9月8日は ニューヨークの日25 Pt.

ニューヨークが舞台の漫画

作成日時:2018-09-08 10:00 執筆者:マンガペディア公式

9月8日は ニューヨークの日

出典:小学館

1664年9月8日、オランダの植民地「ニューアムステルダム」は、イギリスの支配下になり、イングランド王ジェームズ2世(ヨーク公)にちなんで「ニューヨーク」と名を改めた。それを記念して9月8日はニューヨークの日。そこで今回は、ニューヨークを舞台にした漫画を特集する。


「バナナフィッシュ」の謎を巡って巻き起こる、ニューヨークの巨大マフィアと、ストリートキッズの抗争。そして、ストリートキッズを束ねるカリスマ的なリーダー・アッシュと、日本人の青年・英二の奇妙な友情。二つの軸を中心に展開されるスリリングかつサスペンスフルな物語。2018年7月からテレビアニメが放送された。アニメ版では、事件の発端がベトナム戦争からアフガン紛争に変更されるなど、時代背景や設定が若干異なっている。

本作だけでなく、吉田秋生作品で描かれるアメリカの街並みは、その空気までも感じさせるほどリアルだ。きな臭い雰囲気がプンプンと匂うダウンタウンのストリート。雑多な街並みに生活感が漂うチャイナタウン。そして、摩天楼がそびえ立つマンハッタン。あらゆる光景が、説得力に満ちている。実際に、ニューヨークを生活の拠点とするミュージシャンの坂本龍一をして、「その精緻なマンハッタンの描きぶりに驚嘆した」と、言わしめたほどである。本作の執筆当時、吉田秋生にマンハッタンを訪れた経験はない。彼女は、自身の想像力だけで、あの街並みを描ききった。その並外れたセンスには、まさに脱帽だ。


ニューヨークの街は、異界と人界の交錯によって、一晩でその様相が一変。超常現象が頻発し、異界人による犯罪が多発する危険地帯「ヘルサレムズ・ロット」へと変貌した。そんな魔都の危うい均衡を守るために結成された「秘密結社ライブラ」の活躍を描いたSF伝奇アクション漫画。2015年4月からテレビアニメが放送された。

本作の舞台となるニューヨークは、異形の異界人たちが往来を闊歩し、彼らが仕切る地下闘技場なども存在するカオス極まる都市と化している。元々、移民によって大きく発展した都市だけに、ニューヨークは多種多様な人々が暮らす人種の坩堝である。そんな場所に異界人まで加わったのだから、トラブルの火種はそれこそ幾何級数的に増加する。その危険度は、マフィアが幅を利かせていた1920年代ですら、ぬるま湯に感じられるレベルだ。そんな環境で異界人絡みのトラブルに対処する「秘密結社ライブラ」の面々は、圧倒的な力を備えた超人ばかり。さらに能力だけでなく、性格的にも型破りな逸材揃いだ。都市のスケールに負けない彼らの活躍は実に痛快だ。


ニューヨークの美術学校に通う少女・アニス・マーフィは、ふとした偶然から、友人のシヴァが双子の弟・サイファと交互に入れ替わりながら学校に通っていた事実を知る。友人に隠し事をされていたことに腹を立てたアニスは、その理由を問いただす。それに対して彼らは、ある勝負に勝ったら事情を話すと返答。勝負の内容は、2週間以内に自分たちを見分けられるようになること。勝負を受けたアニスは、双子の違いを探るため、2週間の同居生活を要求した。

ニューヨークというと、犯罪や暴力、マフィアといった危険な部分がクローズアップされた作品が多いが、それはこの街のほんの一面に過ぎない。例えば、美術や芸能の中心地といった側面もある。本作で主人公たちが通う美術学校(アートパフォーマンススクール)は、いわゆる芸術家だけでなく、画家、ミュージシャン、ダンサー、俳優など、あらゆる方面のアーティストたちを養成する学校だ。シヴァ兄弟は学生ながら、幼少期から俳優兼モデルとして活躍してきたプロのため、芸能関係のエピソードも多い。また、本作はミュージックビデオが大流行した80年代が舞台ということもあり、マイケル・ジャクソンやプリンス、ビリー・ジョエルといった、今や伝説のアーティストの話題なども豊富。ニューヨークの華やかな部分が多く見られる作品だ。


ニューヨークでも特にゴロツキたちが多く、治安の悪かった地域・ブロンクス区。ゴロツキたちが住むアパートを取り壊して建てられたニューヨーク市警(NYPD)51分署は、かつて「警官の墓場」と呼ばれていた。だが、それも過去の話。そんな51分署に所属する警官たちの、ごく当たり前の日常を描いた群像劇。

「ニューヨーク=犯罪都市」というイメージは、もはや過去のもの。実は2005年以降、ニューヨークの犯罪発生率は、全米の大都市の中では最低水準を保っている。本作は、そんな「安全な街」になったニューヨークが舞台だ。もちろん、犯罪がなくなったわけではなく、さまざまな事件は起る。だが、本作がクローズアップするのは、事件そのものというより、その現場に携わる警官たちの心情だ。女であることを特別視されることを嫌う女性警官。住民とのコミュニケーションを大事にするベテラン警官。ESU(緊急出動部隊)入隊を夢見る新人警官。彼らの視点を通すことで、等身大のニューヨークが感じられる作品といえる。


死の病に冒され、病床に伏せる双子の弟の前で二年間踊り続けたという、凄絶な過去を持つ宮本すばるは、バレエダンサーとして生きていくことを心に決める。かつての天才ダンサー・日比野五十鈴の手解きを受けた彼女は、やがて世界の檜舞台へと駆け上がっていく。異能の天才ダンサーの激しい歩みを描いたバレエ漫画。続編として『MOON -昴 ソリチュード スタンディング-』が存在する。2009年3月に『昴-スバル-』の題名で映画が公開された。

大小様々な舞台が連なるブロードウェイがあるニューヨークは、舞台芸術の聖地でもある。ニューヨーク・シティ・バレエ、アメリカン・バレエ・シアターの二大バレエ団を頂点に、バレエ団やバレエスクールも数多く存在する。本作の6巻から始まる、第二部の舞台がこのニューヨークだ。ただし、「アートとパフォーマンスの天国」での生活は、スタートからトラブル続き。到着早々強盗に遭い、所属先の「システロン・バレエ・カンパニー」は、丸二年も公演をしていない開店休業状態。だが、そんな状況でも、すばるのダンスへの情熱はまったく揺らがない。彼女の情熱と迸る才能が、システロンのメンバーたちの心を大きく揺り動かしていくことになる。


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