神戸で医師をしていて、腕も確かと評判。若い頃に恋人関係にあった志磨透子を兄の珠に奪われたため、志磨家を捨てて、他家の養子となった。甥や姪たちが、家庭の愛を感じられずに非人間的に成長していくことを心配しており、時には愛ゆえに、珠彦たちに注意をすることもある。

(りょう)

志磨珠彦と同じ村に住む少女。年齢は17歳。貧しく、父親に金のために売春をさせられかけた過去を持つ。自身を買った男性から乱暴を受けて辛い経験をしたため、自分と同じように金で買われたはずの立花夕月が幸せそうにしているのを見て、嫉妬心を感じている。その妬みから夕月に酷い言葉を投げ掛けたりといじわるをするが、根は優しく、弟たちのために針仕事などをして懸命に働いている。 3人いる弟の中でも、綾自身が売春しようとしたのを止めてくれた綾太郎のことを特に大切にしている。

綾太郎 (りょうたろう)

綾の弟。自分たち弟のために、針仕事や内職をして頑張ってくれている綾を大切に想っている。綾が自分たち家族のために体を売ろうとしているのを、必死になって止めたことがある。尋常小学校を卒業し次第、家庭を支えるために奉公に出ようと考えているが、心の中では、奉公への不安や姉と離れるのは嫌だという気持ちを抱えている。勉強を教えてくれる志磨珠彦を、先生として慕っている。

美鳥 (みどり)

立花夕月の女学校時代の親友。夕月が金のために売られ、学校も中退したことを心配している。夕月が学校を中退した後も手紙を交わし続け、近況を報告し合っている。手紙からは夕月の幸福が伝わってくるものの、実際はどうなのかと疑う気持ちが消せずにいる。いずれは九州の婚約者のもとに行く予定だが、東京にいるうちに、夕月にもう一度だけ会いたいと願っている。

白鳥 策 (しらとり はかる)

志磨珠彦の学校のクラスメイトの少年。志磨家の人間ということで浮いている珠彦に積極的に話しかけ、親友となった。右手が不自由な珠彦の手助けをしてやることもある。性格はひょうきんで楽観的、ややナルシストなところもある。歌手の白鳥ことりは双子の妹。ことりのことを大切に想っているが、現在は喧嘩をしており、彼女の笑顔を長い間見ることができていない。

白鳥 ことり (しらとり ことり)

女優を母親に持つ歌手の少女。不世出の歌姫として人気を博しており、レコードも売れている。心優しい性格で、関東大震災の罹災地を訪れては、歌声を披露して被災者を慰めている。恋する乙女を応援する歌を作りたいと考えており、歌詞の参考とするため、恋愛関係にある志磨珠彦と立花夕月を何かと観察している。双子の兄の白鳥策のことを誰よりも大切に想っているが、現在は喧嘩をしている状態にある。

集団・組織

志磨家 (しまけ)

志磨珠によって、一代で築きあげられた巨大な財閥家。「大切なものを持つと我が通せなくなるので大切なものを持つな」を家訓としている。金のためなら手段を選ばず、多くの人の心や人生を踏み潰してきており、「羅刹の一族」と呼ばれて忌み嫌われている。その悪名は、地方の村にまでとどろいている。

続編

昭和オトメ御伽話 (しょうわおとめおとぎばなし)

桐丘さなの『大正処女御伽話』の続編。昭和初期の神戸を舞台に、生まれながらにして幸薄い志磨仁太郎と名家の娘・黒咲常世が、お互いを思いやりながら、懸命に生きていく姿を描いたラブストーリー。「少年ジャンプ+... 関連ページ:昭和オトメ御伽話

関連

大正処女御伽話 -厭世家ノ食卓- (たいしょうおとめおとぎばなし ぺしみすとのしょくたく)

桐丘さなの『大正処女御伽話』のスピンオフ作品。時は大正時代。不慮の事故で右手の自由を失った志磨珠彦は、同時に母親をも失い、父親からの期待も失って実家を追われ、千葉の田舎の別荘をあてがわれた。そんな中、... 関連ページ:大正処女御伽話 -厭世家ノ食卓-

書誌情報

大正処女御伽話 5巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2016-02-04発行、 978-4088805931)

第2巻

(2016-06-03発行、 978-4088807256)

第3巻

(2016-12-02発行、 978-4088808338)

第4巻

(2017-05-02発行、 978-4088810812)

第5巻

(2017-10-04発行、 978-4088811604)

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