一年で最も台風が多い月は9月！台風漫画特集50 Pt.

近年、猛威を振るう自然災害が増加しているが、そのなかでも特に大きな被害をもたらすことが多いのが、台風。天気が崩れてきた際は、早めに安全なところに避難して、ゆっくり漫画に親しむのも良いのでは。そんな時に読みたい、台風関連漫画5作品をピックアップ！

ゴルフを題材とした漫画は数多いが、主人公がダーティヒーロー的な存在となると、かなりレアである。主人公の名前は泉大風。大風を「タイフウ」と読む名前で、トーナメントボードの英文表記は「TYPHOON」。その破壊力ある行動から”台風”と混同されている。まったく無名ながら、なぜか日本のプロゴルフのトーナメントに出場し、いきなり首位争いを演じる。試合中に八百長を申し入れ、女性にちょっかいを出し、トッププロに絡んだりと、行動はメチャクチャだがゴルフの腕は超一流。そんな主人公がマスターズ・トーナメントへの出場をめざす、破天荒なストーリーだ。

この作品が連載された1960年代後半、人気のスポーツといえば野球、相撲、そしてプロレスだった。テレビ番組でもプロレス中継は圧倒的な人気で、中でもジャイアント馬場は別格の存在。ジャイアント＝巨人と呼ばれるようになったのは、208センチという巨体に由来している。当時の日本人成人男子の平均身長は約162センチだったので、大きさはより際立っていた。この巨体が悪役などの外人プロレスラーをなぎ倒す姿に、第二次世界大戦の敗戦で悔しい思いをした日本人は喝采を送った。その活躍ぶりとスケールの大きさを台風になぞらえたのが、この作品のタイトルだ。当時の社会情勢や、興行界の裏側などが緻密に描かれていているところにも注目して欲しい。

西遊記を元ネタにした漫画作品は数多く存在するが、主人公が女の子という作品は意外と少ない。主人公の少女・チャキ(茶久羅)は父の遺言に従って、三蔵法師の子孫を探しに日本にやってくる。ついに居場所を突き止めるのだが、そこはなんと格闘技学校だった。武芸の達人であるチェキは、彼女を三蔵法師に会わせまいとする謎の勢力と戦いながら、秘伝書の獲得をめざす。登場人物は猪八戒や沙悟浄といった、西遊記の登場人物の子孫たち。現代の日本を舞台に、かつての仲間の子孫である彼らと巻き起こされる旋風は、まさに熱烈（ホット）な台風（タイフーン）という名にふさわしい。痛快な活劇漫画だ。

宇宙開発の人材育成機関が所有する、巨大原子力空母「台風」。作品名でもある”少年台風”とは、この艦の乗組員に選出された、優れた能力を持つ少年の事である。勉強にもケンカにもライバル心を燃やしつつも、熱い友情で結ばれた山川三太と風間大助。三太は強盗事件に巻き込まれて右腕を失うが、なぜかパワーアップした腕が復活する。二人は超難関の選抜試験に合格し、「台風」の乗組員となって、様々な事件に立ち向かう。この作品が連載された1960年代前半、掲載誌の「少年」は『鉄腕アトム』や『鉄人28号』といった大ヒット作を擁し、漫画雑誌のトップの座にあった。当時、艦船をメインとして扱った漫画は少なく、原子力空母を舞台として描かれたこの作品は注目を集め、「週刊少年サンデー」に『サブマリン707』を連載されるきっかけになった。

「台風がテーマなのに、なんで『コロッケ！』？」と思った方も多いだろう。SNSでの書き込みに端を発した「台風の日にコロッケを買っておく」というムーブメントは、いまやスーパーの総菜売り場でのイベントになるほど定着している。主人公・コロッケを筆頭に、主要な登場人物の名前がメンチ（メンチカツ）、バーグ(ハンバーグ）など、食品に由来している。「死んだ父を生き返らせるために」というストーリーを聞くとシリアスな作品かと思えるが、そこは『学級王ヤマザキ』などを手掛けた樫本学ヴ作品、ギャグも満載となっている。台風で出歩けない日は、コロッケを食べながら『コロッケ！』を読むのが、これからの新しいスタイルになるかもしれない。